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死者の迷宮編
第10話 真・呪いの剣
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工房の奥から体より大きなリュックサックを背負ってヘルメットを被って手にツルハシを持ったヘパイスが現れる。
「とりあえず……俺についてこい」
ロジャーさんはその場に残り手を振っている。俺がヘパイスの肩に手を触れると転移が始まる。
シュンという音とともに目の前に広がる岩山。
「ここはイース地方にある穴場の採掘場だ。一応秘密にしておいてくれ」
俺はコクリと頷く。
ツルハシを持ったヘパイスは、近くの岩肌をツルハシで叩くき、その岩の欠片を手で持って凝視している。
「俺のSPスキルは【審美眼】といって素材の成分を見極めることができるスキルなんだ」
「成分?」
「そう、ただの素材だと思ってるだろうが、鉱石や木材とかには細かく成分が設定されてる。付加価値だって偶然湧いてでるもんじゃない。素材の中の成分によって付加価値が現れる確率が異なってくるんだ」
「それじゃ、ヘパイスさんはその成分を分析して、組み合わせによって何ができるか分かると……」
「そういうこと。俺は依頼者が欲しい追加効果を90%は発現させることができる。俺はこの力を使ってアルター最速で1億Gを貯めたんだ。どうやって貯めたか聞きたいか? そりゃ聞きたいよな! 俺は攻略勢やら対人勢のトッププレイヤーが望む武器をタダ同然で作ったのよ」
この人聞かれてもいないことをペラペラとよく喋るな……でもへそ曲げても嫌だから……乗っておくか……
「え? ただで? 」
「そう! トッププレイヤーが望む武器だ、そりゃレアな能力を欲しがるだろ? 」
「そ、そうですね……」
「でも、俺はやり遂げた。トッププレイヤー達が俺の銘を持つ武器で活躍する。あの人、ダンジョンクリアしたんだ装備なんだろう? 武器はヘパイス製? 俺も欲しい! ってなるわけよ」
「なるほど。トッププレイヤーのみなさんに広告塔になってもらったわけですね」
ヘパイスはツルハシを動かす手を止め、パチンと指を鳴らす。
「そう! 彼らが活躍すると俺に注文が殺到するってわけよ。これが秒速で1千万稼ぐ男の稼ぎ方ってワケ」
「なるほど……」
スポーツメーカーみたいな事してんなこの人……
そういやロジャーさんはスキルで能力がきまるって言ってたような気もするけど、
「武器とかの能力ってスキルに依存してるんじゃないんですか?」
「素材の成分とスキルならスキルの影響の方が大きいかな。ロジャーとかは素材以上の物が作れたりするから、ただその分マイナス方向にも振れるってわけ」
「なるほど……」
「俺はその素材の中にあるもの以上のものは生み出すことはできない。いわば名器というものは作れるが、伝説の逸品のようなものが作れるのはロジャーのようなスキルで生産するタイプだろうな」
ヘパイスはよく喋るがその手は止めずに手際よくツルハシで岩肌を叩きその欠片をリュックサックに詰めていく。
「自分にデバフを付与する武器ってないんですかね? 」
「あーでもユニーク武器で自身にデバフを付与する武器はあったなぁ」
「え? あるんですか?」
「ダンジョン産のユニーク武器だよ。確か『呪いの剣』つって装備した者に呪いのデバフが付与されるってやつだ」
「呪いですか……」
「その呪いってのがだな。確か……移動速度10%低下だったかな……まさにノロイってな……この運営何考えてんだか……」
「確かにクソ寒いですね」
それまで手をずっと動かしていたヘパイスは急に手を止める。
「あった……」
「なにがあったんです?」
「呪石」
「え……触っただけで呪われそうですが……」
「この石を混ぜて作るとステータスの強い武器は作れるんだが、自傷ダメージが入る。これを応用したら自分にデバフをかけられる武器が作れるんじゃないかなってな」
「なるほど!! 」
ヘパイスは呪石を眺めている。恐らくは審美眼を使って中の成分? を見ているのだろうか?
