デバフの王〜スキルガチャでハズレスキル【感染】を手に入れたのでこれから無双したいと思います。〜

ぽいづん

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トップを狙え! PVP始めました

第1話 忍者汚い

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「ふぁー暇で死にそう」

 学校に行くといつもの様に赤い目をして大きなあくびしているタケシに出会う。

「寝てねーのかよ? 」
「興奮して眠れなかった。まぁ授業中に寝るからいい」
「報告会か」
「そうそう。興奮したぜ! 」
「あー闘技場ね、あれ面白そう」

 俺がそういうと、は?という様な顔をするタケシ。

「闘技場?んなもん楽しみじゃねーしやらねーよ。竜の箱庭にバハムートに決まってんだろ」
「てっきりお前のことだから、闘技場が楽しみだとばっかり思ってたわ。豪華景品が貰えるんだろ? なんでやんないの?」

「PvPは2大PKクランがあるからな。その連中が上位占めて終わりだよ」
「そんなのあるんだ」

「たしか、ムカデ軍団となんちゃら防衛軍っていってたかなぁ」
「その2つのクランが強いの?」
「ああ、ムカデ軍団は誰彼構わずPKしまくってる厄介者で、なんちゃら防衛軍はクランのメンバー同士で戦って腕を磨いてたはず」
「へぇぇ」

「お前、PvPやんの? 」
「ちょっと興味はあるかなぁって」

 俺がそう言うとタケシは手をパタパタと横に振り
「止めとけ。止めとけ。PvEとPvPは全く別物だからな。強いスキルや付加能力も違う。それにお前のスキルはPvP向きじゃねーよ」

 そう言われるとちょっと腹が立つ。

「なんでだよ! 」
「なんでって使っててわかんねぇの? だってお前のスキルって自分に掛かったデバフを他人に感染させるんだろ?それってただ対等な立場になるだけじゃん」

 あ……

「PvEなら敵は毒くらっても回復しないけど、PvPだからな毒消し使ったり回復したりすんだろ」
「……確かに……」
「だから、そんな事してる暇あるならレベル上げてエンドコンテンツに行ったほうがマシ」
「そっかぁぁ……」

 ◇◆◇

 現在、時刻は15:59……もうすぐメンテが明ける。

 タケシはメンテが明け直後になんとか石とかいうのを買いにダッシュするって言ってた。何かに使うらしく高騰するらしい。

 16:00になった。もうヘルメットは被ってあるのでそのままログインする。

 別に変わったところはない。いつもの噴水広場だ……まあこの辺は何の変化もないよな。

「ステータスオープン!!」

 !! すぐ後ろで急に大きな声を出され、肩をすくめてびっくりし振り返る。


「ステータス!!」
「スキル発動!!」

 みな口々に叫んでいる。

 あ! そうか音声認識が始まったんだ!

 ステータス画面を開いて、マクロ登録だっけ……とりあえずSPスキルの使用は『感染かんせん』でいいか……あとはスラッシュとダブルスラッシュはそのままで。

 よく使うWSなどを登録していると他の人が話している声が聞こえてきた。

「ステータスの限界を試そうぜ!」

 ステータスの限界?

「じゃあ俺からスティータァス!…………おおお開いた!」
「次俺な。スタェータス!!……おお開くぅ!」

 こ、こいつらなにバカな事やってんだ……

 ピロピロとTELが頭に電子音が響く。
 ホムホム1212からTELと表示される。

「エイジくんごめん今日のダンジョン行けなくなちゃった」

 そう俺達は死者の迷宮をクリアした後、次のダンジョン影の国の攻略をまた同じメンバーで始めようと意気込んでいたのだ。

「ああ、別にいいですよ。みんあアプデで忙しいみたいですし。明日から攻略しましょう」
「……それがね……アランくんと喧嘩しちゃって……」

 ……なんだそっちか……っていうかあの二人喧嘩とかすることあるんだ……

「アランくんが私の牛丼に紅生姜沢山乗せるものだから……」
「……はい。じゃあとっとと仲直りして明日行きましょう」
「ごめんねぇ」
「リューネくんには俺から言っときます。それじゃ」
 そう言ってTELを終了する。

 リューネくんにメッセージを送っておく。

 こうなったら今日は何もすることがない。とりあえずギルドクエストを受けてレベル上げでもしとくかな。

 ちなみに俺のジョブはジョブレベル30になったので、パラディンにクラスチェンジをしている。パラディンのロールはタンク。ちなみに剣士から派生するのはDPSのグラディエーターとタンクのパラディンの2つである。

 剣士ギルドクエスト『キマイラを討伐せよ』を受注しキマイラが出没するサウストン地方のセンテピード遺跡に向かう。

 荒涼とした赤い土地の中にピラミッドの様なセンテピード遺跡がある。

 ん?

 岩陰で何か動いたような気がする……なんだ気の所為か……

 そこから少し進み周囲を伺う。
「確か地図によるとこの辺りのはずなんけどな」
 しかしキマイラのキの字もみえない。

 場所間違えたか……戻ろと踵を返したその時。

 体が急に動かなくなり、『麻痺!』と視界に表示される。

 男の声が聞こえる。
「はいはい。残念だけど、あんたここで死にます」

 全身黒ずくめの忍者のような格好をした男が一人俺の前に立っている。
「誰だ! 」
「俺はムカデ団のシゲゾーってもんだ」

 ムカデ……タケシが言ってたPKクランの……

「お、俺を殺しても何の得もないぞ」
「PKをすると罪が貯まる。俺達の間で罪が貯まるのはご褒美でね……」
 そういいながら、シゲゾーは小刀を抜く。

「じゃあ動けないまま死にな! 」

 俺の口元はニヤリと笑うそしてこう呟く。
「……ターゲットへ感染の発動! 」

 シゲゾーの体は動かなくなる。

「な……なんで俺に麻痺が……そ、そんな俺は麻痺無効の装備をつけてるんだぞ……こんなことありえない……」

 シゲゾーは自分自身に起こったことが信じられない様子。

「ま、まさかお前……感染と言ったな……自身のデバフを他人に感染させるスキルか?」
 シゲゾーより早く麻痺から回復した俺はコクリと頷き剣を抜く。

 PKを仕掛けたものが返り討ちにされても罪はつかないというシステムだったはず。ということは俺がシゲゾーを殺しても何のお咎めもない。

「ま、まて! お前面白いスキルだな……俺と一緒に組まないか? 」
 殺されかけているシゲゾーは悪役の典型的なセリフを吐いた。

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