この手が生み出すキセキ ~ハンクラ魔女のお店にようこそ~

あきづきみなと

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パッチワーク・6

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「布地の展示を兼ねるなら、こういう手段もあります」
ヴィオラはいろいろな意味で、アンリエッタにとって頼れる存在になりつつある。もちろんジョゼフィーヌや、他の令嬢にとっても良い相談相手だ。
そのヴィオラが教えてくれたのは、端切れを縫い合わせるパッチワークだ。更に、それを進化させたものは、アンリエッタにとって魅力的な『商売になりそうな』代物。
「元々の図柄を、画家……絵師とかに描いてもらうんですよ。お仕事している人の中に、複写コピーのスキルがある人はいませんか?」
「そうね、探せばいると思うわ」
「でしたら、絵師の描いてもらった絵を複写して、それを下絵ベースにするんです。色のついた絵でもいいし、色は個人の好きにしても良し。それ用の端切れとやり方説明を一緒にして売り出すのは、いかがでしょう」
説明を聞いてみれば、手間はそれほどでもなさそうだ。ドレス用に誂えた布地とは言え、全て残さず使い切ることもまず無いし、その小さな端切れはしかし大概捨てるには惜しい色彩鮮やかなものだ。
反面、絵の具やら彩色するための道具は手間も金もかかる、職業画家ならともかく一般人にはそう簡単に手に入らない。だがアンリエッタの差配で布を売るのは難しくない。
「……いいわね、それ。どうせならドレスの絵もいいかも」
「そうですね、絵なら布地は少しで済みますし。……あとは風景画とか。花や森を、布で再現するのは美しいでしょう」
ヴィオラの提案は、アンリエッタをわくわくさせる。リカルドのそれは、道筋が伸びていく喜びだがヴィオラの場合は思いもかけないところに道を通していく、そういう感じだ。
「ありがとう、ヴィオラ!是非また、相談に乗ってちょうだいね!」

ヴィオラの方としては、パッチワークなら特にスキルを持たない人でも普通に縫い物が出来れば出来る。ならば新しい産物を、そのアイデアを提供するのは全く構わない。
言ってしまえば、ヴィオラ自身が直接手を出すほどの余裕はないし、魔法街から手を貸す暇や人も無い。まるっと商売人のアンリエッタに投げておくのが無難である。
実はついでに、アンリエッタの婚約者であるリカルドもちょっと調べてみた。魔法街では、その手の人物調査には専門家が利用できる。
リカルドは学内では女遊びに長けた色男、と噂されているそうだが、実際は違う。女性たちから言葉巧みに領地の現状を聞き出し、不満や要望をとりまとめる、王家の陰の一員と目されていた。
アンリエッタがそれを承知しているかどうかまではわからない、婚約者とはいえ、リカルドの家とアンリエッタの家は独立して別個にある。将来的に彼はアンリエッタの家に婿入りする予定だが、その際は王家から話があるだろう。
そしてその調査の過程でヴィオラも気がついた。
彼女の双子の妹、おそらく学園を引っかき回している張本人のリリィは既に相手にされていない。正確には現在在籍している唯一の王子に、完全に見切られているようなのだ。
未だ、学内では異性に媚びを売り、ちょっかいをかけては騒ぎを起こし、被害者意識丸出しで相手を罵ったりと好き勝手にしている様子ではあるし、ジョゼフィーヌたちにさんざん迷惑をかけているようなのだが。
おそらくは本命であるはずの王子はじめ、彼の側近たちからはまともに相手にされていない。
調査してわかったことだが、王子たちはリリィに対して警告はしている。だがそれでも寄ってくる彼女に、彼らも興味関心を失っているのが現状のようだ。

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