その時。
キシャァァァァァァという声が響く。
声の元をみると水晶のような体でできたゴーレムが現れる。
それを見てヘパイスが声をあげる。
「あっ……ダイアゴーレムじゃん」
「ダイアゴーレム?」
「Bランクのユニークモンスター。防御力がくっそ硬くてダメージがあんまり入んない上にデバフが通らない。面倒くさいモンスターだな」
「逃げましょう!! 」
「いいから隠れろ……俺に考えがある」
岩陰に隠れて、ダイアゴーレムは通り過ぎていく。
一方のヘパイスは取った石やリュックの中から取り出した草などを眺めている。
「よし! 決めた」
そういうと、ヘパイスはその場で石を叩き割ったりしたりと作業を始める。
「え? こんなところで武器つくれるんですか?」
「ああ、作れるよ。工房でやってるのはただの雰囲気作りだから。ロジャーだって工房もってないだろ?」
ヘパイスはカンカンと岩を叩いたり、草を混ぜたりしていると徐々に剣の形になっていく。
やはり音を出したせいか、ダイアゴーレムこちらに戻ってきている。
「っげ! こっちに戻ってきましたよ。早く行きましょ!! 」
「ふふ……できたぜ! 」
そういうとヘパイスの手には禍々しく輝く剣が握られている。
その第一印象は怖いだった。
「ほい」
ヘパイスはその剣を俺に投げ渡す。
『真・呪いの剣を手に入れた』と表示される。
「ちょ! この名前……」
「呪いの剣は使われていますってなってな。だから真を付けた。その剣のベースはお前さんのレベルに合わせたミスリル鋼、それに呪石と秘密の草を少々。さあダイアゴーレムをぶっ叩いてこい」
俺は真・呪いの剣を装備する。
装備するなり呪われたりするようなことはないデバフが付与された形跡もない。
周囲を見回しても使えそうなデバフをくれそうなモンスターもいない。
えーーいどうにでもなれ!!
ダイアゴーレムを思いっきり斬りつける。
カキーンという硬そうな音とともにダイアゴーレムからは0という表示が飛び出る。
クソ硬いってこういう……ダメージが全然通らないモンスターなんだ……
そう思った瞬間! 『防御力低下(大)』と表示がされ、右上に盾が剣で貫かれたアイコンが現れ60と書かれている。
これが『真・呪いの剣』のデバフ!! 俺はそのままダイアゴーレムに感染を使う。
「お前も防御力が紙になってんの忘れんなよー」
ヘパイスがそういった直後、ダイアゴーレムの右手が目の前に現れ、それをかわす。絶好のカウンターチャンス!
「コアを狙え、コアに当たれば一発で倒せる」
ヘパイスのアドバイスに俺は頷く。
胸の中心に赤く光るものが見える。恐らく普通に攻撃しても0ダメージだ。でも今なら……
するとカキーンと弾かれた攻撃が嘘のようにケーキにナイフを入れるかの如く剣がダイアゴーレムの赤く光る胸の中に入っていき、100という数字が飛び出す。そしてそのままダイアゴーレムの体は崩れ去った。
「おーちょうどコアに当たったみたいだな」
それを見てヘパイスは笑いながらそういった。
エイジ2525 アバターレベル22 剣士レベル16
HP136
MP47
ATK 57(35)
DEF 62(40)
VIT68
STR63
DEX39
SPD31
INT31
MND31
SPスキル:感染
装備効果:デバフ耐性DOWN(大) デバフ効果時間延長
攻撃時自身に防御力低下DOWN(大)を付与
「とりあえず……俺についてこい」
ロジャーさんはその場に残り手を振っている。俺がヘパイスの肩に手を触れると転移が始まる。
シュンという音とともに目の前に広がる岩山。
「ここはイース地方にある穴場の採掘場だ。一応秘密にしておいてくれ」
俺はコクリと頷く。
ツルハシを持ったヘパイスは、近くの岩肌をツルハシで叩くき、その岩の欠片を手で持って凝視している。
「俺のSPスキルは【審美眼】といって素材の成分を見極めることができるスキルなんだ」
「成分?」
「そう、ただの素材だと思ってるだろうが、鉱石や木材とかには細かく成分が設定されてる。付加価値だって偶然湧いてでるもんじゃない。素材の中の成分によって付加価値が現れる確率が異なってくるんだ」
「それじゃ、ヘパイスさんはその成分を分析して、組み合わせによって何ができるか分かると……」
「そういうこと。俺は依頼者が欲しい追加効果を90%は発現させることができる。俺はこの力を使ってアルター最速で1億Gを貯めたんだ。どうやって貯めたか聞きたいか? そりゃ聞きたいよな! 俺は攻略勢やら対人勢のトッププレイヤーが望む武器をタダ同然で作ったのよ」
この人聞かれてもいないことをペラペラとよく喋るな……でもへそ曲げても嫌だから……乗っておくか……
「え? ただで? 」
「そう! トッププレイヤーが望む武器だ、そりゃレアな能力を欲しがるだろ? 」
「そ、そうですね……」
「でも、俺はやり遂げた。トッププレイヤー達が俺の銘を持つ武器で活躍する。あの人、ダンジョンクリアしたんだ装備なんだろう? 武器はヘパイス製? 俺も欲しい! ってなるわけよ」
「なるほど。トッププレイヤーのみなさんに広告塔になってもらったわけですね」
ヘパイスはツルハシを動かす手を止め、パチンと指を鳴らす。
