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初心者編
第9話 王の覚醒
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その日はユーリさんと遅くまでレベル上げを行い、アバターレベル5、ジョブレベル3まで上げることができた。
次の日はユーリさんは仲間と約束があるとのことでタケシが捕まらなければ、一人でレベル上げとなる。
――翌朝
学校の下駄箱で、タケシを見つけるなり話かける。
「タケシ、今日レベル上げ付き合えないか?」
「すまん! 今日も約束があってなぁ明日なら大丈夫」
「そっか……」
なら一人でレベルを上げるまで! ユーリさんに効率の良いクエストも聞いた。
ようは回復さえなんとかすれば良いんだよなぁ……
回復、回復ねぇ……そうかアイテム使えば良いか。昨日のクエスト周回で1500Gは持ってる。
授業中にいつものサイトを開き、回復アイテムについて調べる。
『NPCから買える薬草とユーザーメイドの薬草があり、ユーザーメイドの薬草の方が効果は高い場合が多い』
ふむふむ。ユーザーメイドの薬草を買った方がいいのか。
まてよ……自分で作れるのか! 薬草の作り方はどうするんだ?
農産物の作り方と書かれたリンクを開くと、
『農夫になり、畑を購入する必要がある。植物栽培のスキルがあればハイクォリティーな農産物が作れるぞ!』
と書いてある。
あーこれ時間かかるやつだし、今は生産系興味ないからいいか……
放課後直帰しアルターに即IN。
噴水広場が目に飛び込んでくる。周囲を見渡すとゴザを敷いて草を広げているオーバーオールの男がおり、ゴザの前に立ちその男に話かける。
「これ薬草ですか?」
「そうだよ。料理の素材に回復に使えるよ」
「どれぐらい回復するんですか?」
「30ぐらいかな」
「へぇぇ」
「君、初心者? だったら安くしとくよ。レベル上げ大変でしょ」
「え! いいんですか?」
「NPCと同じ値段で売ってあげるよ」
そして俺はハイクォリティーな薬草を150個買い込みレベル上げに臨む。
150個も必要ないようにも思えるが死んでレベルが下がるよりはマシだ。
アバターレベル5、ジョブレベル3の効率の良いクエストは昨日ユーリさんから聞いたジャイアントモス討滅だそうだ。
『鱗粉攻撃』に気をつけて戦うことと言われた。
西の森の深くまで入って行くと遺跡があり、そこがジャイアントモスの寝ぐらであるとクエストの紹介文に書いてあった。
一人鬱蒼とする森の中を15分程歩いて行くと、開けた場所に出ると、アンコールワットのような遺跡が目の前に拡がる。
それと同時にクエストポイントを示す矢印が点滅を始める。
ここにジャイアントモスがいるんだな。
遺跡の中を注意深く歩いていると、人が手を広げたぐらいの大きさの蛾が柱に止まっているのが見えた……
あれか。気づかれないようにしないとな……
不意打ちの一発目はダメージが1.5倍になる。それを狙えば効率良く狩れる。
ソロリソロリと歩き、目標まで5メートルに迫った頃。
え……こんなにいるとか聞いてないんだけど……
ジャイアントモスがとまる柱の裏に4.5匹のジャイアントモスが見える。
もしここで戦えばあいつらにも気づかれかねない。
多分ユーリさんはパーティで戦うことを前提に、このクエストを勧めてくれたんだろう……タケシとレベル上げするって言ったもんな……
……引き返そうとした瞬間、足元に落ちていた枝を踏みペキ!っと音を立てる。
その瞬間、ジャイアントモスの1匹がフワリと宙に舞い、俺に向かって飛んでくる。
俺はクルリと踵を返し走り出す。しかし、ジャイアントモスのスピードは俺よりも速く、前に周りこまれる。
しかし、あの群れから距離を取ることは成功した、ここなら、群れに気づかれずやれるかもしれない。
俺は剣を構え、空を舞うジャイアントモスと対峙する。
すかさずダブルスラッシュをタップし、ジャイアントモスに斬りこむ。
しかし俺の攻撃をあざ笑うかのようにフワリとかわす。そしてジャイアントモスの身体が発光し、羽を羽ばたかせ黄色の粉を撒き散らす。
それを避けることができず、目の前が黄色い粉のようなもので覆われて、視界の中央に赤い文字で蛾毒! と表示がされる。
そして視界の右上に蝶のアイコンと120と表示された。
これが鱗粉攻撃か……広範囲で避けようがない……しかも毒であの身のこなし……まずい……
毒の状態だが2秒に3ダメージが入っている。
今の最大HPは50だがそれでも40秒程で無くなる計算だ。
HPが30を切ったら回復をしよう。30回復するならそれでも満タンになる。
今は奴に攻撃を当てることに意識を集中させるんだ。
今度はスラッシュをタップして切り込むがやはりジャイアントモスはヒラリとかわし、攻撃が当たる気配を感じない。
WSを用いない攻撃も試してはいるのだが、フワリとかわされ成す術がない。
そしてHPが30を切る。
すかさず、薬草を取り出して口の中に放り込む。身体から30という緑の数字が飛び出す。HPも満タンの50に戻る。
しかしこのままじゃラチが開かない。逃げることもできないし……どうすれば……
ふとダブルスラッシュの横にあるアイコンがアクティブになっていることに気が付く。
あ、そうだ今毒食らってるから感染が使えるか……どうせ攻撃しても当たらないし……
スキルをタップする。
『ジャイアントモスAを感染させますか?』と表示される。
YESをタップする。
するとジャイアントモスから3というダメージ表記が飛び出す。
そうかこれ絶対当たるんだ。あとは逃げまくれば勝てるんじゃね?
