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第2章 騎士学校
第24話 闘牛士
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俺達はいつものように中庭で食事を摂る。マーフも食堂のパンを食べているのだが、なぜかメイドのアリシアさんも同席している。
あの戦いから1週間ほどが経った。
俺が芝生の上で寝そべっていると食事を終えたシャウラとマーフが話をしているのが聞こえてくる。
「シャウラは軍略家になりたいのかそりゃ勉強熱心なはずよね」
「僕は運動があまり得意ではないからね。マーフさんはなんで剣聖を目指しているの?女の子なのに」
マーフは少し言葉に詰まる。
「そ、そりゃ一番強い人間だもの目指すのも当然だわ」
「そうかマーフさんは強くなりたいんだね」
「12代剣聖ジェンヌ・ローハイムのようになりたいのよ」
「女性初の剣聖で舞踏剣術を提唱した剣の母かぁ」
「さすがシャウラよく知ってるわね。私の舞踏剣術は私の速さを考慮してレグルスがアレンジをしてくれているから正統派の舞踏剣術ではないんだけどね」
「舞踏剣術って僕も幼いときに習ったけど実戦でやってる人は少ないよね」
「舞踏剣術は女、子どもの剣術として過小評価されているわ」
時計塔の鐘が鳴り午後の授業の開始を知らせる。
俺達は道場に向かう。今日は道場で剣術の訓練である。スタンツ・アタリアが道場にいる奴はこの2週間程度学校に来ていなかったなんでも、アタリア家の領地での神事があるとかでいつもこの季節には2週間程休学するらしい。
スタンツがいなかったおかげで取り巻きの連中比較的静かに過ごしていたのだが…もどってきたことで活気づいている。いつもは午後の授業には出ることは少ないのだが、今日からまた戻ってくるということで午後の授業に参加している。
スタンツがマーフをみて声を掛けている。
「やあ、マーフ・アリステル。君がこの学校に来ていると聞いたときは驚いたよ」
「あら、久しぶりねスタンツ」
「マーフ、君の叔父上殿が言っていたぞアリステル家のことを考えてほしいと」
「私が剣聖になればなんの問題ないでしょ?」
スタンツは腹を抱えて笑い出す。
「あははははは女が剣聖になれるわけ無いだろうが」
周囲の生徒たちの視線が集まる。そのことをマーフは知ってか余裕な表情で大きめの声を出す。
「12代剣聖は女よそんなことも知らないの?」
「知ってるよ。知った上で言ってるんだ。史上最弱剣聖だろ」
「あら剣聖も出したことのない金しか持ってないどこぞの貴族よりはマシなんじゃないかしら?」
スタンツはムッとした表情をし
「今のご時世、剣聖の称号などなんの役にも立たんわ!」
「あらそう、あなたの昔自慢してたじゃない俺は我が家初めての剣聖になるってね」
「そんな昔事は知らん!!」
真っ赤な顔で怒鳴りつけダンと床を踏み鳴らす。
マーフは至って冷静でその表情には少し悪意感じ、さらにスタンツの事を煽ろうとしているようにさえ見える。
「そう忘れたのかしら?あなたのお父上も自慢してたのにねぇ」
「うるさい!!!!だまれ!!このクソ女が!!」
スタンツは頭からは湯気がでそうな勢いで怒っている。
マーフは冷静でマタドールのように怒り狂っているスタンツを相手にし華麗に立ち回っているようにさえ見える。
「じゃあ勝負してみる?私はぜんぜんかまわないわよ」
「勝負?俺がお前と?笑わせるな!!」
「あら?それほどの自信があるならいつでも私は相手になるわよ」
スタンツは右手を出し叫ぶ
「剣!!!」
取り巻きの一人が走って木剣を手渡す。
マーフがニヤリと笑う。
「ふざけるな真剣だ真剣をもってこい!このクソ女を叩ききらんと納まりつかんわ!!」
取り巻きが恐る恐る声を掛ける。
「スタンツ様…冷静になりましょう今は…」
そして取り巻きが耳打ちをするとスタンツはふっと我に返ったようにそれまでずっとマーフの事を睨んでいた目を逸らし、いつもの冷ややかな目に戻る。
「これは失礼しましたアリステル家のご令嬢を傷つけることがあってはならない。ここは私が矛をおさめましょう」
マーフは勝負する気満々だったようで突然の豹変に肩透かしを食らったような表情をする。
「私との勝負から逃げるっていうの!?」
「ではこれで私は失礼します」
スタンツは相手にせず取り巻きと道場から去っていった。
何が起こったのか分からずきょとんとしている俺にシャウラが話しかけてくる。
「スタンツは僕らの学年では一番強かったんだ君やマーフさんがくるまではね」
「へぇぇあいつも強いのか」
「とても君やマーフさんのレベルじゃないし、午後の授業にもほとんどでてないし先生も口出しできないからとても強くなるって感じじゃない」
「練習しなくても強いからサボってたのか」
「そういうことだね」
そこにマーフがやってきて悔しそうに話をする。
「あの野郎ほんと昔から大っ嫌いだったからボコボコにしてやろうと思ったのに」
「急にうって変わってなにがあったんだろうね」
シャウラも不思議そうな顔をしている。
俺も腕を組み会話に参加する。
