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崩壊寸前の大国偏
魔族の存在
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私はまだ混乱している頭で、
「魔族とは、魔法を操る人の形をした化け物で間違いないか?」
と私の常識、少なくともこの国で一般的な常識として考えられる、魔族のイメージを口にした。
娘は、私のこの言葉に眉をしかめ、
「一般的にはそう言われていますが、私の知っている魔族は、化け物ではないですよ」
と責める口調で私に答えた。
その時、ドアをノックするコンコン、という音が聞こえた。
娘が、「入れ」と短く命ずると、
「失礼します」
という言葉とともに20代前半と思われる、男が入室してきた。
娘は入室してきた男に、こう言った。
「カイン丁度いいところに、すまないがお茶を持ってきてくれ、二人分だ、あと甘いお菓子もつけてくれ」
男、カインは頭を下げながら
「かしこまりました。しかし、その前にお知らせしたいことが、たった今、商人の方が到着したとの報告がありました。」
「ふむ今回は早い到着だったな。ああそちらはこちらに通すように言ってくれ。」
娘と男、カインのやり取りを黙って見ていた私に、娘は、
「ああ父上そういえば魔族のことが気になっていたんですよね、気になるならば今こっちに来る商人は魔族の男です、ここにいれば魔族がどんなものか分かりますよ。」
と言ってきた。
私は驚きを隠せないまま、
「あ、ああではここにいさせてもらおうか」
と言った。
「私は別にかまいません。相手も別に気にしないでしょう。あと、そんなにビクビクしなくても、魔族だからと言って人間を取って食いやしませんから」
と私の無意識の恐怖を感じ取ったのかフォロー?のようなものを言った。
男、カインは私の存在などないように、こちらには一切、視線を送らず、
「では姫様、姫様の口に合う飛び切りおいしいお茶を淹れてきます。」
といって部屋から去っていった。
「さて、商人が来るまで暇なので私は、書類整理をしてもいいですか?」
と呆然としている私に聞いてきた。
私は娘の言葉で現実に引き戻された。
「ああかまわない、邪魔をしているのは私なのだから」
と娘の言葉を了承した。
娘は私の言葉を聞いてすぐ、机に移動して机の上にある書類を見始めた。
少しの時間が経ちノックの音が聞こえた。
「姫様、お茶のご用意ができました。それともうすぐ商人の方が来ます。」
と扉越しに男、カインは伝えてきた。
「ああそうかではすぐに茶の用意をしてくれ。」
と娘は書類からは、目を離さずに男、カインに指示した。
男、カインはすぐに自分の後ろにあるものに手を伸ばし、
「かしこまりました、姫様、お茶はいつものでよろしかったでしょうか?」
と聞きながらも、スムーズにお茶の支度をしていく。
「ああ、お前の淹れてくれる茶いつもうまい、私の好みの味だ」
と娘は笑顔になって言った。
「お褒めいただきありがとうございます。いつも茶にあなたへの愛を注ぎながら淹れているのです」
と男、カインは薄ら寒いことを言った。
娘は今の言葉に、
「そうか」
とだけ言って聞き流した。
妙に慣れているように感じるな。
こいつのこの態度は、通常運転なのか?
私が頭の中でそう考えていると、
もう一度ノックが響き、私の目の前にいる男に似た声が聞こえた。
「姫様、失礼します。ジルガ様がおいでになりました。」
その声を聞いた娘は、
「開いている、入れ」
と答えた。
娘の応答に、外の男は、また「失礼します」と言いながら部屋に入って来た。
その男は、私の目の前にいる男と、声も見た目も何かもが似通っていた。
双子か何かか?
