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初心者編
第10話 正しい石化の取り扱い方
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この日はひたすらジャイアントモスの狩りを続け、薬草が無くなるまでひたすら頑張った。その結果アバターレベル8、ジョブレベル4まで上がった。
それよりも感染が有用なスキルであるということが分かったことのほうが大きな収穫だ。
タケシや例のサイトに従ってリセマラしてたら、今頃レベル下がって心が折れてたかもしれん。
これから使っていくにあたって色々と感染について研究をしてみた。結果分かったことがいくつかある。
まず、射程は10メートル程度。複数相手がいても一匹ずつにしか使用できない、そして何回使おうが、何も失うものがない。つまりデバフに罹ってる間は無限に使えると言ってもいい。
感染を掛けられた相手がデバフに罹る秒数は自分が残り1秒だとしても罹った相手は恐らく初期値にまで戻る。
うんうん。己を知ることが勝利の近道なり。なんか偉い人が言ってた気がする。
「ふーん」
タケシは興味無さそうな顔をする。
翌る日、俺はタケシにこの感染のスキルがいかに使えるものか説いたのだが……この顔である。
「おい、おい、もっと他の反応ねぇの? すまん俺が悪かった当たりスキルだなとかさぁ」
「たまたま毒が入る相手だったってことだろ。それにみんながみんな毒ばっか使うわけじゃないからな。スリップダメージ以外のデバフだったらどうすんの?」
「……」
く、くやしいがいい返せない……
「ほらな、結局のそのスキルはお荷物だってこと」
せっかく強スキルだと思ったのにな……上級者から見ると大したことないのか……まあもう忘れるか……
「すまん。言い過ぎた。まっ、そんなゴミスキルのことは忘れて、今日もレベル上げいくんだろ?」
「あ、ああ」
「よっしじゃあ今日こそ俺の強さ見せたる」
そういやタケシのアバターどんなやつなんだろ? 見たこと無かったな。
学校が終わり直帰即IN
「エイジ!」
背後からタケシの声で話しかけられ振り返るとそこにいたのは……
身長2メートルぐらいの肩まで伸びた銀髪をなびかせるまるでホストのようなイケメン。実際のタケシとは全くの正反対、そのギャップに唖然とする。
「おっあまりにもイケメンにびっくりしてんな? リアルの俺のほうがもっとイケメンだけどな」
「タケシがイケメン? どの口がいってんだよ……」
「おい、おい、俺はこの世界ではハリーなんだぞ。ハリーと呼べ」
「はいはい、ハリーことタケシくん」
「ったくバカにしやがって手伝ってやんねぇぇぞ」
「分かったよハリーそれじゃパーティ申請するわ」
「おう!」
「そういやそのままでいいの?」
「いい。俺のブラックメイジの力見せたる」
タケシの種族はハイエルフと呼ばれる種族で魔法が得意とされる種族だ。SPスキルに連続魔法がでるまでリセマラしたっていってたしな、当然ジョブもブラックメイジ。メイジから派生する上級ジョブで範囲魔法に強いらしい。
ハリーボルダーがパーティに加わりましたと表示され視界の右上にHPやMPが現れる。
エイジ2525 HP60 MP25
ハリーボルダー HP254 MP285
自慢気にハリーことタケシが口を開く。
「これがアバターレベル60、ジョブレベル50の力だ」
「はいはい、すぐに追いつくから今に見てろって」
「じゃあクエスト、受注してこい。効率のいいクエストは、ゴーレム大量発生かな。ブラックメイジもいるし」
「ふーん」
ギルドに向かい、クエストを受注する北の岩山にゴーレムが大量に発生しているということらしい。
ソフィアの街の北部に広がる岩山の中腹に差し掛かると3メートル程度の岩のようなものがたくさん動いている。
「あれがゴーレムだ」
タケシが指を指す。
俺が剣を抜くと、タケシが制止する。
「俺の力を見てろって」
そういうと一人、ゴーレムの中に入っていく。そして右手に持った杖を掲げる。
タケシを中心に大きな火球が現れ爆発をした。その直後また同じ現象が起きて爆発をする。連続魔法のスキルというものを使ったのだろう。
たくさんいたゴーレム達は粉々になり、クエストクリアと表示され、アバターレベル、ジョブレベルとも上がる。
タケシは余裕の表情で戻ってくる。
「どうだ、これがブラックメイジの力だ」
「すげぇぇな……瞬殺かよ……」
「それじゃこの調子でバンバンやってレベル15を目指そうぜ」
「ああ」
「よっし、じゃあまた受注よろしく」
そういって踵を返しソフィア街に戻ろうとしたとき、何かがピカッと光ったような気がする。
「ん?」
振り返ると、でかいニワトリのようなモンスターがタケシの後ろにいる。
「エイジ! 逃げろ! コカトリスだ!! 石化する!!」
そう叫んだタケシの足元から石化してきている。
「おまえじゃ勝て……」
言葉途中でタケシは全身石化をする。
そしてコカトリスの口がピカッと光り、俺はその光を浴びる。
視界の真ん中に石化!と表示され、足が動かなくなる。
ああああああレベル下がるぅぅぅぅぅ……
んちょっとまてよ……SPスキルがアクティブになってる……
まにあえーーーーー急いでSPスキルをタップする。感染をコカトリスに使用しますか? YES/NOと字幕が表示される。
YES!!
YESをタップした瞬間体が固まり動かなくなり、真っ黒な空間のなかで右上に石のようなアイコンがでて360と表示されている。
これどうなるの?360秒まてばいいのか?
