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それぞれの
柑橘系
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結局、僕は柚紀の昏睡の理由も発作的に起こる大暴れも、理由を知らない。
診察室に入る時に、柚紀に拒まれたからだ。
これ以上恥ずかしい思いは出来ないらしい、待合室で柚紀を待ってると皺さんと会った
「やぁ望月君!やはりいるね。柚紀が目覚めたと柚治君から連絡が合った時は君が何かしてくれたと思ったよ!」
「おはよう、皺さん。朝早いんだね」
朝と言っても8時を過ぎている。普段起きてる時間の筈だから、早いという訳でもないらしい。
「いやっははー…実を言うと全く関係の無い理由で、柚治君に柚紀の中学の時の話しちゃってさー…バレたら私殺されちゃう。」
「あぁ…確か告白されたの断ったら、女子と対立して切れたって話ですか?」
これは柚紀の同じ中学の奴から聞いた話だ。付き合ったと知ると、相手の悪口を吹き込んでくる奴はたくさんいたが、この手の奴の方が多かった
「そーそー!あの子ったら教室で回し蹴りよ?それもスカートとか気にせずに思いっきりの!もー周りは仰天でさぁ!」
「…あの、皺さん。そろそろやめた方が…」
皺さんの後ろで、鬼の形相をした柚紀が立っていることに気がつくには、遅すぎた。静止を聞かずに皺さんは進めようとする。
「それにその相手がクラスのリーダー気取りの子でさ?もー後が大変…だった…?」
「りーえー?いつの話かなそれは。」
「あぁ…おはよう~柚紀…ちゃん?」
まさか聞いた僕までこっ酷く怒られるとは思いもしなかった。
結局僕らはコンビニまで、柚紀のお菓子を買わされる罰ゲームを受けた。
「あはは~災難だったね~望月君」
段差の上を子供のようにステップしながら笑いながらポッキーをリスの用に蓄えている皺さん相手に、最早意見を言う気もなく、ただ単に過ぎるのを待っていると
「ほんとに、君は一途だねぇ」
咥えたポッキーを折ると、その先端をこちらに向けて、皺さんが近寄ってくる。
「柚紀以外の子に見向きもしない…態度も違う。一途ってのは構わないけどさ、もう少し周りを見なよ。あんたは柚紀の彼氏なんだよ。あまりあんたの評判が落ちると柚紀が可哀想になる。」
いつになく真剣な皺さんに圧倒され、思わず息を呑む。
「それって…どういう?」
「あんたの事が好きな女子が、柚紀一人な訳がないんだよ。もう少しさ?」
そこまで言うと買ったお菓子の袋を僕に投げつけると、皺さんはどこかに行ってしまった。
1人大量のお菓子を抱え、道端に取り残された僕は、周りから見たら、買い物途中に喧嘩したカップルだろう。
「なんだよ…そんなんじゃ、まるで…」
考えるのはやめた。今は柚紀の事だけで充分だった。
「…深弥さん…皺さん…まさか。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
結局買ってきた大量のお菓子は「目覚めたばかりだから糖分が足りない。」とか言っていた柚紀の手で、午前中になくなった。
「あんまり食いすぎると余計体に悪いぞ」
「久しぶりだから大丈夫だもん。リハビリで動くし?」
そう言いつつポッキーの箱を開ける。
不意に皺さんのことを思い出してしまう。あの人の態度はもしかしたら。いや考えたくない。
「んぐっ!?」
突然口の中にポッキーの束を押し込まれる。
「あんた暗い。せっかく目覚めたのに寝か気か。食え食え」
半分力技で口に押し込まれたポッキーをなんとか食べ終わると
「あははははー!口にチョコついてるし、どんだけ勢い余って食べたの?」
「いや柚紀が押し込んだんだろ?!?」
「しーらない!」
