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《第一話b》あの日(続き)
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思い返せば、家に着いたとき家が完全に真っ暗なのはおかしかった。母は常々僕にこう言っていた。
「家が真っ暗だと泥棒に『家には誰もいませんよ』と言っているようなものだから、例え誰もいなくてもどこかしらの電気を点けておきなさい」
これは意外に正しく、昔帰宅した際、母の寝室の電気が点いているのが見えたので母がいるのかと思ったら母はおらず、なんなら母は僕が帰宅した約三時間後に帰宅した。
よって、今日帰ってきた時に家の電気が一つも点いていなかったのはおかしい。コップの片付けを忘れるほど急いでいたにせをここまで母が何かをおろそかにするなどありえない。それにコンビニ飯を買う日は母から決まって「健康的なものにしなさい」というメールが届くのにも関わらず今日に限って来なかった。
これほどおかしなことが連続していたのにどうして今の今まで気が付かなかったのだろうか。
改めて足元にある「それ」に目を向ける。触ってみる。
冷たい。
もう一度、今日の出来事を思い返す。
やはりおかしい。
再び「それ」を確認する。
「それ」は僕の知る「もの」に酷似していた。
そう僕のよく知る「者」に。
その「者」は僕がこの世で一番愛した「母」だった。
「母」の
死体だった。
「家が真っ暗だと泥棒に『家には誰もいませんよ』と言っているようなものだから、例え誰もいなくてもどこかしらの電気を点けておきなさい」
これは意外に正しく、昔帰宅した際、母の寝室の電気が点いているのが見えたので母がいるのかと思ったら母はおらず、なんなら母は僕が帰宅した約三時間後に帰宅した。
よって、今日帰ってきた時に家の電気が一つも点いていなかったのはおかしい。コップの片付けを忘れるほど急いでいたにせをここまで母が何かをおろそかにするなどありえない。それにコンビニ飯を買う日は母から決まって「健康的なものにしなさい」というメールが届くのにも関わらず今日に限って来なかった。
これほどおかしなことが連続していたのにどうして今の今まで気が付かなかったのだろうか。
改めて足元にある「それ」に目を向ける。触ってみる。
冷たい。
もう一度、今日の出来事を思い返す。
やはりおかしい。
再び「それ」を確認する。
「それ」は僕の知る「もの」に酷似していた。
そう僕のよく知る「者」に。
その「者」は僕がこの世で一番愛した「母」だった。
「母」の
死体だった。
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