その男の後ろに、この国では見慣れない、朱色の髪に、銀色の目の男も続いた。
娘は二人が入室し、ドアを閉めた後に、
「よく来てくれた、ジルガ、今日は何を売りに来た?」
と最低限の挨拶をした後、単刀直入に娘は、質問をした。いやに親しげだ。
男は、私の方に一瞬だけ視線をやるがすぐに興味を失ったとばかりに、
娘の方に視線を戻して、
「お姫様も元気そうで何よりだ、いつも思うが、本題に入るのが早いなー」
とこちらも気やすい態度でこう返した。
「ふむ時間は有効活用しなくてはな、それで、私の質問の答えは?」
と男の言葉に相槌をうったあと、先ほど質問の答えを催促した。
「まあ焦んなよ、俺は逃げも隠れもしないんだからさ」
と軽口を叩いた。
「別に私は焦ってなどいないが」
と娘は少しふてくされたような顔になっていた。
「そういう顔もかわいいな、まあお姫様のご要望にこたえましょうか。」
男はそう言って持っていた荷物をあさり、あるものを出した。
「魔族とは、魔法を操る人の形をした化け物で間違いないか?」
と私の常識、少なくともこの国で一般的な常識として考えられる、魔族のイメージを口にした。
娘は、私のこの言葉に眉をしかめ、
「一般的にはそう言われていますが、私の知っている魔族は、化け物ではないですよ」
と責める口調で私に答えた。
その時、ドアをノックするコンコン、という音が聞こえた。
娘が、「入れ」と短く命ずると、
「失礼します」
という言葉とともに20代前半と思われる、男が入室してきた。
娘は入室してきた男に、こう言った。
「カイン丁度いいところに、すまないがお茶を持ってきてくれ、二人分だ、あと甘いお菓子もつけてくれ」
男、カインは頭を下げながら
「かしこまりました。しかし、その前にお知らせしたいことが、たった今、商人の方が到着したとの報告がありました。」
「ふむ今回は早い到着だったな。ああそちらはこちらに通すように言ってくれ。」
娘と男、カインのやり取りを黙って見ていた私に、娘は、
「ああ父上そういえば魔族のことが気になっていたんですよね、気になるならば今こっちに来る商人は魔族の男です、ここにいれば魔族がどんなものか分かりますよ。」
と言ってきた。
私は驚きを隠せないまま、
「あ、ああではここにいさせてもらおうか」
と言った。
「私は別にかまいません。相手も別に気にしないでしょう。あと、そんなにビクビクしなくても、魔族だからと言って人間を取って食いやしませんから」
と私の無意識の恐怖を感じ取ったのかフォロー?のようなものを言った。
男、カインは私の存在などないように、こちらには一切、視線を送らず、
「では姫様、姫様の口に合う飛び切りおいしいお茶を淹れてきます。」
といって部屋から去っていった。
「さて、商人が来るまで暇なので私は、書類整理をしてもいいですか?」
と呆然としている私に聞いてきた。
私は娘の言葉で現実に引き戻された。
「ああかまわない、邪魔をしているのは私なのだから」
と娘の言葉を了承した。
娘は私の言葉を聞いてすぐ、机に移動して机の上にある書類を見始めた。
少しの時間が経ちノックの音が聞こえた。
「姫様、お茶のご用意ができました。それともうすぐ商人の方が来ます。」
と扉越しに男、カインは伝えてきた。
「ああそうかではすぐに茶の用意をしてくれ。」
と娘は書類からは、目を離さずに男、カインに指示した。
男、カインはすぐに自分の後ろにあるものに手を伸ばし、
「かしこまりました、姫様、お茶はいつものでよろしかったでしょうか?」
と聞きながらも、スムーズにお茶の支度をしていく。
「ああ、お前の淹れてくれる茶いつもうまい、私の好みの味だ」
と娘は笑顔になって言った。
「お褒めいただきありがとうございます。いつも茶にあなたへの愛を注ぎながら淹れているのです」
と男、カインは薄ら寒いことを言った。
娘は今の言葉に、
「そうか」
とだけ言って聞き流した。
妙に慣れているように感じるな。
こいつのこの態度は、通常運転なのか?
私が頭の中でそう考えていると、
もう一度ノックが響き、私の目の前にいる男に似た声が聞こえた。
「姫様、失礼します。ジルガ様がおいでになりました。」
その声を聞いた娘は、
「開いている、入れ」
と答えた。
娘の応答に、外の男は、また「失礼します」と言いながら部屋に入って来た。
その男は、私の目の前にいる男と、声も見た目も何かもが似通っていた。
双子か何かか?
その男の後ろに、この国では見慣れない、朱色の髪に、銀色の目の男も続いた。
娘は二人が入室し、ドアを閉めた後に、
「よく来てくれた、ジルガ、今日は何を売りに来た?」
と最低限の挨拶をした後、単刀直入に娘は、質問をした。いやに親しげだ。
男は、私の方に一瞬だけ視線をやるがすぐに興味を失ったとばかりに、
娘の方に視線を戻して、
「お姫様も元気そうで何よりだ、いつも思うが、本題に入るのが早いなー」
とこちらも気やすい態度でこう返した。
「ふむ時間は有効活用しなくてはな、それで、私の質問の答えは?」
と男の言葉に相槌をうったあと、先ほど質問の答えを催促した。
「まあ焦んなよ、俺は逃げも隠れもしないんだからさ」
と軽口を叩いた。
「別に私は焦ってなどいないが」
と娘は少しふてくされたような顔になっていた。
「そういう顔もかわいいな、まあお姫様のご要望にこたえましょうか。」
男はそう言って持っていた荷物をあさり、あるものを出した。
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