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第16話 本当の気持ち
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「ガレニオ先輩! 」
ユージンがガレニオ先輩といった人はユージンより一回り大きな体で、短く黒い髪に無精髭を生やした男らしいイケメンというような感じの人だった。
抱っこされたまま私の方を見たクレアさんが口を開いた。
「アレクシアちゃん!! 生きててよかったーーーー」
クレアさんの足首に巻かれた布ようなものから水のようなものが滴り落ちる。それは水より粘稠性が高くどうみてもクレアさんの血液……
私はそれを見て青い顔をしてクレアさんに話しかける。
「クレアさん足……」
「うん……私はオオカミに噛まれちゃって……もうだめと思ったときに……ガレニオ様に助けて頂いたの……」
語尾を妙に艶っぽく話すクレアさん。
……あれ?確かクレアさんって……
この時、私は2点ほど疑問に思ったことがある。それはクレアさんは奇跡、ヒールが使えるにもかかわらず足から血を流して動けないとお姫様抱っこをされているということ。
そしてボクっ娘のクレアさんの一人称が『私』と淑女っぽく話をしているということ……この2点については修道院に帰ってから本人から聞くことにしようと思う……
「その様子だとそちらの聖女様はユージンが助けたようだな」
「はい。自分はオオカミ討伐のクエストをしていましたらこちらの聖女様が逃げておられたので」
「おお! さすがユージン、騎士学校でも優秀な成績を修めてるだけではある」
へぇぇユージンって優秀なんだ……じゃあ来月辺りには騎士選定に……? 私はブンブンと頭を振ってユージンへの思いを否定する。
「ガレニオ先輩にそう言われるなんて嬉しいです」
褒められて嬉しいのか照れ笑いをするユージン。剣を構えたときの凛々しい顔とのギャップで胸がキュンなりかける。
「しかしクレア殿は聖女の中の聖女です。出血のスリップダメージが入っている中、修道院にお送りしますという私の提案より、あなたを先に探してくださいと涙ながらに訴えられておりました……」
「ガレニオ様は、私のことを買いかぶりすぎです……」
クレアさんそう言うと二人は見つめ合って頬を赤らめて視線を逸らす。
その場の雰囲気に耐えられなくなったのかユージンが2人に声を掛ける。
「自分たちもクレアさんを探していたので無事に見つかって良かったです。クレア様もアレクシア様も足を怪我してるようですし修道院までお送りしましょう」
私はユージンにおんぶをされ、クレアさんはガレニオさんに抱っこをされてそれぞれが自分のナイトのような感じで歩き始める。
クレアさんとガレニオさんはいい雰囲気で話を二人で話をしながら歩いている。
私達も他愛もない話をしながらおんぶされて歩く。
その会話の一つ一つが楽しくて、嬉しかった。
ほんの数十分で修道院前にたどり着く。それは一瞬のようで永遠のような感じだった。それでも終焉はやってくる。ユージンとの楽しい時間の終焉。
ガレニオさんがクレアさんを地面に降ろして話しかけてくる。
「私達騎士は騎士選定の時まで修道院の敷地に入ることは出来ません。クレア殿、先程おしえたIDに……」
とコソコソと二人で話しをしているのが聞こえてくる。
ユージンも私を降ろす。
「それじゃ、アレクシアさん自分は行きますね。もう会えないかもしれませんけど、あなたに会えてよかったです」
ユージンは少し寂しそうにそう言って踵を返す。
これでいいんだ。私は……彼女が欲しくて始めたゲームなんだから……別にユージンにこだわってる訳じゃない。そうこれでいい……
本当にこれでいいの?……私の本当気持ちはこれでいいの?
嫌だ!! ……また会いたい!!!
ユージンに会いたい!!! この気持ちは嘘偽りはない!!! できるならユージンと一緒に旅をしたい!!!
なら本当のことをユージンに言うしかない!!
「私……実は……始めて5時間で徳も積めてないし、奇跡も何も覚えてません。だけど……あなたがユージンさんが私を選んでくれるような聖女になります!! 」
私は目から熱い物が自然に溢れてくる感覚を感じながらユージンに必死に伝えた。
それを言うとユージンはくるっと振り返って私に向かって話しかけてくる。
「3ヶ月後あなたを必ず選びます。それまで頑張ってください」
「はい……」
私とクレアさんは二人が見えなくなるまで見送った。二人が見えなくなった途端、クレアさんは自分の足に手を当ててヒールを使用しているように見える。
「あ! クレアさんなんでヒール使わなかったんですか!! 」
「そりゃ抱っこされたいもん。あんなイケメンにお姫様抱っこされるの断る女なんて居ないよね?」
あんた中身男でしょ……
「それにボクっ娘もやめてましたよね?」
「ほら、ガレニオ様ってノーマルっぽいでしょ?ボクっ娘はだめかなってね」
この人めっちゃ計算高いんだけど……
「じゃ、じゃあ騎士選定に出るんですか?」
「勿論、ガレニオ様のSNSのID聞いたし、ガレニオ様が出るときに合わせて選定にでるよ」
「アンドレア様を目指すってのはどうなったんですか?」
「やっぱりこのゲーム救国編進まないと運営に失礼でしょ? 頑張って作ってるんだし」
クレアさんはニヤっと私に笑い掛けて話を続ける。
「でもアレクシアちゃんのあの涙の告白も良かったーあれで心が動かない男はいないよ。これで確実にあの子はアレクシアちゃんを指名するとおもうよ。僕、あれ見て感動したもん」
