悪役?面倒だから嫌に決まってる

ライ

文字の大きさ
8 / 11

第8話

しおりを挟む
「ど、どういうことだ、ギャラストが我が国を攻めているとは誠か!?」 
他国の賓客が大勢いる場で、大声で宣うアホがいた。
言わずと知れた?私の婚約者だ。
この状況をどうするか。とそのとき
「シルヴェスターの秘宝を寄越せ、だと?」
冷気が漂うほどに底冷えする声がアリクの口から漏れた。
どう見ても、こちらのほうをなんとかするのが先のようだ。
「あ、あのアリク兄様?落ち着いてください」
アイラは、何故かとてつもなく怒っているアリクをどうにか落ち着かせようと、語りかける。
しかし、アリクは可愛い妹の声すら聞こえないほど怒り狂っていた。
ギャラストの言う、シルヴェスターの秘宝とは、アイレイシア・シルヴェスターのことだ。
アイラ自身は知らないが、シルヴェスター一族及び、その領地のものたちは皆知っている。
そして、秘宝というからには、シルヴェスター一族も領民もアイラを大切にし、アイラも自身が秘宝と言われていることは知らないが、その思いを真摯に受け止めている。
そのような絆があるにも関わらず、上から目線の脅しをされて、怒りを顕にしないほうがおかしい。
それに加え、アリクは妹であるアイラを目に入れても痛くないというほどに溺愛している。
そんな溺愛する妹を、バカな理由で奪われそうになるなど、アリクからすればふざけるなと言いたくなることであろう。
だからこそ、アリクが狂ったような笑みを口元で浮かべていてもなんら問題はない。
例え、まわりの者が恐怖に戦いていたとしても。
溺愛する妹の声も聞こえないほど、怒りを顕に
「いい度胸だ。そちらがその気ならば、こちらも容赦する必要はない」
アリクはそう言い残して、その場から去っていった。
無視される形になったアイラは、ため息をつく。
「はあ、どうしたものか」
アリクのほうに伸ばしていた手をおろし、悩んでいると、まわりがざわざわとざわめき出した。
「ど、どういうことだ!グリュンは他国から戦争を仕掛けられているのか!」
先ほどのアホの言葉で、現状を知ってしまった賓客たちは混乱のなかにいた。
最初の言葉を皮切りに、皆口々に騒ぎだす。
兄のほうもどうにかしなくてはいけないが、アイラはとりあえずこの惨状をどうにかするのが先のようだと結論づけた。
「皆さん!落ち着いてください!」
朗々と、それほど大きな声量ではないが、それでいて会場全体に響く声で言い放つ。
皆がアイラの言葉に耳を傾け、先ほどまでざわめいていた者たちもアイラの言葉で落ち着きを取り戻し始める。
「状況は確かに異常事態ですが、我がシルヴェスター家の者がおります。この場にいらっしゃる皆々様をお守りすることなら王都の警備と我が家で分担すれば破れることは絶対にあり得ません。だからご安心くださいませ」
アイラは、状況の説明をすることなく、自分たちの力なら守れると断言することで、皆の心を落ち着かせようとした。
「ま、誠か?シルヴェスターとはそこまでの者たちなのか?」
他国の、しかもシルヴェスター家が管轄する領地とは反対に隣接する国の使者は、半信半疑の疑問を投げ掛ける。
アイラはその疑問を投げ掛けてきた使者の方を向く。
「ええ、貴殿の国とは密接していませんので、知らないのも当然でしょうが、我が家の者たちは皆精鋭揃い、しかも狙いは我がシルヴェスター家とのこと、我が家は興って以来、無敗を誇っております。そして、現在の王国元帥である叔父上は我が一族の中でも指折りの指揮官です。天と地がひっくり返ろうとも我が国が負けることはもとより、国の中心部であるここまで来させるようなこともさせません。ですから賓客の皆々様は本来の目的である、我が校の卒業生の獲得に勤しんでいただき、予定通りの帰国ができるよう用意致します。安心してください」
アイラは賓客たちに真摯に諭し、最後に安心しろと締めくくる。
アイラの言葉に賓客たちは皆安心した様子で、各々の目的たる人材確保にはしる。
そして、アイラはその様子を少し観察し、混乱することはないと判断した。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

拾った年上侯爵が甘え上手すぎて、よしよししてたら婚約することになりました

星乃和花
恋愛
⭐︎火木土21:00更新ー本編8話・後日談8話⭐︎ 王都の市場で花屋をしているリナは、ある朝―― 路地裏で倒れている“美形の年上男性”を拾ってしまう。 熱で弱っているだけ……のはずが、彼はなぜか距離が近い。 「行かないで」「撫でて」「君がいると回復する」 甘えが上手すぎるうえに、褒め方までずるい。 よしよし看病してあげていたら、いつの間にか毎日市場に現れるようになり、 気づけば花屋は貴族の面会所(?)になっていて―― しかも彼の正体は、王都を支える侯爵家の当主だった!? 「君は国のために必要だ(※僕が倒れるから)」 年上当主の“甘え策略”に、花屋の心臓は今日ももたない。 ほのぼの王都日常コメディ×甘やかし捕獲ラブ、開幕です。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

あっ、追放されちゃった…。

satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。 母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。 ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。 そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。 精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。

処理中です...