11 / 40
11.児童養護施設
しおりを挟む
正直、幼稚園のような施設を想像していたが、裏から見るとどこにでもある文化住宅を思わせる外観だった。建物の横に回る。意外に奥行きのある建物だ。正面まで来た。白い壁が新しい。公民館のようにも見える。鉄柵の向こうに中庭があり、ベンチが三つ置いてあった。
大理石の大きなプレートに、社会福祉法人安友学園、慈愛寮とある。児童養護施設という言葉は知っていても、どんな場所なのか、今まで想像したこともなかった。
蛇尾沙耶が珍しそうに建物を見上げている。
「中は結構広いのよ」奈緒が門の中を覗きながら言った。
「庭に誰もいないなあ。いつもこんなに静かなのか?」
「今、お風呂の時間かも」
「こんな時間に、風呂に入るのか?」
「たしか、入所者は七十人くらいいたはずだから。時間内にお風呂や食事を済ますには、スケジュールがタイトなのよ」
「人数の問題じゃなく、職員の都合だろ。職員がフルメンバー揃っている時間に、用事をすべて済ませたいだろうからな」
「榛原さんはここで何をしているの?」
二人の話を黙って聞いていた沙耶が、建物を見上げたまま呟くように言った。
「月に一回、中庭でいろんなイベントをするんだけど、その手伝い。バーベキューとか、小さな子供たち相手にフットサルしたりとか、あと、クリスマスや餅つきやひな祭りとか、結構忙しいんだよ」
「奈緒はボランティア活動が趣味なんだよ」
「立派だわ。何の役にも立たない大島君とは大違いね」
「小島だよ」いい加減、突っ込むのが面倒になってきた。「それに、何の役にも立たないはないだろう」
「へえ、意外ね。あなたが社会奉仕活動をしているなんて」
「いや……別にしてねえけど……」
「やっぱり屑だわ」
面倒くさいので無視することにした。
「その知り合いってのを、早く呼んでこいよ」
「でも、なんか入りづらいなあ。いつもは他のボランティアの人たちも一緒だから。連絡もせずに勝手に入っていいのかもわからないし……」
鉄柵が開く音。沙耶が一人で中に入っていく。この女は躊躇という言葉を知らないらしい。中に入る前に、目の前の呼び鈴を押そうという発想はないのか。
沙耶が玄関の前で立ち止まって振り向いた。和哉を黙って見ている。
俺にドアを開けろってか。
和哉が玄関のドアを開けて中に入った。女子二人が後に続いた。子供たちの賑やかな声が聞こえるものと予想していたが、建物の中は静まり返っていた。
「ごめんください」
奈緒が玄関から奥に向かって呼びかけた。しばらくしてスリッパが床を叩く音が聞こえてきて、若い女性職員が顔を覗かせた。その顔が、どこか怯えているようだった。
「奈緒ちゃん?」
奈緒がお辞儀するのを見て、和哉も頭を垂れた。沙耶は突っ立ったまま、建物の内部を珍しそうに眺めていた。礼儀というものを知らんのか、この女は。
「英理子ちゃん、帰っていますか?」
女性職員が玄関にかけてある回転ネーム表示盤を見た。赤と白のブラスチックの名札がずらっと並んでいる。建物内にいるかどうかを表示している札らしい。佐藤英理子と書かれた名札は赤色になっていた。
「まだ帰ってきていないみたいね。中に入って待っていたら?」
お言葉に甘えようと靴を脱いだ。玄関を上がった正面がクリニックの待合室のようになっているので、そこのソファーに腰を下ろした。ここで玄関を見張っていれば、待ち人を見逃すことはないだろう。
「しかし、静かな場所だな。いつもこうなのか?」
「普段はもっと賑やかなんだけど」
「何かあったみたいね」沙耶が他人事のようにいった。「さっきの職員の人、顔に死相が出ていたわ」
死相はいいすぎだが、様子はおかしかった。沙耶も気づいていたようだ。
「子供を取り返そうと、また誰かが押しかけてきたのかしら?」
「取り返すって、何だよ」
「ここはね、両親から虐待を受けていた子供がたくさん保護されているの。そんな親が時々子供を返せって乗り込んでくることがあるんだって。施設としては、親が子供を返せといってきたら返さなくちゃならないのよ。でも、両親の元に戻ったからといって、その子が幸せになれるとは限らないの」
「親の暴力から逃げてきたのに、返しちまうのかよ」
「仕方ないのよ。法律で決まってるんだって。中には、風俗で働かせるために娘を引き取りに来る親もいるのよ」
「心の底から頼りにしたい親から虐げられるって、子供にとっては地獄ね」沙耶がどこか物悲しそうにつぶやく。今気づいたが、この女には仄暗い表情がよく似合う。
