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第15話 騎士見習いユージン
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「自分は騎士見習いのユージンと申します」
ユージンと名乗った彼は尻もちを着いている私に、右手を差し出す。
「わ、私はアレクシア……ベルファルガー修道院の聖女です……」
恥ずかしさを隠すため消え入りそうに震える声でユージンに伝える。
ちょっと待って! ……騎士見習いってことは中身は女の子だからこの胸の高鳴りはセーフ! セーフの筈!! そうよ。相手は女よ。だったらこの心臓の鼓動と火照る頬は自然なこと……そう思いながらその右手を握る。
その感触は硬く引き締まった男の手というような感じで、また胸の鼓動が速くな……っちゃだめ! 男を感じさせるところで胸がときめくのは危険!!
そのままグッと引き上げられる私
「え?……」
その力強さでバランス崩す私。そのまま仰向けに転びそうになったが、腹部に自分の体重を感じそれ以上は倒れない……
そのまま顔を横に向けるとユージンの顔が私の息が掛かる程の距離になってしまった。
「ちょ!!」
そう言って無理やり火照る顔を両手で隠した私はその場で蹲る。
「ど、どうしたの? 痛かった?」
ユージンは慌てた様子で私に声を掛けてくる。私は首を横に振るだけで精一杯。
だいたいゲームなんだから痛みなんて感じないわ……って……こんなことしてる場合じゃない!! クレアさんを助けないと!!
「ユージンさん! もう一人聖女がいてその人もオオカミに襲われてるんです!! 」
私がそういうと童顔がさっきオオカミを倒した時のように、引き締まって凛々しい顔のユージンに戻る。そして一言「分かった」と呟く。
おもむろに私の前で背中を向けて、屈むユージン。
「え?」
と私が言うとユージンは事もなげにこう言った。
「おんぶしますよ。アレクシアさん。貴方をここに置いて行くわけにも行かないでしょ? それに足、怪我してますよね?」
た、確かに足を挫いてる……
「さっ早く乗って下さい。もう一人の聖女様を救わないと! 」
催促され、私は渋々、ユージンの背中に抱きつく。密着すると胸の辺りが鉄製の甲冑を纏っているせいか、ひんやりとする。
そ、そうよこの鉄の甲冑があるから私の胸のドキドキが伝わる心配はないわ……
おんぶされて少し歩くとユージンがすまなさそうに話し掛けてくる。
「アレクシアさんの心拍数が高いようですが……乗り心地が悪いですか?」
「い、いえ乗り心地はゆめみごこ……じゃなくて、問題ないです……色々あって胸か高なってるだけです」
「そうですよね! 死ぬような思いしたんですからね。仕方ないです」
な、なんで甲冑着てるのに心拍数が分かるのよ!!ってゲームなのに、そんな細かいとこまで再現してるの?! なんとか誤魔化せたから良かったものの……
話題! 話題を変えないと!! そ、そうだ、この人仕草とか男っぽいし、ゲーム始めて長そう。これ聞いて話題を変えよう。
「ユージンさんはこのゲームを始めてどれくらいんなんですか?」
「1カ月ぐらいですかね? まだ女っぽいでしょうか?よく先輩に怒られるんですよね。女が出てるって」
「い、いえ、男の私の目から見てもどっからどうみても男ですよ!」
「またまたぁ! おだてたって何もでませんよ?」
そうは言うが嬉しそうなユージン。
というか冷静に考えるとこれって褒めてんの?
「アレクシアさんだってまんまわ……いや女じゃないですか? 仕草や言葉遣いだって、女の自分が見ても女の子のそれですよ?2カ月?いや3カ月ぐらいですか?」
でたーたぶん褒めてるつもりなんだろうけど、褒められてるような気がしないやつぅぅ。
どうしよう本当の事を言って5時間とか言ったら『えええええ!! ……5時間!! それって……』とか言われて引かれてちゃうよね……
「えっと3か月です……」
「あー3か月ですかぁ。自分にはもうチャンスないですよね……」
ユージンは私の答えを聞いて寂しそうにそう返事をした。
え! えええええええええええええええええええええええええええ!!!
ユージンのその返事を聞いて一気に頭の中が真っ白になる。
ど、どうしよう……実は嘘ついてましたとか言ったら嫌われる? あああああもうわけわかんない!!!本当のこといっちゃえ!!
「じ……じつは……」
「し!」
私が口を開くとユージンは強い言葉で制して、小声で私に話しかける。
「近くに誰かいます……半径25メートル圏内です」
そういって私を降ろして剣を構えるユージン。
「な、なんでわかるの?」
小声で聞き返すと
「自分のスキルは気配探知スキルで25メートル以内にいる動物の鼓動や息遣いが分かるスキルなんです。近くに人間2人の鼓動と息遣いを感じました」
2人? だったらクレアさんじゃない……
「アレクシアさんと一緒に逃げた人は一人ですよね?」
私はうんと頷く。
「野盗の可能性もある……」
ユージンはそう言って剣をその方向に向ける。
その方向からガザゴゾと音が聞こえ始め、ユージンの構える剣に力が入っているのが分かる。
そして私たちの見ている方向からユージンと同じような銀色の甲冑を纏った男が女性をお姫様抱っこしながら現れる。その女性の視線はうっとりとした感じで抱きかかえている男の顔を眺めている。
そうそれはクレアさんがお姫様だっこを見知らぬ騎士にされていたのだった。
そして騎士が私達を見て
「ユージン?」
と声を発した。
ユージンと名乗った彼は尻もちを着いている私に、右手を差し出す。
「わ、私はアレクシア……ベルファルガー修道院の聖女です……」
恥ずかしさを隠すため消え入りそうに震える声でユージンに伝える。
ちょっと待って! ……騎士見習いってことは中身は女の子だからこの胸の高鳴りはセーフ! セーフの筈!! そうよ。相手は女よ。だったらこの心臓の鼓動と火照る頬は自然なこと……そう思いながらその右手を握る。
その感触は硬く引き締まった男の手というような感じで、また胸の鼓動が速くな……っちゃだめ! 男を感じさせるところで胸がときめくのは危険!!