そう言って、今度はじゃがりこを食べ始めた。全くもって幸せそうだ。
結局夏休みの間俺達2人の前に皺さんが現れる事は無かった。
診察室に入る時に、柚紀に拒まれたからだ。
これ以上恥ずかしい思いは出来ないらしい、待合室で柚紀を待ってると皺さんと会った
「やぁ望月君!やはりいるね。柚紀が目覚めたと柚治君から連絡が合った時は君が何かしてくれたと思ったよ!」
「おはよう、皺さん。朝早いんだね」
朝と言っても8時を過ぎている。普段起きてる時間の筈だから、早いという訳でもないらしい。
「いやっははー…実を言うと全く関係の無い理由で、柚治君に柚紀の中学の時の話しちゃってさー…バレたら私殺されちゃう。」
「あぁ…確か告白されたの断ったら、女子と対立して切れたって話ですか?」
これは柚紀の同じ中学の奴から聞いた話だ。付き合ったと知ると、相手の悪口を吹き込んでくる奴はたくさんいたが、この手の奴の方が多かった
「そーそー!あの子ったら教室で回し蹴りよ?それもスカートとか気にせずに思いっきりの!もー周りは仰天でさぁ!」
「…あの、皺さん。そろそろやめた方が…」
皺さんの後ろで、鬼の形相をした柚紀が立っていることに気がつくには、遅すぎた。静止を聞かずに皺さんは進めようとする。
「それにその相手がクラスのリーダー気取りの子でさ?もー後が大変…だった…?」
「りーえー?いつの話かなそれは。」
「あぁ…おはよう~柚紀…ちゃん?」
まさか聞いた僕までこっ酷く怒られるとは思いもしなかった。
結局僕らはコンビニまで、柚紀のお菓子を買わされる罰ゲームを受けた。
「あはは~災難だったね~望月君」
段差の上を子供のようにステップしながら笑いながらポッキーをリスの用に蓄えている皺さん相手に、最早意見を言う気もなく、ただ単に過ぎるのを待っていると
「ほんとに、君は一途だねぇ」
咥えたポッキーを折ると、その先端をこちらに向けて、皺さんが近寄ってくる。
「柚紀以外の子に見向きもしない…態度も違う。一途ってのは構わないけどさ、もう少し周りを見なよ。あんたは柚紀の彼氏なんだよ。あまりあんたの評判が落ちると柚紀が可哀想になる。」
いつになく真剣な皺さんに圧倒され、思わず息を呑む。
「それって…どういう?」
「あんたの事が好きな女子が、柚紀一人な訳がないんだよ。もう少しさ?」
そこまで言うと買ったお菓子の袋を僕に投げつけると、皺さんはどこかに行ってしまった。
1人大量のお菓子を抱え、道端に取り残された僕は、周りから見たら、買い物途中に喧嘩したカップルだろう。
「なんだよ…そんなんじゃ、まるで…」
考えるのはやめた。今は柚紀の事だけで充分だった。
「…深弥さん…皺さん…まさか。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
結局買ってきた大量のお菓子は「目覚めたばかりだから糖分が足りない。」とか言っていた柚紀の手で、午前中になくなった。
「あんまり食いすぎると余計体に悪いぞ」
「久しぶりだから大丈夫だもん。リハビリで動くし?」
そう言いつつポッキーの箱を開ける。
不意に皺さんのことを思い出してしまう。あの人の態度はもしかしたら。いや考えたくない。
「んぐっ!?」
突然口の中にポッキーの束を押し込まれる。
「あんた暗い。せっかく目覚めたのに寝か気か。食え食え」
半分力技で口に押し込まれたポッキーをなんとか食べ終わると
「あははははー!口にチョコついてるし、どんだけ勢い余って食べたの?」
「いや柚紀が押し込んだんだろ?!?」
「しーらない!」
そう言って、今度はじゃがりこを食べ始めた。全くもって幸せそうだ。
結局夏休みの間俺達2人の前に皺さんが現れる事は無かった。
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