「あれは腹痛だな。間違いない腹が痛くなって勝負どころじゃなくなったんだ」
「それはないよ…」
「そうね…」
2人の厳しい視線が痛かった…
あの戦いから1週間ほどが経った。
俺が芝生の上で寝そべっていると食事を終えたシャウラとマーフが話をしているのが聞こえてくる。
「シャウラは軍略家になりたいのかそりゃ勉強熱心なはずよね」
「僕は運動があまり得意ではないからね。マーフさんはなんで剣聖を目指しているの?女の子なのに」
マーフは少し言葉に詰まる。
「そ、そりゃ一番強い人間だもの目指すのも当然だわ」
「そうかマーフさんは強くなりたいんだね」
「12代剣聖ジェンヌ・ローハイムのようになりたいのよ」
「女性初の剣聖で舞踏剣術を提唱した剣の母かぁ」
「さすがシャウラよく知ってるわね。私の舞踏剣術は私の速さを考慮してレグルスがアレンジをしてくれているから正統派の舞踏剣術ではないんだけどね」
「舞踏剣術って僕も幼いときに習ったけど実戦でやってる人は少ないよね」
「舞踏剣術は女、子どもの剣術として過小評価されているわ」
時計塔の鐘が鳴り午後の授業の開始を知らせる。
俺達は道場に向かう。今日は道場で剣術の訓練である。スタンツ・アタリアが道場にいる奴はこの2週間程度学校に来ていなかったなんでも、アタリア家の領地での神事があるとかでいつもこの季節には2週間程休学するらしい。
スタンツがいなかったおかげで取り巻きの連中比較的静かに過ごしていたのだが…もどってきたことで活気づいている。いつもは午後の授業には出ることは少ないのだが、今日からまた戻ってくるということで午後の授業に参加している。
スタンツがマーフをみて声を掛けている。
「やあ、マーフ・アリステル。君がこの学校に来ていると聞いたときは驚いたよ」
「あら、久しぶりねスタンツ」
「マーフ、君の叔父上殿が言っていたぞアリステル家のことを考えてほしいと」
「私が剣聖になればなんの問題ないでしょ?」
スタンツは腹を抱えて笑い出す。
「あははははは女が剣聖になれるわけ無いだろうが」
周囲の生徒たちの視線が集まる。そのことをマーフは知ってか余裕な表情で大きめの声を出す。
「12代剣聖は女よそんなことも知らないの?」
「知ってるよ。知った上で言ってるんだ。史上最弱剣聖だろ」
「あら剣聖も出したことのない金しか持ってないどこぞの貴族よりはマシなんじゃないかしら?」
スタンツはムッとした表情をし
「今のご時世、剣聖の称号などなんの役にも立たんわ!」
「あらそう、あなたの昔自慢してたじゃない俺は我が家初めての剣聖になるってね」
「そんな昔事は知らん!!」
真っ赤な顔で怒鳴りつけダンと床を踏み鳴らす。
マーフは至って冷静でその表情には少し悪意感じ、さらにスタンツの事を煽ろうとしているようにさえ見える。
「そう忘れたのかしら?あなたのお父上も自慢してたのにねぇ」
「うるさい!!!!だまれ!!このクソ女が!!」
スタンツは頭からは湯気がでそうな勢いで怒っている。
マーフは冷静でマタドールのように怒り狂っているスタンツを相手にし華麗に立ち回っているようにさえ見える。
「じゃあ勝負してみる?私はぜんぜんかまわないわよ」
「勝負?俺がお前と?笑わせるな!!」
「あら?それほどの自信があるならいつでも私は相手になるわよ」
スタンツは右手を出し叫ぶ
「剣!!!」
取り巻きの一人が走って木剣を手渡す。
マーフがニヤリと笑う。
「ふざけるな真剣だ真剣をもってこい!このクソ女を叩ききらんと納まりつかんわ!!」
取り巻きが恐る恐る声を掛ける。
「スタンツ様…冷静になりましょう今は…」
そして取り巻きが耳打ちをするとスタンツはふっと我に返ったようにそれまでずっとマーフの事を睨んでいた目を逸らし、いつもの冷ややかな目に戻る。
「これは失礼しましたアリステル家のご令嬢を傷つけることがあってはならない。ここは私が矛をおさめましょう」
マーフは勝負する気満々だったようで突然の豹変に肩透かしを食らったような表情をする。
「私との勝負から逃げるっていうの!?」
「ではこれで私は失礼します」
スタンツは相手にせず取り巻きと道場から去っていった。
何が起こったのか分からずきょとんとしている俺にシャウラが話しかけてくる。
「スタンツは僕らの学年では一番強かったんだ君やマーフさんがくるまではね」
「へぇぇあいつも強いのか」
「とても君やマーフさんのレベルじゃないし、午後の授業にもほとんどでてないし先生も口出しできないからとても強くなるって感じじゃない」
「練習しなくても強いからサボってたのか」
「そういうことだね」
そこにマーフがやってきて悔しそうに話をする。
「あの野郎ほんと昔から大っ嫌いだったからボコボコにしてやろうと思ったのに」
「急にうって変わってなにがあったんだろうね」
シャウラも不思議そうな顔をしている。
俺も腕を組み会話に参加する。
「あれは腹痛だな。間違いない腹が痛くなって勝負どころじゃなくなったんだ」
「それはないよ…」
「そうね…」
2人の厳しい視線が痛かった…
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