そのままグッと引き上げられる私
「え?……」
その力強さでバランス崩す私。そのまま仰向けに転びそうになったが、腹部に自分の体重を感じそれ以上は倒れない……
そのまま顔を横に向けるとユージンの顔が私の息が掛かる程の距離になってしまった。
「ちょ!!」
そう言って無理やり火照る顔を両手で隠した私はその場で蹲る。
「ど、どうしたの? 痛かった?」
ユージンは慌てた様子で私に声を掛けてくる。私は首を横に振るだけで精一杯。
だいたいゲームなんだから痛みなんて感じないわ……って……こんなことしてる場合じゃない!! クレアさんを助けないと!!
「ユージンさん! もう一人聖女がいてその人もオオカミに襲われてるんです!! 」
私がそういうと童顔がさっきオオカミを倒した時のように、引き締まって凛々しい顔のユージンに戻る。そして一言「分かった」と呟く。
おもむろに私の前で背中を向けて、屈むユージン。
「え?」
と私が言うとユージンは事もなげにこう言った。
「おんぶしますよ。アレクシアさん。貴方をここに置いて行くわけにも行かないでしょ? それに足、怪我してますよね?」
た、確かに足を挫いてる……
「さっ早く乗って下さい。もう一人の聖女様を救わないと! 」
催促され、私は渋々、ユージンの背中に抱きつく。密着すると胸の辺りが鉄製の甲冑を纏っているせいか、ひんやりとする。
そ、そうよこの鉄の甲冑があるから私の胸のドキドキが伝わる心配はないわ……
おんぶされて少し歩くとユージンがすまなさそうに話し掛けてくる。
「アレクシアさんの心拍数が高いようですが……乗り心地が悪いですか?」
「い、いえ乗り心地はゆめみごこ……じゃなくて、問題ないです……色々あって胸か高なってるだけです」
「そうですよね! 死ぬような思いしたんですからね。仕方ないです」
な、なんで甲冑着てるのに心拍数が分かるのよ!!ってゲームなのに、そんな細かいとこまで再現してるの?! なんとか誤魔化せたから良かったものの……
話題! 話題を変えないと!! そ、そうだ、この人仕草とか男っぽいし、ゲーム始めて長そう。これ聞いて話題を変えよう。
「ユージンさんはこのゲームを始めてどれくらいんなんですか?」
「1カ月ぐらいですかね? まだ女っぽいでしょうか?よく先輩に怒られるんですよね。女が出てるって」
「い、いえ、男の私の目から見てもどっからどうみても男ですよ!」
「またまたぁ! おだてたって何もでませんよ?」
そうは言うが嬉しそうなユージン。
というか冷静に考えるとこれって褒めてんの?
「アレクシアさんだってまんまわ……いや女じゃないですか? 仕草や言葉遣いだって、女の自分が見ても女の子のそれですよ?2カ月?いや3カ月ぐらいですか?」
でたーたぶん褒めてるつもりなんだろうけど、褒められてるような気がしないやつぅぅ。
どうしよう本当の事を言って5時間とか言ったら『えええええ!! ……5時間!! それって……』とか言われて引かれてちゃうよね……
「えっと3か月です……」
「あー3か月ですかぁ。自分にはもうチャンスないですよね……」
ユージンは私の答えを聞いて寂しそうにそう返事をした。
え! えええええええええええええええええええええええええええ!!!
ユージンのその返事を聞いて一気に頭の中が真っ白になる。
ど、どうしよう……実は嘘ついてましたとか言ったら嫌われる? あああああもうわけわかんない!!!本当のこといっちゃえ!!
「じ……じつは……」
「し!」
私が口を開くとユージンは強い言葉で制して、小声で私に話しかける。
「近くに誰かいます……半径25メートル圏内です」
そういって私を降ろして剣を構えるユージン。
「な、なんでわかるの?」
小声で聞き返すと
「自分のスキルは気配探知スキルで25メートル以内にいる動物の鼓動や息遣いが分かるスキルなんです。近くに人間2人の鼓動と息遣いを感じました」
2人? だったらクレアさんじゃない……
「アレクシアさんと一緒に逃げた人は一人ですよね?」
私はうんと頷く。
「野盗の可能性もある……」
ユージンはそう言って剣をその方向に向ける。
その方向からガザゴゾと音が聞こえ始め、ユージンの構える剣に力が入っているのが分かる。
そして私たちの見ている方向からユージンと同じような銀色の甲冑を纏った男が女性をお姫様抱っこしながら現れる。その女性の視線はうっとりとした感じで抱きかかえている男の顔を眺めている。
そうそれはクレアさんがお姫様だっこを見知らぬ騎士にされていたのだった。
そして騎士が私達を見て
「ユージン?」
と声を発した。
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