俺が聖女で彼女が騎士〜話題の強制tsゲーで遊んでみたら何かに目覚めそうになっている件について~

ぽいづん

文字の大きさ
12 / 19

第12話 旅立ち

しおりを挟む
 庶務と書かれた部屋の前に、私とクレアさんでやって来る。
「ここでNPCに買い出しに行くって、申請をするとメモを貰えるからその通りに買い物をしてくるんだ」
「所謂お使いイベントってやつですよね?」
「そう。まさにそれ。実際にお使いにいくわけだしね」

 NPCからメモを受け取ると修道院の鐘がゴーン、ゴーンと鳴った。
「あっ! メアリーさんの旅立ちだわ」
 そうクレアさんが呟く。

「メアリーさんが救国編に行くんですか?」
「そうよ。修道院の門から見送りましょう」

 私とクレアさんは修道院の外部に通じる門に向かった。

 門の前にたどり着くと他の聖女達も見送りに来ている。流石にシスターカスリーンやその取り巻きの姿はない。
 クレアさんが小声で話しかけてくる。

「アンドレアさんの右隣にいるのがシスターリューネよ」
 tsランキング3位の……確かにこの修道院で一番の美女と言っても差し支えなさそう……万人が万人とも美女とも認める顔立ちと言ってもいい……だけど、あの人ずっと手鏡で自分の顔を見てるよ……まああんな美人ならそれをしたくなるのも分からんでもない……

 まあでもAIでみんな理想の容姿になってるはずなのになと疑問に思う。

「あそこに居るのがシスターフレイヤ」
 門の近くにいる女性をみながらクレアさんが言った。

 ダークサイドの体現者というぐらいだし、あのシスターカスリーンより性格の悪さで、ランキングが上なんだから相当凄いんだろう……確かにぱっと見は、吊り目で目付きが悪く、凄く性格のきつそうな顔に見える。

 まあ、あんな典型的な悪役Sキャラっているよねって感じがぷんぷんと伝わってくるような人だ。

 そこに身長180センチはありそうな騎士アンドリューさんと身長140センチぐらいのメアリーさんと院長が一緒に現れる。

 院長が声高に宣言をする。
「二人に祝福を! 二人にはこれから困難が待ち受けているだろう……サーアンドリュー、シスターメアリーは二人で助け合い、ともに苦難を乗り越え、この国を救うことに身を捧げることを誓いました。二人に神の御加護を!」

 院長が言い終わると同時にその場に居る聖女全員で手を前に組んで二人に神の御加護があらんことを祈る。

 そしてアンドリューさんが口を開く。
「シスターメアリーと共に苦難を乗り越え必ず国を救います」
 言い終わると同時メアリーさんが話し始める。
「私が入院して3ヶ月、色んな方に出会いが私を聖女として導いてくれました。皆さんには感謝しています。ベルファルガー修道院に幸あらんことを!」

 メアリーさんの話が終わると二人は見送りにきた聖女達に一礼をすると、そのまま真っ直ぐ門の外に向かって歩き始める。

 そして門の外にでると二人はその姿が消える。

 私はそれを見て呟く。
「メアリーさん行っちゃいましたね……」
「なんか寂しいよね……もう会えないし」
「そうですよね……救国編にいったらもう会えないですもんね……」
「まっそれがメアリーさんの選択だったわけだから」
「ですね……それをメアリーさん望んだことですしね」

 クレアさんはうんと頷くと眼鏡をグッと上げて気を取り直したという感じで話を続ける。

「それじゃ私達は買い出しの為に村、行こうか?」
「はい」

 それからクレアさんと倉庫に行ってリヤカーを出してくる。
「私リヤカー引きますよ」
 クレアさんに私はそう告げる。クレアさんにリヤカーを押させると外見上私の方が年上なのに年下の少女に重いものをもたせてる悪役聖女みたいな感じなってしまう。

「だったらお願いするねー」
 そうしてクレアさんが先を歩き、私がリヤカーを引いてメアリーさん達が出ていった門をくぐって外の世界に飛び出した。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...