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それぞれの
病室の中
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氷のように冷たくなった柚紀の体は、夏の温度からはまるで、別次元にいるようだった
「なんで…こんなに……」
死んでる訳では無い。脈も呼吸もある
体が冷たいのは大量に出血したからだと思っていた。
医師からの話だと命に別状は無いという事。にしても娘がこんなになったというのに見舞いにも来てない親というのもどうかと思うけど、来た時に鉢合わせしなかったのはラッキーだと思った
柚治君の話だと帰って来たのは0時を超えてた筈だから、すぐに切ったとしても、既に9時間を経過している。その間ずっと出血していたとしたら……。
~~コンコン~~
「失礼します。…君は望月さんと言ったかな?担当医の的井(まとい)です。御家族の方はお仕事で来れない為、代わりに話聞いてくれるかな?」
部屋を訪ねて来たのは柚紀の担当医だった。見た目は20代位だろうか。かなり若い気がする
案内されて来たのは待ち合い室だった。普通こういうのは診断室でやると思っていた
「コーヒー…でよかったかな?」
自販機でブラックのコーヒーを2本買うと1本こちらに投げ渡してくる。甘党だが、今はそんなの気にしてる場合は無い
「柚紀君の件だが、命に別状は無いよ。多少血は出たが、幸い血はすぐに乾き傷口を塞いだために多く出る事はなかった。ショックで寝込んではいるが、基本的に悪化するという事はないと思う」
書類やメモを何も見ずにペラペラと現状をこちらに伝えてくる。前母親の来た時は全て書類上の言葉のように聞こえたのが印象に残っているが、この人はそうじゃなかった
「慣れてるん…ですか?」
つい口に出た。的井さんは少し戸惑ったように見えたが、すぐに笑いながら
「相手側は病状は現状を深く知りたいものだろ?それを数々のデータから引用した文章で伝えるのは失礼に値すると思うからね。なるべく自分で考えた言葉で伝えるようにしてるよ…それに僕は自殺未遂などのメンタルケアも担当しているからね。」
「柚紀のメンタルケア…?柚紀は自殺しようとしたんですか?」
「リストカットとなるとそう考えるのは普通だが、稀にストレスや何かから逃げるためにする人がいるみたいだが…何か心当たりが?」
心当たり…そうなるのは昨日の俺の告白だ。それが原因になってるとは考えにくいが…それが原因だとしたら目覚めた時にちゃんと話がしたい。
「心当たりになるか、わかりませんが、柚紀が切り前の晩に会って、僕の隠してた事を話したんです。その時に少し様子は可笑しかったのは感じました」
「なるほど…ふむ……望月君が隠した事を話事によって、自分も隠してる事を話さないとというストレスを感じた…というのも考えれるが、詳しくは柚紀君に聞かないと分からないね。」
少し納得出来たかもしれない。柚紀の事はあまり聞かなかったから、何か隠してるのは思う事はなかった……。
走って来たのは柚紀の部屋にいた看護師さんだった。
「先生!!柚紀さんが!!」
俺と先生は走って柚紀の部屋に向かって行った。
柚紀は物凄い声で魘されていた。何やら叫んでいた
「痛い…痛いよ!!痛い痛い!!」
じたばたしながらもがいていた。今まで聞いたことないような声で叫んでいた
「柚紀!?どうした!?」
思わず柚紀の手を強く握る。熱は戻っていた。
「柚紀!柚紀!」
柚紀は目を覚まさない。周りの看護師の拘束を無駄にしてしまう程の力を出している。こんな柚紀は初めて見た。
俺はどうすることも出来ずにただ見てるだけだった
「なんで…こんなに……」
死んでる訳では無い。脈も呼吸もある
体が冷たいのは大量に出血したからだと思っていた。
医師からの話だと命に別状は無いという事。にしても娘がこんなになったというのに見舞いにも来てない親というのもどうかと思うけど、来た時に鉢合わせしなかったのはラッキーだと思った
柚治君の話だと帰って来たのは0時を超えてた筈だから、すぐに切ったとしても、既に9時間を経過している。その間ずっと出血していたとしたら……。
~~コンコン~~
「失礼します。…君は望月さんと言ったかな?担当医の的井(まとい)です。御家族の方はお仕事で来れない為、代わりに話聞いてくれるかな?」
部屋を訪ねて来たのは柚紀の担当医だった。見た目は20代位だろうか。かなり若い気がする
案内されて来たのは待ち合い室だった。普通こういうのは診断室でやると思っていた
「コーヒー…でよかったかな?」
自販機でブラックのコーヒーを2本買うと1本こちらに投げ渡してくる。甘党だが、今はそんなの気にしてる場合は無い
「柚紀君の件だが、命に別状は無いよ。多少血は出たが、幸い血はすぐに乾き傷口を塞いだために多く出る事はなかった。ショックで寝込んではいるが、基本的に悪化するという事はないと思う」
書類やメモを何も見ずにペラペラと現状をこちらに伝えてくる。前母親の来た時は全て書類上の言葉のように聞こえたのが印象に残っているが、この人はそうじゃなかった
「慣れてるん…ですか?」
つい口に出た。的井さんは少し戸惑ったように見えたが、すぐに笑いながら
「相手側は病状は現状を深く知りたいものだろ?それを数々のデータから引用した文章で伝えるのは失礼に値すると思うからね。なるべく自分で考えた言葉で伝えるようにしてるよ…それに僕は自殺未遂などのメンタルケアも担当しているからね。」
「柚紀のメンタルケア…?柚紀は自殺しようとしたんですか?」
「リストカットとなるとそう考えるのは普通だが、稀にストレスや何かから逃げるためにする人がいるみたいだが…何か心当たりが?」
心当たり…そうなるのは昨日の俺の告白だ。それが原因になってるとは考えにくいが…それが原因だとしたら目覚めた時にちゃんと話がしたい。
「心当たりになるか、わかりませんが、柚紀が切り前の晩に会って、僕の隠してた事を話したんです。その時に少し様子は可笑しかったのは感じました」
「なるほど…ふむ……望月君が隠した事を話事によって、自分も隠してる事を話さないとというストレスを感じた…というのも考えれるが、詳しくは柚紀君に聞かないと分からないね。」
少し納得出来たかもしれない。柚紀の事はあまり聞かなかったから、何か隠してるのは思う事はなかった……。
走って来たのは柚紀の部屋にいた看護師さんだった。
「先生!!柚紀さんが!!」
俺と先生は走って柚紀の部屋に向かって行った。
柚紀は物凄い声で魘されていた。何やら叫んでいた
「痛い…痛いよ!!痛い痛い!!」
じたばたしながらもがいていた。今まで聞いたことないような声で叫んでいた
「柚紀!?どうした!?」
思わず柚紀の手を強く握る。熱は戻っていた。
「柚紀!柚紀!」
柚紀は目を覚まさない。周りの看護師の拘束を無駄にしてしまう程の力を出している。こんな柚紀は初めて見た。
俺はどうすることも出来ずにただ見てるだけだった
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