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第1章

答えの正解

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「…毒って、そんなん盛られたら犯人誰だろうとセリウム王子がヤバくないですか?」

「質問しているのはボクだよ、さぁ答えてよ。」

「??」

 ニコニコしながら促すセリウムに、流石にユラが口を挟んだ。

「テリア様、2とお答えください!」

「皇太子妃と王子の話に口を挟むなんて無礼だね。」

 セリウムがそう言うと、周りにいたメイド達が数人でユラを押さえつける。

 抵抗は出来るわけもなく、されるがままに押さえつけられたユラに、テリアは驚いて声を上げた。

「なにをするの、ユラを離して!」

「罰として鞭を打ってくるように。」

  テリアの声を無視して、メイドはセリウムに「畏まりました。」と述べてユラを連れて行こうとする。

 それを追って、メイドの肩を掴むテリアの後ろで、セリウムは言った。

「わかった?
何故メリットのない義姉様が兄上の婚約者になれたと思う?
権力者は皆、兄上よりボクの味方をした方が良いとわかっている。泥舟に駒を置かないからだよ。」

 「それよりも。セリウム王子。ユラを離してってメイドに命令して!」


「義姉様、あのね、皇太子妃なんて肩書きで多少の事は通ると思った?無意味だよ。だって義姉様は皇太子の寵愛もないでしょ?」   

 テリアはセリウムの肩を勢いよく掴んだあと、バシッと力を込めてビンタをかました。 
 驚いて目を見開いているセリウムをそのまま傍に担いでメイドの元に走っていく。


 そして、メイドの前に回り込み両手でセリウムをかざした。

「この王子がどうなっても良いの?」


 そう、セリウムを人質に取り始めたのだ。


「な、何と言う事を!」


 メイドの悲鳴に、テリアは怒りを露わにする。


「それはこっちの台詞!
早くユラを離してよ!!この王子をさらにぶっ叩くわよ!」


 「……っ!!」


 「テリア様いけません!逆らっては駄目…です。」


   ビンタをかまされたセリウムの頬を見て、ユラの顔は血の気が引いて、みるみるうちに青ざめてゆく。

 その間にも、メイドからユラを剥ぎ取ると、メイドにセリウムを持たせてテリアは駆け出した。


「テリア様…」

「こんな所、さっさとずらかるわよ!何で急にユラに鞭をとかって話になるのか…。」

 
 もはや事態の大きさにユラの魂は抜けて連れられるままに足を動かしている。


 後ろから誰かが追ってくる気配はなく、それが尚更この後に起こり得る事の静けさにも見えた。



 「テリア様。」


  ユラは覚悟を決めた顔をしてテリアの手を握りしめて、テリアの宮への帰路へと進む。
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