盾を右手に持ち左手には薬草の束。HPが減れば薬草をもしゃる。
気をつけなければならないのがジャイアントモスの物理攻撃の体当たり。
これは必ず盾で受ける。避けるのはリスクが高い、もし失敗すれば死にかねない。
奴の動きに注意を払い体当たり攻撃を盾で受け流す。
俺と奴に2秒に3ダメージは入り続けている。このままいけば回復できない奴は死に俺が勝つ。
奴は羽を羽ばたかせ再び鱗粉攻撃を行なってきた。黄色い粉の範囲は広くやはりどうやってかわせばいいのかわからない。
結局食らってしまったが蝶のアイコンが120に戻っているだけでダメージ量に変化はない。
助かった。もし重複するならダメージが増え回復がキツくなる。
そうしているうちにダメージ3が奴から飛び出す、その瞬間、奴は地面に落ちて消滅をした。
経験値を得たと視界に表示される。
やった勝てた!……もしかしてこのスキルめっちゃ強いんじゃ……
まだ毒には残ってる……やってみるか?
残りのジャイアントモス5体に気づかないように接近し感染を使う。
そして俺は薬草をもしゃりながら隠れて待つ。
1分足らずに次々とジャイアントモスは地面に落ちて経験値を得る。そしてクエストクリアと表示された。
次の日はユーリさんは仲間と約束があるとのことでタケシが捕まらなければ、一人でレベル上げとなる。
――翌朝
学校の下駄箱で、タケシを見つけるなり話かける。
「タケシ、今日レベル上げ付き合えないか?」
「すまん! 今日も約束があってなぁ明日なら大丈夫」
「そっか……」
なら一人でレベルを上げるまで! ユーリさんに効率の良いクエストも聞いた。
ようは回復さえなんとかすれば良いんだよなぁ……
回復、回復ねぇ……そうかアイテム使えば良いか。昨日のクエスト周回で1500Gは持ってる。
授業中にいつものサイトを開き、回復アイテムについて調べる。
『NPCから買える薬草とユーザーメイドの薬草があり、ユーザーメイドの薬草の方が効果は高い場合が多い』
ふむふむ。ユーザーメイドの薬草を買った方がいいのか。
まてよ……自分で作れるのか! 薬草の作り方はどうするんだ?
