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第1章

義妹とお出掛けする事にしました2

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 2人がそんなやりとりをしている時、アレンは部屋隅で動いた気配に気が付いた。

「テリアお嬢様、そろそろお部屋に戻りませんと…」

「ぁ、そ、そうね。つい長居してしまったわ。」

 部屋を出る時、アレンはチラリと物陰に潜んでいる人物を横目で見たが、気づかないフリをして出て行った。

 テリア達が去った後、物陰に隠れている人物にアリスティナは声をかける。

「カルロお兄様、全部聞いていたのでしょう?出てきてください。」

「アリス…、だからこの間から外に出たいと言っていたのか。」

「…はい、私は猫の獣人ですから、死期が近くなった時の習性が猫と同じなのでしょう。

誰にも見つからない場所で、静かに1人で死にたかったのです。」

「…っ。

テリアにも頼んだそうだが、奴がおまえを連れ出して、外で死ねばあいつは只では済まなかったぞ。
おまえは、あいつを気に入っていただろう。」

「……私も、冷酷な皇帝の血をついでいるからか…これも猫の習性と同じからなのか。

それでも今まで自由にならなかった、自分の最後の望みを叶えたかったのです。
あの時は。」

「あの時は?」


「私が願えば、先程のテリア様は連れ出してくれたでしょう。無理をしてでも。

ですが……。」

 呟くように言いかけたその先を一旦口を噤んでひっこめて、カルロを見据えた。
 2人の視線は静寂の中、交差する。

 そして、カルロに向かって語るように再び話しはじめた。

「テリア様は不思議なお方ですね、共にいると、身体が軽くなりましたし…

なにより、こちらまで優しく穏やかな気持ちにさせるのです。

そして、テリア様を見ていると時々ふと、泣きたくなりました。

抱え切れない程の自分の痛みを押し込んで。他人に向ける労りの偽りなき心に、いつの間にか救われていました。

こんなに短い時間で、私はテリア様が大好きになっていたんです。」

 アリスティナの垂れ目がちで、己と同じ紅蓮に近い赤い瞳から、ハラハラと美しい涙が溢れてきた。
カルロは、その光景をただ眺めている事しかできない。

「……。」

(いつの間に…) 

 自分と居た時のアリスティナもとても良く笑っていた。クスクスと愛らしく可憐な笑顔で。
 その幼い無垢な表情を、自分が守ってやらなければと強く思った。
 

「だから、カルロお兄様と言えども、お義姉様を泣かせたら赦さないからね?」

 悪戯を楽しむように、カルロへ向かってびしりとゆびをさす。

 (いつの間に、アリスはこんなにも美しく生き生きとした笑顔を浮かべるようになったんだろう。)

 それは、自分の為では無くて、相手を思う心から来る笑みだからこそ美しく生き生きとしていたのだと、カルロはこの時知る由もない。


「アリス…。」



「それと…テリア様を絶対手放したらダメだからね。お兄様。」.
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