私はクレアさんにそう言われてユージンに言ったことを思い出して赤面をした。
ユージンがガレニオ先輩といった人はユージンより一回り大きな体で、短く黒い髪に無精髭を生やした男らしいイケメンというような感じの人だった。
抱っこされたまま私の方を見たクレアさんが口を開いた。
「アレクシアちゃん!! 生きててよかったーーーー」
クレアさんの足首に巻かれた布ようなものから水のようなものが滴り落ちる。それは水より粘稠性が高くどうみてもクレアさんの血液……
私はそれを見て青い顔をしてクレアさんに話しかける。
「クレアさん足……」
「うん……私はオオカミに噛まれちゃって……もうだめと思ったときに……ガレニオ様に助けて頂いたの……」
語尾を妙に艶っぽく話すクレアさん。
……あれ?確かクレアさんって……
この時、私は2点ほど疑問に思ったことがある。それはクレアさんは奇跡、ヒールが使えるにもかかわらず足から血を流して動けないとお姫様抱っこをされているということ。
そしてボクっ娘のクレアさんの一人称が『私』と淑女っぽく話をしているということ……この2点については修道院に帰ってから本人から聞くことにしようと思う……
「その様子だとそちらの聖女様はユージンが助けたようだな」
「はい。自分はオオカミ討伐のクエストをしていましたらこちらの聖女様が逃げておられたので」
「おお! さすがユージン、騎士学校でも優秀な成績を修めてるだけではある」
へぇぇユージンって優秀なんだ……じゃあ来月辺りには騎士選定に……? 私はブンブンと頭を振ってユージンへの思いを否定する。
「ガレニオ先輩にそう言われるなんて嬉しいです」
褒められて嬉しいのか照れ笑いをするユージン。剣を構えたときの凛々しい顔とのギャップで胸がキュンなりかける。
「しかしクレア殿は聖女の中の聖女です。出血のスリップダメージが入っている中、修道院にお送りしますという私の提案より、あなたを先に探してくださいと涙ながらに訴えられておりました……」
「ガレニオ様は、私のことを買いかぶりすぎです……」
クレアさんそう言うと二人は見つめ合って頬を赤らめて視線を逸らす。
その場の雰囲気に耐えられなくなったのかユージンが2人に声を掛ける。
「自分たちもクレアさんを探していたので無事に見つかって良かったです。クレア様もアレクシア様も足を怪我してるようですし修道院までお送りしましょう」
私はユージンにおんぶをされ、クレアさんはガレニオさんに抱っこをされてそれぞれが自分のナイトのような感じで歩き始める。
クレアさんとガレニオさんはいい雰囲気で話を二人で話をしながら歩いている。
私達も他愛もない話をしながらおんぶされて歩く。
その会話の一つ一つが楽しくて、嬉しかった。
ほんの数十分で修道院前にたどり着く。それは一瞬のようで永遠のような感じだった。それでも終焉はやってくる。ユージンとの楽しい時間の終焉。
ガレニオさんがクレアさんを地面に降ろして話しかけてくる。
「私達騎士は騎士選定の時まで修道院の敷地に入ることは出来ません。クレア殿、先程おしえたIDに……」
とコソコソと二人で話しをしているのが聞こえてくる。
ユージンも私を降ろす。
「それじゃ、アレクシアさん自分は行きますね。もう会えないかもしれませんけど、あなたに会えてよかったです」
ユージンは少し寂しそうにそう言って踵を返す。
これでいいんだ。私は……彼女が欲しくて始めたゲームなんだから……別にユージンにこだわってる訳じゃない。そうこれでいい……
本当にこれでいいの?……私の本当気持ちはこれでいいの?
嫌だ!! ……また会いたい!!!
ユージンに会いたい!!! この気持ちは嘘偽りはない!!! できるならユージンと一緒に旅をしたい!!!
なら本当のことをユージンに言うしかない!!
「私……実は……始めて5時間で徳も積めてないし、奇跡も何も覚えてません。だけど……あなたがユージンさんが私を選んでくれるような聖女になります!! 」
私は目から熱い物が自然に溢れてくる感覚を感じながらユージンに必死に伝えた。
それを言うとユージンはくるっと振り返って私に向かって話しかけてくる。
「3ヶ月後あなたを必ず選びます。それまで頑張ってください」
「はい……」
私とクレアさんは二人が見えなくなるまで見送った。二人が見えなくなった途端、クレアさんは自分の足に手を当ててヒールを使用しているように見える。
「あ! クレアさんなんでヒール使わなかったんですか!! 」
「そりゃ抱っこされたいもん。あんなイケメンにお姫様抱っこされるの断る女なんて居ないよね?」
あんた中身男でしょ……
「それにボクっ娘もやめてましたよね?」
「ほら、ガレニオ様ってノーマルっぽいでしょ?ボクっ娘はだめかなってね」
この人めっちゃ計算高いんだけど……
「じゃ、じゃあ騎士選定に出るんですか?」
「勿論、ガレニオ様のSNSのID聞いたし、ガレニオ様が出るときに合わせて選定にでるよ」
「アンドレア様を目指すってのはどうなったんですか?」
「やっぱりこのゲーム救国編進まないと運営に失礼でしょ? 頑張って作ってるんだし」
クレアさんはニヤっと私に笑い掛けて話を続ける。
「でもアレクシアちゃんのあの涙の告白も良かったーあれで心が動かない男はいないよ。これで確実にあの子はアレクシアちゃんを指名するとおもうよ。僕、あれ見て感動したもん」
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