農産物の作り方と書かれたリンクを開くと、
『農夫になり、畑を購入する必要がある。植物栽培のスキルがあればハイクォリティーな農産物が作れるぞ!』
と書いてある。
あーこれ時間かかるやつだし、今は生産系興味ないからいいか……
放課後直帰しアルターに即IN。
噴水広場が目に飛び込んでくる。周囲を見渡すとゴザを敷いて草を広げているオーバーオールの男がおり、ゴザの前に立ちその男に話かける。
「これ薬草ですか?」
「そうだよ。料理の素材に回復に使えるよ」
「どれぐらい回復するんですか?」
「30ぐらいかな」
「へぇぇ」
「君、初心者? だったら安くしとくよ。レベル上げ大変でしょ」
「え! いいんですか?」
「NPCと同じ値段で売ってあげるよ」
そして俺はハイクォリティーな薬草を150個買い込みレベル上げに臨む。
150個も必要ないようにも思えるが死んでレベルが下がるよりはマシだ。
アバターレベル5、ジョブレベル3の効率の良いクエストは昨日ユーリさんから聞いたジャイアントモス討滅だそうだ。
『鱗粉攻撃』に気をつけて戦うことと言われた。
西の森の深くまで入って行くと遺跡があり、そこがジャイアントモスの寝ぐらであるとクエストの紹介文に書いてあった。
一人鬱蒼とする森の中を15分程歩いて行くと、開けた場所に出ると、アンコールワットのような遺跡が目の前に拡がる。
それと同時にクエストポイントを示す矢印が点滅を始める。
ここにジャイアントモスがいるんだな。
遺跡の中を注意深く歩いていると、人が手を広げたぐらいの大きさの蛾が柱に止まっているのが見えた……
あれか。気づかれないようにしないとな……
不意打ちの一発目はダメージが1.5倍になる。それを狙えば効率良く狩れる。
ソロリソロリと歩き、目標まで5メートルに迫った頃。
え……こんなにいるとか聞いてないんだけど……
ジャイアントモスがとまる柱の裏に4.5匹のジャイアントモスが見える。
もしここで戦えばあいつらにも気づかれかねない。
多分ユーリさんはパーティで戦うことを前提に、このクエストを勧めてくれたんだろう……タケシとレベル上げするって言ったもんな……
……引き返そうとした瞬間、足元に落ちていた枝を踏みペキ!っと音を立てる。
その瞬間、ジャイアントモスの1匹がフワリと宙に舞い、俺に向かって飛んでくる。
俺はクルリと踵を返し走り出す。しかし、ジャイアントモスのスピードは俺よりも速く、前に周りこまれる。
しかし、あの群れから距離を取ることは成功した、ここなら、群れに気づかれずやれるかもしれない。
俺は剣を構え、空を舞うジャイアントモスと対峙する。
すかさずダブルスラッシュをタップし、ジャイアントモスに斬りこむ。
しかし俺の攻撃をあざ笑うかのようにフワリとかわす。そしてジャイアントモスの身体が発光し、羽を羽ばたかせ黄色の粉を撒き散らす。
それを避けることができず、目の前が黄色い粉のようなもので覆われて、視界の中央に赤い文字で蛾毒! と表示がされる。
そして視界の右上に蝶のアイコンと120と表示された。
これが鱗粉攻撃か……広範囲で避けようがない……しかも毒であの身のこなし……まずい……
毒の状態だが2秒に3ダメージが入っている。
今の最大HPは50だがそれでも40秒程で無くなる計算だ。
HPが30を切ったら回復をしよう。30回復するならそれでも満タンになる。
今は奴に攻撃を当てることに意識を集中させるんだ。
今度はスラッシュをタップして切り込むがやはりジャイアントモスはヒラリとかわし、攻撃が当たる気配を感じない。
WSを用いない攻撃も試してはいるのだが、フワリとかわされ成す術がない。
そしてHPが30を切る。
すかさず、薬草を取り出して口の中に放り込む。身体から30という緑の数字が飛び出す。HPも満タンの50に戻る。
しかしこのままじゃラチが開かない。逃げることもできないし……どうすれば……
ふとダブルスラッシュの横にあるアイコンがアクティブになっていることに気が付く。
あ、そうだ今毒食らってるから感染が使えるか……どうせ攻撃しても当たらないし……
スキルをタップする。
『ジャイアントモスAを感染させますか?』と表示される。
YESをタップする。
するとジャイアントモスから3というダメージ表記が飛び出す。
そうかこれ絶対当たるんだ。あとは逃げまくれば勝てるんじゃね?
盾を右手に持ち左手には薬草の束。HPが減れば薬草をもしゃる。
気をつけなければならないのがジャイアントモスの物理攻撃の体当たり。
これは必ず盾で受ける。避けるのはリスクが高い、もし失敗すれば死にかねない。
奴の動きに注意を払い体当たり攻撃を盾で受け流す。
俺と奴に2秒に3ダメージは入り続けている。このままいけば回復できない奴は死に俺が勝つ。
奴は羽を羽ばたかせ再び鱗粉攻撃を行なってきた。黄色い粉の範囲は広くやはりどうやってかわせばいいのかわからない。
結局食らってしまったが蝶のアイコンが120に戻っているだけでダメージ量に変化はない。
助かった。もし重複するならダメージが増え回復がキツくなる。
そうしているうちにダメージ3が奴から飛び出す、その瞬間、奴は地面に落ちて消滅をした。
経験値を得たと視界に表示される。
やった勝てた!……もしかしてこのスキルめっちゃ強いんじゃ……
まだ毒には残ってる……やってみるか?
残りのジャイアントモス5体に気づかないように接近し感染を使う。
そして俺は薬草をもしゃりながら隠れて待つ。
1分足らずに次々とジャイアントモスは地面に落ちて経験値を得る。そしてクエストクリアと表示された。
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