正面の玄関のドアが開いた。入ってきた女の子と目が合った。
「あ、奈緒ちゃん……」
色白の、ウェーブのかかった明るい茶髪の女の子が、ぽかんと口を開けてこちらを見ていた。どこの学校の制服かはわからないが、この施設から高校に通っているようだ。
奈緒が席を立って彼女に近寄っていった。
「私の友達よ」と奈緒が和哉と沙耶のことを紹介した。
佐藤英理子によると、塚崎美登里が施設を出たのは一か月前。美登里が奈緒と最後に会ったのが一週間前だったので、丸三週間、退所した事実を奈緒には黙っていたことになる。
そのことがショックだったのか、奈緒の口数が急に少なくなった。
「あなたは塚崎さんとは、仲が良かったのかしら?」奈緒に代わって、沙耶が聞いた。
「タメだし、同じ時期に入所したからね。けど、ここんところ会ってないんだ」
そういって、佐藤英理子が廊下の奥のほうを振り返った。職員がいないことを確認したようだった。
「この間、ここにやくざがやってきてさ。美登里がどこにいるか教えろって騒いだの。連中、中に上がって建物じゅう探したのよ」
やくざと聞いて、奈緒が身を竦ませた。それで、さっきの職員は怯えた顔をしていたのか。子供たちの声が聞こえないのも、部屋に入れて騒がないように指示しているのかもしれない。
「彼女、やくざと揉めているのかい?」和哉の言葉に奈緒が驚いた顔をした。
「何をやったかは知らないけど、そうみたい。一緒にいたタメの男の子に聞いたんだけど、やってきたのは石田組の組員だっていってた」
石田組。組員の顔を知っているということは、そのタメの男の子も盛り場に出入りしているのだろう。
「彼女が顔を出しそうな場所、知らないかな?」
和哉が身を乗り出した。
「ダイナマイト」佐藤英理子が答えた。
「ダイナマイト?」
「クラブ・ダイナマイト。スカルの溜まり場よ」
「スカルって、あの有名な不良グループかい?」
奈緒と沙耶が、同時に和哉を見た。「よく知ってるね」と、佐藤英理子。
「美登里って、なかなかやんちゃな女の子のようだな」和哉は横目で奈緒を見た。彼女の表情が固まっている。どうやら、美登里の素性を知らなかったようだ。
「塚崎さんは、スカルとつながりがあるのかい?」
「柏葉真治って知ってる? スカルのリーダー。そいつの女だよ」
奈緒の身体が、さらに硬くなるのがわかった。もちろん、奈緒はそのことを知らなかったのだろう。彼女の戸惑っている様子がそのことを示している。
仲のよかった友達がまさか不良グループのリーダーの女だったとは。児童養護施設の子供たちは、複雑な家庭で育ったものがほとんどだ。街の不良たちと相通じるものがあるのだろう。
「ダイナマイトって、どこにあるんだい?」
「田町の商店街のはずれにある、湘南ビルって雑居ビルの地下。まさか、乗り込む気?」
「普通のお店なんだろ?」
「あそこヤバイよ。薬とか売ってるし」
あまりに世間離れした話の内容に、奈緒も沙耶もいつの間にか喋るのを止めてしまっている。
佐藤恵理子もどこか自慢げにスカルのことを話している。この女もスカルとつながりがあるのだろう。
「塚崎さんと、どうしても話がしたいんだ」
「じゃあさ、アパートに寄ってみたら?」
「彼女のアパート、知ってるのかい?」
英理子がスマートフォンを取り出し操作した。「ここだよ」といって、液晶画面をこちらに向けた。
「あなた、わかる?」沙耶が英理子のスマートフォンを覗き込みながら和哉に聞いてきた。
「まあ、大体の地理は」
「じゃあ、すぐに行きましょう」
本気か? あまり柄のいい場所ではないのだが。
玄関のドアを開けて、中学生らしき女の子が帰ってきた。彼女が奈緒に気づいて、手を振って笑った。奈緒も笑って手を振り返したが、心ここにあらずといった感じだった。
「ねえ、英理子さん。次の金曜の夜、外で遊ぼうよ」
少女がカバンをソファーに放り投げ、英理子に話しかけた。
「金曜日はあれでしょ?」
「予定がなくなっちゃった」
「それは残念ね」
奈緒たち三人を無視して、二人が無邪気に笑いあっている。
大理石の大きなプレートに、社会福祉法人安友学園、慈愛寮とある。児童養護施設という言葉は知っていても、どんな場所なのか、今まで想像したこともなかった。
蛇尾沙耶が珍しそうに建物を見上げている。
「中は結構広いのよ」奈緒が門の中を覗きながら言った。
「庭に誰もいないなあ。いつもこんなに静かなのか?」
「今、お風呂の時間かも」
「こんな時間に、風呂に入るのか?」
