お姫様と愉快な仲間たちの珍道中

ライ

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崩壊寸前の大国偏

優秀なげぼ・・従者たちからの知らせ

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シェランカと言う女は、主に他国の情報を集める、諜報員の役目を持っていた。
娘が統治するレインド地方は、小国だが三つの国が隣接している。
小国と言えど国は国、このデストランタ王国は、他国から一目置かれているが、
その分、警戒もされやすく、小さな一地方を攻め落として、その大きな領土を得ようとすることも、限りなく少ない数だがあった。
だから小さな地域の領主は、他国の侵略の可能性も視野に入れて統治しなくてはならない。
そして娘の統治するレインド地方はその限りなく少ない数の襲撃にあった場所の一つで、
その都度、王都から兵士を送り込んで、追い返した歴史があった。
娘はそう言った襲撃の目にも警戒をしていたようだ。
本当にかわいくないほどに、優秀な娘だな。
この手腕を隠していたとは。
末恐ろしいことこの上ないな。
しかし、味方であるからこそ、そのようなことが言えるのだろうが。
それでシェランカが集めた情報によると、
我が国の歴史から考えると、まだ浅い年月しか経っていないが普通の基準では大国と数えられる国が、何やら不穏な空気を放っているとのこと。
その国の名は、シャローク帝国。
建国500年を誇る大帝国だ。
ちなみに我が国は、建国2000年になる。
その国はレインドと隣接はしていないが、
小国を一つ挟んだだけの、距離しか離れていない。
従って、その挟んだ小国を、味方につければ戦争をすることも可能になる。
小国を味方にするのではなく、隷属させるという手もあるが。
しかしその帝国が不穏な理由は、他国に侵略するために軍備を整えているのでなく、
帝位継承でもめているからだと、
ただもめているのでなく誰が一番、皇帝にふさわしいか武力で決める勢いが問題なのだ。
この様な状態だから端といえど、大国の領土を侵略して名を挙げたい皇帝候補がいても、
おかしくないという、予想になった。
だが当代の皇帝は、老齢といえどまだ健在だ。
当代が生きている間は、まだ大丈夫だろうとのこと。
しかし当代も、もう60を過ぎている。
この年ならばそう遠くないうちに、亡くなるだろう。
そして当代の、世継ぎはまだ決まっていない。
というか、当代の子供の数が多すぎる。
この当代、他国でも噂になっているほどの女好きで、
王の子供は娘も合わせると100人近い。
この数は、多少の脚色もあるだろうが、
噂になる時点で、普通よりも多いのは間違いないだろう。
そして王子が50人くらいはいると仮定しても、
誰を皇帝にするかを決めるのは困難だ。
皇帝自身もそう考えたのか、世継ぎの話から逃げ続けているらしい。
これは、自業自得というものだ。
しかしそのせいで、我が国に被害が出ようとしているのも事実。
私としては他国の世継ぎ問題に、口を出すのは忍びないが、
我が国のためには、この話に口を出すのが正解だと思う。
娘も同じ考えのようで、娘が使者を送っているそうだ。
しかしそう簡単に他国の介入を許すはずもなく、使者を送っても、
無視を決め込んでいるらしい。
しつこい位に使者を、送っているからか、
シャローク帝国側は、娘が送った使者を暗殺しようと考えたようだ。
娘は優秀なものを送り込んだようで、娘の話によると多少のけがを負ったが、ちゃんと娘の元に帰っているようだ。
娘は次の手として、シェランカたち密偵を送り込んだようだ。
シェランカはその時、まだ他国での情報収集をしていたが、
手紙を送り、帝国に向かわせた。
他にも優秀な密偵を出して、帝国の内側を調べさせた。
密偵が集めた情報では皇帝候補として、名前があがっている中で、
今の、最有力候補が今年22歳になる17番目の王子だと。
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