――6分後
パッと光が目に飛び込んでくる。目の前にはタケシと粉々の石になったコカトリス。
タケシが真剣な表情で話しかけてくる。
「まさか、感染か?」
「うん。ギリギリ間に合った」
「ゴミスキルって言ってごめんな。助かったよ」
それよりも感染が有用なスキルであるということが分かったことのほうが大きな収穫だ。
タケシや例のサイトに従ってリセマラしてたら、今頃レベル下がって心が折れてたかもしれん。
これから使っていくにあたって色々と感染について研究をしてみた。結果分かったことがいくつかある。
まず、射程は10メートル程度。複数相手がいても一匹ずつにしか使用できない、そして何回使おうが、何も失うものがない。つまりデバフに罹ってる間は無限に使えると言ってもいい。
感染を掛けられた相手がデバフに罹る秒数は自分が残り1秒だとしても罹った相手は恐らく初期値にまで戻る。
うんうん。己を知ることが勝利の近道なり。なんか偉い人が言ってた気がする。
「ふーん」
タケシは興味無さそうな顔をする。
翌る日、俺はタケシにこの感染のスキルがいかに使えるものか説いたのだが……この顔である。
「おい、おい、もっと他の反応ねぇの? すまん俺が悪かった当たりスキルだなとかさぁ」
「たまたま毒が入る相手だったってことだろ。それにみんながみんな毒ばっか使うわけじゃないからな。スリップダメージ以外のデバフだったらどうすんの?」
「……」
く、くやしいがいい返せない……
「ほらな、結局のそのスキルはお荷物だってこと」
せっかく強スキルだと思ったのにな……上級者から見ると大したことないのか……まあもう忘れるか……
「すまん。言い過ぎた。まっ、そんなゴミスキルのことは忘れて、今日もレベル上げいくんだろ?」
「あ、ああ」
「よっしじゃあ今日こそ俺の強さ見せたる」
そういやタケシのアバターどんなやつなんだろ? 見たこと無かったな。
学校が終わり直帰即IN
「エイジ!」
背後からタケシの声で話しかけられ振り返るとそこにいたのは……
身長2メートルぐらいの肩まで伸びた銀髪をなびかせるまるでホストのようなイケメン。実際のタケシとは全くの正反対、そのギャップに唖然とする。
「おっあまりにもイケメンにびっくりしてんな? リアルの俺のほうがもっとイケメンだけどな」
「タケシがイケメン? どの口がいってんだよ……」
「おい、おい、俺はこの世界ではハリーなんだぞ。ハリーと呼べ」
「はいはい、ハリーことタケシくん」
「ったくバカにしやがって手伝ってやんねぇぇぞ」
「分かったよハリーそれじゃパーティ申請するわ」
「おう!」
「そういやそのままでいいの?」
「いい。俺のブラックメイジの力見せたる」
タケシの種族はハイエルフと呼ばれる種族で魔法が得意とされる種族だ。SPスキルに連続魔法がでるまでリセマラしたっていってたしな、当然ジョブもブラックメイジ。メイジから派生する上級ジョブで範囲魔法に強いらしい。
ハリーボルダーがパーティに加わりましたと表示され視界の右上にHPやMPが現れる。
エイジ2525 HP60 MP25
ハリーボルダー HP254 MP285
自慢気にハリーことタケシが口を開く。
「これがアバターレベル60、ジョブレベル50の力だ」
「はいはい、すぐに追いつくから今に見てろって」
「じゃあクエスト、受注してこい。効率のいいクエストは、ゴーレム大量発生かな。ブラックメイジもいるし」
「ふーん」
ギルドに向かい、クエストを受注する北の岩山にゴーレムが大量に発生しているということらしい。
ソフィアの街の北部に広がる岩山の中腹に差し掛かると3メートル程度の岩のようなものがたくさん動いている。
「あれがゴーレムだ」
タケシが指を指す。
俺が剣を抜くと、タケシが制止する。
「俺の力を見てろって」
そういうと一人、ゴーレムの中に入っていく。そして右手に持った杖を掲げる。
タケシを中心に大きな火球が現れ爆発をした。その直後また同じ現象が起きて爆発をする。連続魔法のスキルというものを使ったのだろう。
たくさんいたゴーレム達は粉々になり、クエストクリアと表示され、アバターレベル、ジョブレベルとも上がる。
タケシは余裕の表情で戻ってくる。
「どうだ、これがブラックメイジの力だ」
「すげぇぇな……瞬殺かよ……」
「それじゃこの調子でバンバンやってレベル15を目指そうぜ」
「ああ」
「よっし、じゃあまた受注よろしく」
そういって踵を返しソフィア街に戻ろうとしたとき、何かがピカッと光ったような気がする。
「ん?」
振り返ると、でかいニワトリのようなモンスターがタケシの後ろにいる。
「エイジ! 逃げろ! コカトリスだ!! 石化する!!」
そう叫んだタケシの足元から石化してきている。
「おまえじゃ勝て……」
言葉途中でタケシは全身石化をする。
そしてコカトリスの口がピカッと光り、俺はその光を浴びる。
視界の真ん中に石化!と表示され、足が動かなくなる。
ああああああレベル下がるぅぅぅぅぅ……
んちょっとまてよ……SPスキルがアクティブになってる……
まにあえーーーーー急いでSPスキルをタップする。感染をコカトリスに使用しますか? YES/NOと字幕が表示される。
YES!!
YESをタップした瞬間体が固まり動かなくなり、真っ黒な空間のなかで右上に石のようなアイコンがでて360と表示されている。
これどうなるの?360秒まてばいいのか?
――6分後
パッと光が目に飛び込んでくる。目の前にはタケシと粉々の石になったコカトリス。
タケシが真剣な表情で話しかけてくる。
「まさか、感染か?」
「うん。ギリギリ間に合った」
「ゴミスキルって言ってごめんな。助かったよ」
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