「たしか、入所者は七十人くらいいたはずだから。時間内にお風呂や食事を済ますには、スケジュールがタイトなのよ」
「人数の問題じゃなく、職員の都合だろ。職員がフルメンバー揃っている時間に、用事をすべて済ませたいだろうからな」
「榛原さんはここで何をしているの?」
二人の話を黙って聞いていた沙耶が、建物を見上げたまま呟くように言った。
「月に一回、中庭でいろんなイベントをするんだけど、その手伝い。バーベキューとか、小さな子供たち相手にフットサルしたりとか、あと、クリスマスや餅つきやひな祭りとか、結構忙しいんだよ」
「奈緒はボランティア活動が趣味なんだよ」
「立派だわ。何の役にも立たない大島君とは大違いね」
「小島だよ」いい加減、突っ込むのが面倒になってきた。「それに、何の役にも立たないはないだろう」
「へえ、意外ね。あなたが社会奉仕活動をしているなんて」
「いや……別にしてねえけど……」
「やっぱり屑だわ」
面倒くさいので無視することにした。
「その知り合いってのを、早く呼んでこいよ」
「でも、なんか入りづらいなあ。いつもは他のボランティアの人たちも一緒だから。連絡もせずに勝手に入っていいのかもわからないし……」
鉄柵が開く音。沙耶が一人で中に入っていく。この女は躊躇という言葉を知らないらしい。中に入る前に、目の前の呼び鈴を押そうという発想はないのか。
沙耶が玄関の前で立ち止まって振り向いた。和哉を黙って見ている。
俺にドアを開けろってか。
和哉が玄関のドアを開けて中に入った。女子二人が後に続いた。子供たちの賑やかな声が聞こえるものと予想していたが、建物の中は静まり返っていた。
「ごめんください」
奈緒が玄関から奥に向かって呼びかけた。しばらくしてスリッパが床を叩く音が聞こえてきて、若い女性職員が顔を覗かせた。その顔が、どこか怯えているようだった。
「奈緒ちゃん?」
奈緒がお辞儀するのを見て、和哉も頭を垂れた。沙耶は突っ立ったまま、建物の内部を珍しそうに眺めていた。礼儀というものを知らんのか、この女は。
「英理子ちゃん、帰っていますか?」
女性職員が玄関にかけてある回転ネーム表示盤を見た。赤と白のブラスチックの名札がずらっと並んでいる。建物内にいるかどうかを表示している札らしい。佐藤英理子と書かれた名札は赤色になっていた。
「まだ帰ってきていないみたいね。中に入って待っていたら?」
お言葉に甘えようと靴を脱いだ。玄関を上がった正面がクリニックの待合室のようになっているので、そこのソファーに腰を下ろした。ここで玄関を見張っていれば、待ち人を見逃すことはないだろう。
「しかし、静かな場所だな。いつもこうなのか?」
「普段はもっと賑やかなんだけど」
「何かあったみたいね」沙耶が他人事のようにいった。「さっきの職員の人、顔に死相が出ていたわ」
死相はいいすぎだが、様子はおかしかった。沙耶も気づいていたようだ。
「子供を取り返そうと、また誰かが押しかけてきたのかしら?」
「取り返すって、何だよ」
「ここはね、両親から虐待を受けていた子供がたくさん保護されているの。そんな親が時々子供を返せって乗り込んでくることがあるんだって。施設としては、親が子供を返せといってきたら返さなくちゃならないのよ。でも、両親の元に戻ったからといって、その子が幸せになれるとは限らないの」
「親の暴力から逃げてきたのに、返しちまうのかよ」
「仕方ないのよ。法律で決まってるんだって。中には、風俗で働かせるために娘を引き取りに来る親もいるのよ」
「心の底から頼りにしたい親から虐げられるって、子供にとっては地獄ね」沙耶がどこか物悲しそうにつぶやく。今気づいたが、この女には仄暗い表情がよく似合う。
正面の玄関のドアが開いた。入ってきた女の子と目が合った。
「あ、奈緒ちゃん……」
色白の、ウェーブのかかった明るい茶髪の女の子が、ぽかんと口を開けてこちらを見ていた。どこの学校の制服かはわからないが、この施設から高校に通っているようだ。
奈緒が席を立って彼女に近寄っていった。
「私の友達よ」と奈緒が和哉と沙耶のことを紹介した。
佐藤英理子によると、塚崎美登里が施設を出たのは一か月前。美登里が奈緒と最後に会ったのが一週間前だったので、丸三週間、退所した事実を奈緒には黙っていたことになる。
そのことがショックだったのか、奈緒の口数が急に少なくなった。
「あなたは塚崎さんとは、仲が良かったのかしら?」奈緒に代わって、沙耶が聞いた。
