【完結】辺境伯は元王子妃に恋をしている

マロン株式

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辺境伯は元王子妃に恋をしている1 ※ 辺境伯side

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 思えばわたしは、幼少期の頃、1人の少女を見掛けてからこの人しか愛する事は出来ないとわかっていたのだろう。

 叶わぬと思いながらも視線ではその姿を探し、代わりを見つけようともがいても相手を傷つけるだけで終わった。

 全てはあのお方の、幼いながらもおっとりとしているのに、何処か凛とした姿を見掛けたその時から始まった。

 届かぬ想いと身を焦がしながらも、諦めなくてはと何度も思った。

 その人と、自分の邸宅にある寝室で同衾する日が来るなど考えつかなかった。

 初夜でする事は一般的に1つしか無いけれど、この人は離縁されたばかりだ。

 焦ってまぐわろうとしている訳では無い。少しずつ、様子を見ながらだ。

 風呂に入り終わった辺境伯は寝室に向かいながらそう自分に言い聞かせていた。
 寝室の扉を開けると、其れ迄日記でも書いていたのか、ペンを持っていた手を止めて、たれ目がちな目をこちらに向けてくる  マーガレットの姿があった。
 
 化粧を落とし、何時も綺麗に結えられていた髪を下ろし、しっかりした生地で出来ているドレスと違い、無防備な程に薄い寝屋着から浮き出る胸のラインが少し揺れたのが目に入る。

 控えめに言って、色気が凄い。

 その姿に男として疼きを感じゴクリと喉をならした。

 (何処を見ているんだわたしは…)


 そんな辺境伯の事情などつゆ知らず、初めて互いに寛いだ姿で対面している事に照れた様子の  マーガレットは頬をピンクに染めて「今日は式でお疲れでしょうから、寝ましょうか。」と微笑みを浮かべ、話しかけてくる。

 まだ眠たくは無かったが、このまま無防備なマーガレットを視界に入れ続けるのも理性が揺らぎそうなので、辺境伯は思わず頷いた。

 明かりを消して、2人してベッドに入って行くけれど、辺境伯の目は当然冴えていた。無心になろうと天井にある窓から見える満月を見上げていた。

 室内には月明かりのみだが、それだけでも充分に優しく部屋を照らしている。

「妃殿下、お手に触れてもよろしいでしょうか?」

   少しずつ、とは思いつつもやはり初夜なので、抱きしめて眠るくらいはしたい。
 どの程度触れても平気か探る為声をかけてみるが、マーガレットから返事はなく視線をやると目を閉じて既に眠りについている。

 (多分式で疲れたのだろう。今日はこのまま休ませてさしあげよう。)

 辺境伯が小さく開いた唇に、そっと口付けた時、触れた事で目が覚めたのか、目を薄ら開けたマーガレットと目が合った。

「……。」

「…眠れないのですか?」


    マーガレットはそう言って、固まってしまった辺境伯をボンヤリと見つめ、寝ぼけているのか手を伸ばし、辺境伯の頭を胸元に抱え込むようにして抱き込む。

 意図せず柔らかい弾力に顔を埋める事になった辺境伯の理性が大きく揺れると同時にカァッと顔が熱くなる。

 辺境伯の頭を抱え込んだ  マーガレットは、優しく頭をよしよしと撫でながら言った。


「おやすみなさい。王子。」

   その呟きに、辺境伯は目を見開いた。

 これは癖のようなものでしか無く、寝ぼけている  マーガレットに他意はない。

 恐らく長年にわたり王子をこうして抱きしめ眠っていたのだろう。

(…わかっては、いたが…)


「……─ー。」



 完全に眠りについたのか  マーガレットは小さく寝息を立て初め、身動きが自由に取れるようになった辺境伯は1度頭を浮かせると

 大きな手で脇から乳房を持ち上げた事で前に浮き出た尖りを口に含んだ。

 

 
 
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