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礼儀作法も身分の違いも弁えない子爵家の令嬢の話は、当然同じ年頃の子どもたちだけでなく大人たちの耳にも入っている。彼らが行動したのは、まずその保護者を調べることだった。
フィールズ子爵家は、元々領地も狭くこれといった特産品もない。先代までは、かろうじてそれなりの体裁を保っていたが、当代になってしばらくして領地で作物の病気が流行った。もちろんフィールズ家だけでなく、他の領地にも広がって、そこそこ被害も出た。
元々ゆとりのなかったフィールズ家はあっさり蓄えを失い、貧しい領地を切り売りし何とかかんとかしのいでいたようだ。ところが更に、幼い娘が流行病に罹り、更に困窮して残っていた土地も使用人も全て手放したらしい。
そこから、貴族の情報網ではフィールズ家の動向は見えにくくなる。使用人がいないということは、外へ向いた口が無いということでもある。
最後に代々仕えていた家令とその妻のメイド頭を解雇し、何とか債務の整理はついたらしい。けれどいったん悪化した財政がそうそう回復するはずもない。まして領地を手放していれば収入も無いわけだ。そのままなら、またすぐ更なる負債で火だるまになってもおかしくなかった。
そこへ出てきたのが某商会だ。外国資本の入っているらしいその商会は、この国の貴族には馴染みが薄い。その商会がどういう伝手があったものか、フィールズ家の窮状に援助の手を伸べた。
後から思えばどうにも胡散臭い話だが、当時はその子爵家に注目する者もなかった。今度のことで詳しい調査が入り、わかったこともある。
その商会は、娘しかいないフィールズ家に婿入りして爵位を得ることが目的らしい。しかし国外につながりがあるのも確かなようで、潤沢な資産はそこに由来するようだ。かといって罪に問えるような振る舞いは無く、手の出しようがない。
それでも調査を進めるうち、フィールズ家にはもう一人子どもがいたことが判明した。リリィの双子の姉だというが、出生時の届けは出されているのに、いつの間にか姿が消えている。というか、調査の時点でフィールズ家は夫婦と娘一人の三人家族だ。しかし貴族院の記録の上では、娘は二人いるはずなのだ。
これはさすがに看過できない、と言うことになって貴族院から直接フィールズ子爵に事情聴取を行ったのだが。当人は家出しただの病気で死んだだの、言うことがころころ変わって信用できない。夫人にも話を聞くと、『気がついたらいなくなっていた』という。
それに託けてかなり深いところまで調査できたのは、貴族院側としては僥倖だった。ほとんど、というか使用人は全部他国から雇われてきた者で、商会の紹介で来た者ばかり。この国の言葉もあやしかったり、良く話を聞いてみると他国で奴隷として買われてきた者だったりした。
この国では奴隷制度は無い。他国でも残っているのはごく少数の、古い国だけだ。その国は歴史は長く由緒はあるが、当今は些か国力も落ち、かつての権威は無い。それを覆そうと陰謀を巡らせている疑いがあり、この国も神経を尖らせている状況だ。
とりあえず、貴族院が動向を見張っていると知らしめることで、下手な動きをとらないよう抑制する効果を狙ったのだが、実際効果があったのかどうかは怪しい。
後にわかったことでは、その時点で既にその商会は暗躍をしていたようなのだ。ある意味でフィールズ子爵家はその隠れ蓑にされていたと言えるかもしれない。
フィールズ子爵家は、元々領地も狭くこれといった特産品もない。先代までは、かろうじてそれなりの体裁を保っていたが、当代になってしばらくして領地で作物の病気が流行った。もちろんフィールズ家だけでなく、他の領地にも広がって、そこそこ被害も出た。
元々ゆとりのなかったフィールズ家はあっさり蓄えを失い、貧しい領地を切り売りし何とかかんとかしのいでいたようだ。ところが更に、幼い娘が流行病に罹り、更に困窮して残っていた土地も使用人も全て手放したらしい。
そこから、貴族の情報網ではフィールズ家の動向は見えにくくなる。使用人がいないということは、外へ向いた口が無いということでもある。
最後に代々仕えていた家令とその妻のメイド頭を解雇し、何とか債務の整理はついたらしい。けれどいったん悪化した財政がそうそう回復するはずもない。まして領地を手放していれば収入も無いわけだ。そのままなら、またすぐ更なる負債で火だるまになってもおかしくなかった。
そこへ出てきたのが某商会だ。外国資本の入っているらしいその商会は、この国の貴族には馴染みが薄い。その商会がどういう伝手があったものか、フィールズ家の窮状に援助の手を伸べた。
後から思えばどうにも胡散臭い話だが、当時はその子爵家に注目する者もなかった。今度のことで詳しい調査が入り、わかったこともある。
その商会は、娘しかいないフィールズ家に婿入りして爵位を得ることが目的らしい。しかし国外につながりがあるのも確かなようで、潤沢な資産はそこに由来するようだ。かといって罪に問えるような振る舞いは無く、手の出しようがない。
それでも調査を進めるうち、フィールズ家にはもう一人子どもがいたことが判明した。リリィの双子の姉だというが、出生時の届けは出されているのに、いつの間にか姿が消えている。というか、調査の時点でフィールズ家は夫婦と娘一人の三人家族だ。しかし貴族院の記録の上では、娘は二人いるはずなのだ。
これはさすがに看過できない、と言うことになって貴族院から直接フィールズ子爵に事情聴取を行ったのだが。当人は家出しただの病気で死んだだの、言うことがころころ変わって信用できない。夫人にも話を聞くと、『気がついたらいなくなっていた』という。
それに託けてかなり深いところまで調査できたのは、貴族院側としては僥倖だった。ほとんど、というか使用人は全部他国から雇われてきた者で、商会の紹介で来た者ばかり。この国の言葉もあやしかったり、良く話を聞いてみると他国で奴隷として買われてきた者だったりした。
この国では奴隷制度は無い。他国でも残っているのはごく少数の、古い国だけだ。その国は歴史は長く由緒はあるが、当今は些か国力も落ち、かつての権威は無い。それを覆そうと陰謀を巡らせている疑いがあり、この国も神経を尖らせている状況だ。
とりあえず、貴族院が動向を見張っていると知らしめることで、下手な動きをとらないよう抑制する効果を狙ったのだが、実際効果があったのかどうかは怪しい。
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