「タメだし、同じ時期に入所したからね。けど、ここんところ会ってないんだ」
そういって、佐藤英理子が廊下の奥のほうを振り返った。職員がいないことを確認したようだった。
「この間、ここにやくざがやってきてさ。美登里がどこにいるか教えろって騒いだの。連中、中に上がって建物じゅう探したのよ」
やくざと聞いて、奈緒が身を竦ませた。それで、さっきの職員は怯えた顔をしていたのか。子供たちの声が聞こえないのも、部屋に入れて騒がないように指示しているのかもしれない。
「彼女、やくざと揉めているのかい?」和哉の言葉に奈緒が驚いた顔をした。
「何をやったかは知らないけど、そうみたい。一緒にいたタメの男の子に聞いたんだけど、やってきたのは石田組の組員だっていってた」
石田組。組員の顔を知っているということは、そのタメの男の子も盛り場に出入りしているのだろう。
「彼女が顔を出しそうな場所、知らないかな?」
和哉が身を乗り出した。
「ダイナマイト」佐藤英理子が答えた。
「ダイナマイト?」
「クラブ・ダイナマイト。スカルの溜まり場よ」
「スカルって、あの有名な不良グループかい?」
奈緒と沙耶が、同時に和哉を見た。「よく知ってるね」と、佐藤英理子。
「美登里って、なかなかやんちゃな女の子のようだな」和哉は横目で奈緒を見た。彼女の表情が固まっている。どうやら、美登里の素性を知らなかったようだ。
「塚崎さんは、スカルとつながりがあるのかい?」
「柏葉真治って知ってる? スカルのリーダー。そいつの女だよ」
奈緒の身体が、さらに硬くなるのがわかった。もちろん、奈緒はそのことを知らなかったのだろう。彼女の戸惑っている様子がそのことを示している。
仲のよかった友達がまさか不良グループのリーダーの女だったとは。児童養護施設の子供たちは、複雑な家庭で育ったものがほとんどだ。街の不良たちと相通じるものがあるのだろう。
「ダイナマイトって、どこにあるんだい?」
「田町の商店街のはずれにある、湘南ビルって雑居ビルの地下。まさか、乗り込む気?」
「普通のお店なんだろ?」
「あそこヤバイよ。薬とか売ってるし」
あまりに世間離れした話の内容に、奈緒も沙耶もいつの間にか喋るのを止めてしまっている。
佐藤恵理子もどこか自慢げにスカルのことを話している。この女もスカルとつながりがあるのだろう。
「塚崎さんと、どうしても話がしたいんだ」
「じゃあさ、アパートに寄ってみたら?」
「彼女のアパート、知ってるのかい?」
英理子がスマートフォンを取り出し操作した。「ここだよ」といって、液晶画面をこちらに向けた。
「あなた、わかる?」沙耶が英理子のスマートフォンを覗き込みながら和哉に聞いてきた。
「まあ、大体の地理は」
「じゃあ、すぐに行きましょう」
本気か? あまり柄のいい場所ではないのだが。
玄関のドアを開けて、中学生らしき女の子が帰ってきた。彼女が奈緒に気づいて、手を振って笑った。奈緒も笑って手を振り返したが、心ここにあらずといった感じだった。
「ねえ、英理子さん。次の金曜の夜、外で遊ぼうよ」
少女がカバンをソファーに放り投げ、英理子に話しかけた。
「金曜日はあれでしょ?」
「予定がなくなっちゃった」
「それは残念ね」
奈緒たち三人を無視して、二人が無邪気に笑いあっている。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
黒に染まった華を摘む
馬場 蓮実
青春
夏の終わりに転校してきたのは、忘れられない初恋の相手だった——。
高須明希は、人生で“二番目”に好きになった相手——河西栞に密かに想いを寄せている。
「夏休み明けの初日。この席替えで、彼女との距離を縮めたい。話すきっかけがほしい——」
そんな願いを胸に登校したその朝、クラスに一人の転校生がやってくる。
彼女の名は、立石麻美。
昔の面影を残しながらも、まるで別人のような気配をまとう彼女は——明希にとって、忘れられない“初恋の人”だった。
この再会が、静かだった日常に波紋を広げていく。
その日の放課後。
明希は、"性の衝動"に溺れる自身の姿を、麻美に見られてしまう——。
塞がっていた何かが、ゆっくりと崩れはじめる。
そして鬱屈した青春は、想像もしていなかった熱と痛みを帯びて動き出す。
すべてに触れたとき、
明希は何を守り、何を選ぶのか。
光と影が交錯する、“遅れてきた”ひと夏の物語。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる