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B品・4
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最近、リリィ・フィールズはますます不機嫌なことが増えた。
本当なら学園内の貴公子たちに愛を乞われ、いちゃいちゃ甘甘の誰からもうらやましがられる学園生活を送っているはずだった、のに。
肝心なその貴公子たち、つまりリリィにとっての『攻略対象』たちとは、ろくに接点さえない。今や顔を見ることさえ稀な状態だ。もっと言ってしまえば、リリィには学園内で友人と言える存在もいない。
リリィが記憶では、前世のゲームに出てきた『隣国の商会の息子』は隠れキャラだった。ただ、攻略はできていない。隠れキャラだけあってかなり難易度が高かった。一応、出現条件とか大体の攻略方法についてはネットで漁って一通り記憶はしているが。
そもそも、その隠れキャラは基本的に1周目では出てこない。ある程度パラメータを上げた状態のまま2周目に入れば、後半でやっと出てくるレベルだ。
隣国の商会の、当主が愛人との間に作った子どもで世間からは隠されている。しかし実際は父の隠し球として、後ろ暗いことをしたり相手を誑しこんだりとなかなか活躍していた。だが主人公に、「あなたは、自分のために生きていいのよ……?」と囁かれ、彼女を守るため父や兄に立ち向かっていく、と言うキャラクターだった。
しかし、実際にはリリィが持ちかけられた婚約の相手はその後継者である長男の方。まだ十代半ばのリリィに対し、三十も超えた小太りでニキビだらけの男を紹介され、さすがに動揺して叫んだものだ。
「あたし、貴族学園に行くんです!もっとお金持ちで、身分も高い人が婚約申し込んできたらどうすればいいの!?」
「その時は、そのお相手とこちらも相談させていただきますよ。……お話し合いは、大事ですから」
にこやかに応じる会長は、しかしその目が笑っていないことにリリィも両親も気づかなかった。
リリィは自分が魅了のスキル持ちであることはわかっている。しかし教会に届けてもいないし一番深く術がかかっている両親もそれに気づいていない(おそらくかかり方が深すぎて認識できない状態)ので、誰にも知られていない、と慢心している。
しかし、その学園に入っても肝心な攻略対象は殆ど関わり合えず、彼女の目論見はいっこうに上手くいかない。
学園内では些か浮いてもいる。魅了のスキルも、殆ど意識しないほど当たり前に使っているのに、彼女に好意を示すのはなんというか魅力的とは言い難いレベルの面子で、それもあまり熱心とは言えない。ある程度熱をあげると、まるでスイッチが切れるようにスッと引いてしまう。甘い言葉を囁かれ幾らか貢がせたりするのが関の山で、それ以上に積極的になる人間は今のところ出てこない。
リリィは知識に欠けが多い。貴族子女としては致命的にものを知らず、なおかつ知ろうとするその心構えもない。彼女が知らないこと、知らなければならないことは当人が思っているより遥かに多いのだ。
その一つがスキル。ゲーム内では『魅力値』と表現されたが、実際今の世界では、他者のスキルを無効化する手段はいろいろある。特にリリィの魅了のような、精神に作用する力には十全の対策がなされているのが現状だ。特に高位貴族の子弟には顕著で、逆を言えばそこまでの家柄ではないと警戒が緩い場合もある。しかし、異常を察知されたらすぐ対策をとられる、のも現実なのだ。
その意味で、彼女は学園内のみならずこの国の貴族社会およびそれに連なる社交界に於いて危険人物と見なされている。当人の全く預かり知らぬところで。
本当なら学園内の貴公子たちに愛を乞われ、いちゃいちゃ甘甘の誰からもうらやましがられる学園生活を送っているはずだった、のに。
肝心なその貴公子たち、つまりリリィにとっての『攻略対象』たちとは、ろくに接点さえない。今や顔を見ることさえ稀な状態だ。もっと言ってしまえば、リリィには学園内で友人と言える存在もいない。
リリィが記憶では、前世のゲームに出てきた『隣国の商会の息子』は隠れキャラだった。ただ、攻略はできていない。隠れキャラだけあってかなり難易度が高かった。一応、出現条件とか大体の攻略方法についてはネットで漁って一通り記憶はしているが。
そもそも、その隠れキャラは基本的に1周目では出てこない。ある程度パラメータを上げた状態のまま2周目に入れば、後半でやっと出てくるレベルだ。
隣国の商会の、当主が愛人との間に作った子どもで世間からは隠されている。しかし実際は父の隠し球として、後ろ暗いことをしたり相手を誑しこんだりとなかなか活躍していた。だが主人公に、「あなたは、自分のために生きていいのよ……?」と囁かれ、彼女を守るため父や兄に立ち向かっていく、と言うキャラクターだった。
しかし、実際にはリリィが持ちかけられた婚約の相手はその後継者である長男の方。まだ十代半ばのリリィに対し、三十も超えた小太りでニキビだらけの男を紹介され、さすがに動揺して叫んだものだ。
「あたし、貴族学園に行くんです!もっとお金持ちで、身分も高い人が婚約申し込んできたらどうすればいいの!?」
「その時は、そのお相手とこちらも相談させていただきますよ。……お話し合いは、大事ですから」
にこやかに応じる会長は、しかしその目が笑っていないことにリリィも両親も気づかなかった。
リリィは自分が魅了のスキル持ちであることはわかっている。しかし教会に届けてもいないし一番深く術がかかっている両親もそれに気づいていない(おそらくかかり方が深すぎて認識できない状態)ので、誰にも知られていない、と慢心している。
しかし、その学園に入っても肝心な攻略対象は殆ど関わり合えず、彼女の目論見はいっこうに上手くいかない。
学園内では些か浮いてもいる。魅了のスキルも、殆ど意識しないほど当たり前に使っているのに、彼女に好意を示すのはなんというか魅力的とは言い難いレベルの面子で、それもあまり熱心とは言えない。ある程度熱をあげると、まるでスイッチが切れるようにスッと引いてしまう。甘い言葉を囁かれ幾らか貢がせたりするのが関の山で、それ以上に積極的になる人間は今のところ出てこない。
リリィは知識に欠けが多い。貴族子女としては致命的にものを知らず、なおかつ知ろうとするその心構えもない。彼女が知らないこと、知らなければならないことは当人が思っているより遥かに多いのだ。
その一つがスキル。ゲーム内では『魅力値』と表現されたが、実際今の世界では、他者のスキルを無効化する手段はいろいろある。特にリリィの魅了のような、精神に作用する力には十全の対策がなされているのが現状だ。特に高位貴族の子弟には顕著で、逆を言えばそこまでの家柄ではないと警戒が緩い場合もある。しかし、異常を察知されたらすぐ対策をとられる、のも現実なのだ。
その意味で、彼女は学園内のみならずこの国の貴族社会およびそれに連なる社交界に於いて危険人物と見なされている。当人の全く預かり知らぬところで。
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