人工子宮

木森木林(きもりきりん)

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第2章

第5話(再会後)

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勿論、二人の出会いは再会の日だけで終わることはなかった。数日後にはショットバーでウイスキーを飲みながら、嘉音は自分の好きなウイスキーの話をした。嘉音のお気に入りはアイラ島のモルトウイスキーだ。嘉音はスコットランドのベン・ネヴィス登山に行ったとき、アイラ島まで足を伸ばしていた。



アイラ島はスコットランド西北部に位置する小島である。酒造りが禁止されていた頃、閉鎖的な地域が都合よかった。また、ウイスキーの造酒過程では、水につけて発芽しかけた大麦を乾かす必要がある。ハリエニシダの小枝しかない島では燃料として原野の下にあるピートモス(泥炭苔)を使うしかなかったが、この薫煙が薫りと味わいと彩りを醸し出した。また、シェリーやバーボンなどの古い樽に隠されたことで、薫りと味わいと彩りは、より豊かなものになった。こうした必然と偶然の重なりにより、スモーキーで海の薫りをもつ琥珀色のウイスキーが造られることになった。古書を探してウイスキーの歴史を知った嘉音の話を、詩歩理は聞き入っていた。

残ったウイスキーのボトルを持ち帰った嘉音は、グラスに注いだウイスキーを口に含み、そのまま詩歩理に接吻した。熱い液体が詩歩理に入ってくる。舐め合うように舌と舌が絡み合う。スモーキーな燃える馨りが二人の身体中に拡がる。今度は詩歩理がウイスキーを口に含み達吉の口に含ませた。接吻は、こんなにも愛情を表現し、また感じ取ることができるのか?
 
嘉音がサッカーの試合に出るときは、いつも静かな詩歩理も大きな声で声援していた。お互い研究や仕事がある中で、音楽会に行ったり、スポーツ観戦したり、旅に出掛けたり、二人でいる時間を創り出し楽しんでいた。性的関係をもつようになっており、スムーズに射精に至り、詩歩理もオルガスムを感じることもあったが、嘉音はは無かったが、傾向があった。


【脚注】
勃起不全:大脳からの性的刺激によって、陰茎のスポンジ状の海綿体に流入する血液が増加し、また同時に流出路が閉鎖することで、海綿体に血液が充満したで勃起が起こる。この勃起ができない勃起不全は、心因性や原因不明が多いが、一酸化窒素の働きを調整するPDE-5酵素活性阻害剤が有用なこともある。糖尿病などの疾患が原因になっていることもあるので、問題があるときは泌尿器科受診が勧められる

遅漏:遅漏は勃起しても、なかなか射精できない病態。射精障害には、このほか直ぐに射精してしまう早漏、精液が膀胱のほうに出てしまう逆行性射精などがある
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