「そう! 彼らが活躍すると俺に注文が殺到するってわけよ。これが秒速で1千万稼ぐ男の稼ぎ方ってワケ」
「なるほど……」
スポーツメーカーみたいな事してんなこの人……
そういやロジャーさんはスキルで能力がきまるって言ってたような気もするけど、
「武器とかの能力ってスキルに依存してるんじゃないんですか?」
「素材の成分とスキルならスキルの影響の方が大きいかな。ロジャーとかは素材以上の物が作れたりするから、ただその分マイナス方向にも振れるってわけ」
「なるほど……」
「俺はその素材の中にあるもの以上のものは生み出すことはできない。いわば名器というものは作れるが、伝説の逸品のようなものが作れるのはロジャーのようなスキルで生産するタイプだろうな」
ヘパイスはよく喋るがその手は止めずに手際よくツルハシで岩肌を叩きその欠片をリュックサックに詰めていく。
「自分にデバフを付与する武器ってないんですかね? 」
「あーでもユニーク武器で自身にデバフを付与する武器はあったなぁ」
「え? あるんですか?」
「ダンジョン産のユニーク武器だよ。確か『呪いの剣』つって装備した者に呪いのデバフが付与されるってやつだ」
「呪いですか……」
「その呪いってのがだな。確か……移動速度10%低下だったかな……まさにノロイってな……この運営何考えてんだか……」
「確かにクソ寒いですね」
それまで手をずっと動かしていたヘパイスは急に手を止める。
「あった……」
「なにがあったんです?」
「呪石」
「え……触っただけで呪われそうですが……」
「この石を混ぜて作るとステータスの強い武器は作れるんだが、自傷ダメージが入る。これを応用したら自分にデバフをかけられる武器が作れるんじゃないかなってな」
「なるほど!! 」
ヘパイスは呪石を眺めている。恐らくは審美眼を使って中の成分? を見ているのだろうか?
その時。
キシャァァァァァァという声が響く。
声の元をみると水晶のような体でできたゴーレムが現れる。
それを見てヘパイスが声をあげる。
「あっ……ダイアゴーレムじゃん」
「ダイアゴーレム?」
「Bランクのユニークモンスター。防御力がくっそ硬くてダメージがあんまり入んない上にデバフが通らない。面倒くさいモンスターだな」
「逃げましょう!! 」
「いいから隠れろ……俺に考えがある」
岩陰に隠れて、ダイアゴーレムは通り過ぎていく。
一方のヘパイスは取った石やリュックの中から取り出した草などを眺めている。
「よし! 決めた」
そういうと、ヘパイスはその場で石を叩き割ったりしたりと作業を始める。
「え? こんなところで武器つくれるんですか?」
「ああ、作れるよ。工房でやってるのはただの雰囲気作りだから。ロジャーだって工房もってないだろ?」
ヘパイスはカンカンと岩を叩いたり、草を混ぜたりしていると徐々に剣の形になっていく。
やはり音を出したせいか、ダイアゴーレムこちらに戻ってきている。
「っげ! こっちに戻ってきましたよ。早く行きましょ!! 」
「ふふ……できたぜ! 」
そういうとヘパイスの手には禍々しく輝く剣が握られている。
その第一印象は怖いだった。
「ほい」
ヘパイスはその剣を俺に投げ渡す。
『真・呪いの剣を手に入れた』と表示される。
「ちょ! この名前……」
「呪いの剣は使われていますってなってな。だから真を付けた。その剣のベースはお前さんのレベルに合わせたミスリル鋼、それに呪石と秘密の草を少々。さあダイアゴーレムをぶっ叩いてこい」
俺は真・呪いの剣を装備する。
装備するなり呪われたりするようなことはないデバフが付与された形跡もない。
周囲を見回しても使えそうなデバフをくれそうなモンスターもいない。
えーーいどうにでもなれ!!
ダイアゴーレムを思いっきり斬りつける。
カキーンという硬そうな音とともにダイアゴーレムからは0という表示が飛び出る。
クソ硬いってこういう……ダメージが全然通らないモンスターなんだ……
そう思った瞬間! 『防御力低下(大)』と表示がされ、右上に盾が剣で貫かれたアイコンが現れ60と書かれている。
これが『真・呪いの剣』のデバフ!! 俺はそのままダイアゴーレムに感染を使う。
「お前も防御力が紙になってんの忘れんなよー」
ヘパイスがそういった直後、ダイアゴーレムの右手が目の前に現れ、それをかわす。絶好のカウンターチャンス!
「コアを狙え、コアに当たれば一発で倒せる」
ヘパイスのアドバイスに俺は頷く。
胸の中心に赤く光るものが見える。恐らく普通に攻撃しても0ダメージだ。でも今なら……
するとカキーンと弾かれた攻撃が嘘のようにケーキにナイフを入れるかの如く剣がダイアゴーレムの赤く光る胸の中に入っていき、100という数字が飛び出す。そしてそのままダイアゴーレムの体は崩れ去った。
「おーちょうどコアに当たったみたいだな」
それを見てヘパイスは笑いながらそういった。
エイジ2525 アバターレベル22 剣士レベル16
HP136
MP47
ATK 57(35)
DEF 62(40)
VIT68
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