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第1章
皇妃となるのは確定していました2
しおりを挟む「貴様のような奴なんかと婚約をさせられるとはな。」
現在、猫目がちな紅蓮の瞳に髪をもつ、御年11歳の子供に、ディスられてます。
彼はこの国の皇太子で、名前をカルロ・デ・クワムント。
どうやら皇妃候補引渡し時に正式な誓約書を親がすでに記入しているとか。仕事の早いことで…
待たされた挙句にこの第一声を聞いて、〝まさかこの野郎可愛い妹、フェリミアの時もそんな事言ってないだろうな。〟という疑惑が浮上するとイライラしてきた。
(でもまぁ、フェリミアもあんたの事眼中に無かったからね。哀れな程に。ざまぁみろよ。ぷぷぷ。)
フェリミアから教えてもらった皇太子の印象を思い出しながら心の中で笑っていると、さっきの発言に対する怒りが軽減された。
確かあの時、話したくない相手とお茶をする時の対処法も、教えてくれた気がする…ー。
『いいですか、お茶会で鉄則なのは笑顔と、笑い声、この2つを使用して乗り切るのです。口数は墓穴を掘らない程度で!』
そう一生懸命に説明しているフェリミアの顔が浮かんだ。
この時アレンに『テリアお嬢様はそう言った場では口を開かぬが吉でしょう。』と付け加えられたと思う。
ひとまず、紅茶をすすりながら、ニコニコして「うふふっ」と笑いながら頷いてる私に、イラッとしているのが分かった。
「浅ましい女は大嫌いだ。
おまえ身の程を弁えず、ど田舎の子爵家に生まれながら妹を押し除けてのこのことこんな所まで来たらしいな。」
「うふふ。そうですわね~」
「…貴様会話する気あるのか?」
「…。」
(貴族の社交って難しい。やめとこう。)
「皇太子殿下は私と会話をしたいように思えなかったのですが?」
急な切り返しに、辺りには緊張がはしった。カルロは戸惑いを隠せない様子だ。
「あ…当たり前だろう。俺がおまえのような子爵令嬢如きを娶って何の利益もないんだぞ。
寧ろ、ここにいる侍女達の方が田舎子爵なんかよりも俺にとってずっと利益を生み出す。」
ちらりと辺りを見渡すと、ここに控えている侍女は皆貴族の出で、流石に10歳弱の私よりは年上だが若い者ばかりだ。
皆皇太子の発言にそわそわしているのが分かる。王宮にいる侍女はいつお手つきになってもおかしく無い。
「そこまで言うのに、何故我が子爵家に話が来たんですか。全く。」(いい迷惑よ。)
「…おまえ意外と直球だな。俺が言うのもなんだが、もっと媚を売れないのか?
折角のチャンスなのわかってるか?
シナとやらを作らないと男は興奮しないらしいぞ。」
(私前世でこの子より年上なのになんで、11歳の子供にアドバイスされてるんだろう)
「お望みとあれば、媚びますが…。」
嫌そうに眉を寄せるテリアを見て「いやいい。」とカルロは断った。
周りは2人の会話をはらはらしながら聞いていたが、その日は奇妙な雰囲気の中、無事にお茶会時間を過ごす事となった。
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