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第5章 魔法の国のスピカ
第93話 父の想い
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「いってきまーす」
「いってらっしゃい」
門の外まで一緒に妻と出て、娘の登校を見送る。
娘の姿がみえなくなるまで見送ると私は感極まりボソッと呟く。
「こうやって子供を見送ることができる日が来るとは……」
それを聞いた妻はただただ悲しげな顔をして立ち尽くした。
娘スピカの魔素測定の結果はとんでもないものだった。
「リゲル様! 娘さんですが……」
測定員の男が慌てた様子で私のもとに駆け寄ってきた時、5年前のことが脳裏をよぎった。
「……まさか……スピカもなのか?」
私は全身から血の気が引いていく感覚に襲われる。
「い、いえ……娘さんスピカさんの魔素は測定不能です」
「な……どういうことだ! スピカはラグウェルと違って魔法も使える。なのになんで!」
「違います……魔素が高すぎて測定することができません! 推定1万以上です」
「1万だと……」
天才魔術師と言われる私の魔素は1500程、妻も1000程度だ。ペンタグラムの一般的に魔法を使えるものが100前後なのだ。
そうスピカの魔素は常識を覆すレベル。
「もしかしたらスピカさんは導く者なのかも……」
「まさか、あれはただの伝承だろ」
「すいません。失礼します」
測定員はそう言って紙に何かを書く、すると文字が浮かび上がってくる、それに何か指示があったようで測定をした部屋に戻る。
スピカの魔力は確かに目をみはるものがあった。あの子は呼吸をするかのように魔法がつかえ、3歳で既に一般的な魔法がつかえるようになっていた。
そんな娘だからこそ、魔素測定は大丈夫だと信じていた。しかし心のどこかで兄のことがあり、不安でたまらなかった。
それがこの結果となり私は安堵し妻も涙を流して喜んだ。
その夜、食堂で3人で食卓を囲む。
木の人形が食事を運んできて食卓に並べていく。
準備ができたところで
「さあ、いただこう」
私の合図で食事を食べ始める。
「スピカ、来週から学校だな」
魔素測定が終わる10歳から18歳までこの国のものは一律で魔術学校に通う。正しく魔法を使うことを学ぶために。
「うん。楽しみ」
スピカの嬉しそうな顔をみて幸福感を覚える。
妻はまた感極まり涙ぐんでいる。
「フェルト、スピカの前だ」
「ええ……」
そう言って涙を拭う。
「お母さんったら大げさねー」
「うん。あなたが学校にいけて嬉しいの……」
「フェルトは昔から涙脆いから」
そう言ってフォローをする。
あの日、我が息子を送り出したあの日。私はスピカに一つの暗示を掛けた……それは兄ラグウェルは存在をしていないというものだ。
悲しい思いをするのは私と妻だけでいい、スピカにそんな思いはさせたくないそれだけだった。
スピカに兄ラグウェル記憶はない。しかし暗示も万能ではない。兄の存在を思い出す切っ掛けがあれば吹き出すように思い出してしまう。だからスピカの前では兄に話題は絶対にしてはならない。
それは私達夫婦にとって苦痛だった。忘れようがない。忘れられるはずもない。兄ラグウェルのことをスピカの前では話すことも許されない。
やっとそれが報われる時が来た。私はそう思いながら娘の顔を見た。
「お父さんもどうしたの? 私の魔素そんなに大変だったの?」
私もついつい涙ぐんでいたらしくスピカに心配をさせてしまった
「いやあんな小さかったスピカが大きくなったなと思ってな」
「今日の二人なんか変だよ? ごちそうさまでした」
食事を終えたスピカは椅子から降り食堂の扉を開く。
「忘れるはずがない……忘れられるはずもない」
娘の姿を見送りながら私はそう呟いていた。
「いってらっしゃい」
門の外まで一緒に妻と出て、娘の登校を見送る。
娘の姿がみえなくなるまで見送ると私は感極まりボソッと呟く。
「こうやって子供を見送ることができる日が来るとは……」
それを聞いた妻はただただ悲しげな顔をして立ち尽くした。
娘スピカの魔素測定の結果はとんでもないものだった。
「リゲル様! 娘さんですが……」
測定員の男が慌てた様子で私のもとに駆け寄ってきた時、5年前のことが脳裏をよぎった。
「……まさか……スピカもなのか?」
私は全身から血の気が引いていく感覚に襲われる。
「い、いえ……娘さんスピカさんの魔素は測定不能です」
「な……どういうことだ! スピカはラグウェルと違って魔法も使える。なのになんで!」
「違います……魔素が高すぎて測定することができません! 推定1万以上です」
「1万だと……」
天才魔術師と言われる私の魔素は1500程、妻も1000程度だ。ペンタグラムの一般的に魔法を使えるものが100前後なのだ。
そうスピカの魔素は常識を覆すレベル。
「もしかしたらスピカさんは導く者なのかも……」
「まさか、あれはただの伝承だろ」
「すいません。失礼します」
測定員はそう言って紙に何かを書く、すると文字が浮かび上がってくる、それに何か指示があったようで測定をした部屋に戻る。
スピカの魔力は確かに目をみはるものがあった。あの子は呼吸をするかのように魔法がつかえ、3歳で既に一般的な魔法がつかえるようになっていた。
そんな娘だからこそ、魔素測定は大丈夫だと信じていた。しかし心のどこかで兄のことがあり、不安でたまらなかった。
それがこの結果となり私は安堵し妻も涙を流して喜んだ。
その夜、食堂で3人で食卓を囲む。
木の人形が食事を運んできて食卓に並べていく。
準備ができたところで
「さあ、いただこう」
私の合図で食事を食べ始める。
「スピカ、来週から学校だな」
魔素測定が終わる10歳から18歳までこの国のものは一律で魔術学校に通う。正しく魔法を使うことを学ぶために。
「うん。楽しみ」
スピカの嬉しそうな顔をみて幸福感を覚える。
妻はまた感極まり涙ぐんでいる。
「フェルト、スピカの前だ」
「ええ……」
そう言って涙を拭う。
「お母さんったら大げさねー」
「うん。あなたが学校にいけて嬉しいの……」
「フェルトは昔から涙脆いから」
そう言ってフォローをする。
あの日、我が息子を送り出したあの日。私はスピカに一つの暗示を掛けた……それは兄ラグウェルは存在をしていないというものだ。
悲しい思いをするのは私と妻だけでいい、スピカにそんな思いはさせたくないそれだけだった。
スピカに兄ラグウェル記憶はない。しかし暗示も万能ではない。兄の存在を思い出す切っ掛けがあれば吹き出すように思い出してしまう。だからスピカの前では兄に話題は絶対にしてはならない。
それは私達夫婦にとって苦痛だった。忘れようがない。忘れられるはずもない。兄ラグウェルのことをスピカの前では話すことも許されない。
やっとそれが報われる時が来た。私はそう思いながら娘の顔を見た。
「お父さんもどうしたの? 私の魔素そんなに大変だったの?」
私もついつい涙ぐんでいたらしくスピカに心配をさせてしまった
「いやあんな小さかったスピカが大きくなったなと思ってな」
「今日の二人なんか変だよ? ごちそうさまでした」
食事を終えたスピカは椅子から降り食堂の扉を開く。
「忘れるはずがない……忘れられるはずもない」
娘の姿を見送りながら私はそう呟いていた。
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