いつか、あなたを

夕時 蒼衣

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電車

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 涙が止まらない。溢れて溢れて、私は半ばパニックになっていた。呼吸が苦しい。息が詰まる。苦しい。どうしようもなかったけど、家までは電車を使わなくては、帰れない。ホームのお手洗いで私は必死にひっしに、涙を止めようとした。涙がなんとか止まって、ひどい顔だと思うけど、私は家に帰ることにした。時間も時間である。今日は遅くなると言って出てきていない。帰らないといけない。その思いでなんとかホームへと向かった。
 ちいさな電車で、駅も少ない。決して、利用人口が少ないわけではないが、ラッシュの時間も過ぎていたので人はほとんど乗っていなかった。席の端っこに座った。少し離れた向がわにいくつか年上に見える男の人がいるくらいで、やたらと車内は静かだった。私には好都合であった。泣きやんだにせよ、ひどい顔をしている。できれば、そんな顔を見ず知らずの人とはいえ見せたくない。そのくらいの乙女心は私にもある。
 ぼんやりと車窓から景色を眺めていた。どうして、外なんて見たのだろう。今考えればそれは偶然ではなく必然だったのかもしれない。結果は最悪にして最良だったからである。
 窓から、電波塔が見えた。見えてしまった。いつもはそんなものは見ても気づかないし、気づいても次の瞬間、忘れている。でも今日は違った。見つけた瞬間、糸が切れる音がした。私は気がついた時には泣いていた。声を出すのも忘れて私は泣いていた。それはだんだん強くなり、息がつまって辛いくらいになった。つらい。しゃくりあげるような息。自分でも、どうすればいいか、わからなくなってきた。ただ、涙を流すだけで精一杯だった。もう、他の乗客なんてどうでもよくなるくらいに私はわからなくなっていた。
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