デバフの王〜スキルガチャでハズレスキル【感染】を手に入れたのでこれから無双したいと思います。〜

ぽいづん

文字の大きさ
28 / 85
トップを狙え! PVP始めました

第2話 ムカデ団のキング

しおりを挟む
 話しだけでもしてみるか……どうせこいつ暫く動けないだろうし。
「お前らってPvP強いの?」

 俺がそう言うとシゲゾーは目を見開いて答える。
「もちろん! アルター1のPK集団だぜ。俺達ムカデ団は! 背中にシンボルにムカデがいるだろ? 」

 確かにシゲゾーの服の背中に大きなムカデの絵が書かれている。

「確かに……」
「だろ? 俺はムカデ団の一員なの」
「だったらあんたも強いのか?」
「もちろん。屠ったプレイヤーは100を超えるぜ」

「じゃあなんで素人の俺に負けてんのさ」
「そ、それはお前のスキルを知らなかった所為だ。自分のデバフを他人につけられるスキルなんて聞いた事もない。それに麻痺無効だぜ? 俺の装備」

「ふーん」

「あんたPKに興味あるの?」
「PKというか……」

「ははーん、さては闘技場だな? 闘技場をやりたいけどPvPやったことないしなぁどうしようかなぁって感じか?」

 コクリと頷き俺は話始める。

「実は……」

 タケシに言われたことをシゲゾーに説明する。

「なるほど。そのリアフレが言ってることも分からんでもないな」

 俺は手に持っていた剣を無言で振り上げる。

「ま、待て! 分からんでもないだから! 貶してる訳じゃない! 」
「分かった」
 剣を鞘に収める。

「それじゃ俺について来い」
 じーっと俺はシゲゾーを見る。シゲゾーはまだ動かない……

「すまん……まだ麻痺ってた……」

 30秒ほど待つとシゲゾーの麻痺が解けたのか体を動かし始め、体をねじったりストレッチをしてから俺に話しかける。

「名前は……エイジくんか、フレ送っとく」
「……」

 シゲゾー・ハットリからフレンド申請されましたと表示される。

 NO

「は?」
 きょとんとした顔で俺を見るシゲゾー。

「友達はまだ早いかなって」
「いやいや友達からスタートだろ!  」
「普通、自分を殺そうとした奴と友達になれる?」

「そりゃそうだけどエイジは強くなりてーんだろ? それならフレになった方が面倒くさくないだろ! 」
「まぁ……確かに……」

 結局シゲゾーとフレになった。


「さあ、エイジ俺についてこい。ムカデ団のアジトに連れて行ってやる」
「なんでそんなとこにいかなきゃならんの? やっぱり俺を殺すつもりか?」
 怪訝な顔でシゲゾーを見る。

 シゲゾーはヤレヤレといった表情をし
「対人が強くなる近道は、色んな奴と戦うことだ。ずーっと俺だけと戦ってても仕方ないだろ?」
「ほー……」

 感心の声をあげる俺にシゲゾーは得意げな顔をして

「アジトには俺より強い奴もソコソコいる。強い奴と戦えばさらに強くなれるんだ」
「へぇぇなんか武道みたいだな」
「そりゃそうだろVRスポーツって言うぐらいだしな」
「ふーん」

 シゲゾーに付いて歩いて行くと話し掛けてくる。

「そうそうエイジに言っとくことがある。PvPで勝ちたけりゃスキルはバレないようにすること。アジトでも俺以外にスキルの効果を言ったらダメだぞ」
「なんで?」

「そりゃ予めスキルが分かれば対策するだろ。エイジと2回目戦うなら俺は対策を考えるから負けん」
「……確かに」
「だから音声認識でスキルが連想されるのは止めといた方がいいし、スキルを連想しないようにしたほうがいいな。実際エイジのスキルの効果、音声認識で分かったしな」

「なるほど……なら『エイジ! 行きまーす! 』とかにしとけばいいのかな……」
「あはははそりゃいいな」

 そんなことを話しながら歩いているとシゲゾーが呟く。

「まだキング、ログインしてんな」
「キング?」
「ああ。俺達ムカデ団のリーダー。キングことトゥエルブサーティーンだ」

 12か13どっちかはっきりしろよ……

「強いの?」
「くっそ強い。アルター最強かもしれん」
「へぇぇそんなに」

「俺達ムカデ団は自然発生したクランなんだ」
「自然発生? 」
「ああ、みんなで集まって作ろうって作ったクランじゃないってこと」

「え? どいうこと?」
「あれはサービス開始されて1ヶ月ぐらいだったかな。くっそつよいPKがセンテピードの遺跡にいるって話題になったんだ」
「へぇぇ」

「それで名のあるPK達が挑んだってわけよ。当然俺もその中に含まれてるがな。それで全員がキングに負けたってわけ、みんなムキになってキングに挑むけどみんな返り討ちにあってな。それを繰り返してるうちに仲良くなってムカデ団の結成ってわけよ」

「そんなにつええんだキングって」
「ああ。ちょっと次元が違うかな」

「今日会えるの?……会ってみたいな」

「無理だよ」
「なんでよ? 知らない人とは会わないの? 人見知りなの? キングなのに? 」

「ちげぇぇよ! キングは1日にきっかり1時間しかログインしねぇぇんだよ」
「なんで1時間なんだよ! 」
「知るか! 昔から1時間きっかりでログオフすんだよ!」

 話題も無くなり黙々と歩くこと5分。

「ここだ」
 いかにも盗賊とかのアジトにしか見えない洞窟。シゲゾーはその洞窟の中に入っていく。

 洞窟に入るなりライオンの顔をしたライオネル族の忍者のような格好をした男がシゲゾーに話しかけてくる。
「そいつは入団希望?」
「まあ、そんなとこ。キングこっちにいる? 」
「いや闘技場いってるみたいだな」
「じゃあ無理かな……こいつ紹介したかったんだけど」

 その男は俺を値踏みするような目で見る。そしてシゲゾーにコソコソと話しかけているが丸聞こえだ。
「こいつ弱そうだけど? 入れんの? 最近質が低下してるって古参みんながいってるしなぁ」
「そうか? 俺に勝った男だ」
「まじで! 」
 シゲゾーがそう言うとその男の見る目が変わる。

 するとシュンと転移してくる音が聞こえそちらをみると、ヒューマン族のイケメンな男が剣を片手に立っている。

 それを見てシゲゾーは「キング!」と声をかける。
「シゲゾーか、隣の人だれ?」
 とキングは中学生ぐらいの声でそう言うとブスンと姿を消した。

しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

勇者辞めます

緑川
ファンタジー
俺勇者だけど、今日で辞めるわ。幼馴染から手紙も来たし、せっかくなんで懐かしの故郷に必ず帰省します。探さないでください。 追伸、路銀の仕送りは忘れずに。

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

神は激怒した

まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。 めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。 ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m 世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。

処理中です...