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ヒロインは片思いをしている
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初めまして、私の名前はユリシア・モントリア。モントリア伯爵家の長女で、今年12歳になる。
私には前世の記憶があって、此処は私が前世で読んでいた恋愛小説の世界。私は小説のヒロインとして生まれていた。
小説のヒロインである私は、王子と、王子の12歳の誕生祭で出会い恋愛をして、すれ違いを重ねた末に結ばれるとか。
それが運命で、正直生まれてから前世の記憶があった私はそれをラッキーとさえ思っていた。
あの時までは。
私は、父の友人の息子が伯爵位を受け継ぐ事になった時に挨拶に来た彼と出会ってしまった。
ヴォーレン・バウセラム ミストロイア辺境伯爵。出会った当時私は7歳。彼は17歳だった。およそ10歳差の私を向こうは当然ながら恋愛対象として見ていなかったけど。
私は違う。一目惚れだった。
彼の雰囲気も、綺麗で優しげなペリドットの瞳。話していて明るくしてくれる喋り方。
私は辺境伯にまた会えるようにごねにごねた結果、私が懐いていると思った父が、親同士が仲が良いのもあって良くミストロイア辺境伯と私を会わせてくれた。
会うたびに私だけが、素敵すぎて惹かれてゆく。
でも、ふと我にかえるのだ。私は10歳になったら、王子と出会う予定だ。
もし王子と出会ってしまったら。この恋心はどうなるのだろう。
消えてしまうのだろうか?
その方が良いに決まってる。だって、王子の方が年の頃も丁度良いし、辺境伯は私を子供としてしか見ていない。
彼の為にも、この恋を、消してしまった方が良いに決まってる。
そう思いながら迎えた王子の誕生祭、私は王子を遠目から見て思った。
とても整った顔立ちで、誰もを魅了する笑顔の物語通り素敵な王子様。
それが、私のものになるなんて幸運だ。
だけど……。
私は横に視線をやった。その先には他の貴族と談話している辺境伯が人懐っこい笑顔を浮かべている。
(だけど、この気持ちは消えなかった…。)
そして、この日気が付いた。辺境伯の視線の先に、マーガレット様がいる事を。
(ぁあいう、おっとりした豊満な女性がタイプなわけね。)
見向きもされないはずだ。
私は今年やっと10歳になる。当然ながら胸なんかまだぺったんこだ。きっと成長したら凄い筈。だって私はヒロインだから。
(まぁでも、マーガレット様が辺境伯様のタイプでも、マーガレット様は王子の……ん?)
通常なら王子の妃に恋慕してもどうにもならないから安心出来るところだ。だけど、ここは小説の世界でマーガレットは王子と離縁していた。
その後は確か…
「ー…!」
マーガレットは小説で再婚していた。
物腰柔らかで、大型犬のように人懐こい雰囲気。ペリドットの瞳を持つ辺境伯のもとで溺愛される。
まんまヴォーレン・バウセラム ミストロイア辺境伯爵の特徴だ。そう言えば、辺境伯でペリドットの瞳を持つ人は彼しか見た事ない。
(……、いや…そんなの、いや!)
そう思った私は物語を変えるため、誕生祭で王子と会話するのを避けた。取り敢えず出会いそうになるのを避けた。
そのくらいしか私には出来なかった。
だけど、相手の気持ちは変えられない。それからこうして王家が出てくるパーティーでの辺境伯を見ていて、分かってしまった。
確実に、ヴォーレン・バウセラム ミストロイア辺境伯爵はマーガレットに恋愛感情を抱いていると。
私には前世の記憶があって、此処は私が前世で読んでいた恋愛小説の世界。私は小説のヒロインとして生まれていた。
小説のヒロインである私は、王子と、王子の12歳の誕生祭で出会い恋愛をして、すれ違いを重ねた末に結ばれるとか。
それが運命で、正直生まれてから前世の記憶があった私はそれをラッキーとさえ思っていた。
あの時までは。
私は、父の友人の息子が伯爵位を受け継ぐ事になった時に挨拶に来た彼と出会ってしまった。
ヴォーレン・バウセラム ミストロイア辺境伯爵。出会った当時私は7歳。彼は17歳だった。およそ10歳差の私を向こうは当然ながら恋愛対象として見ていなかったけど。
私は違う。一目惚れだった。
彼の雰囲気も、綺麗で優しげなペリドットの瞳。話していて明るくしてくれる喋り方。
私は辺境伯にまた会えるようにごねにごねた結果、私が懐いていると思った父が、親同士が仲が良いのもあって良くミストロイア辺境伯と私を会わせてくれた。
会うたびに私だけが、素敵すぎて惹かれてゆく。
でも、ふと我にかえるのだ。私は10歳になったら、王子と出会う予定だ。
もし王子と出会ってしまったら。この恋心はどうなるのだろう。
消えてしまうのだろうか?
その方が良いに決まってる。だって、王子の方が年の頃も丁度良いし、辺境伯は私を子供としてしか見ていない。
彼の為にも、この恋を、消してしまった方が良いに決まってる。
そう思いながら迎えた王子の誕生祭、私は王子を遠目から見て思った。
とても整った顔立ちで、誰もを魅了する笑顔の物語通り素敵な王子様。
それが、私のものになるなんて幸運だ。
だけど……。
私は横に視線をやった。その先には他の貴族と談話している辺境伯が人懐っこい笑顔を浮かべている。
(だけど、この気持ちは消えなかった…。)
そして、この日気が付いた。辺境伯の視線の先に、マーガレット様がいる事を。
(ぁあいう、おっとりした豊満な女性がタイプなわけね。)
見向きもされないはずだ。
私は今年やっと10歳になる。当然ながら胸なんかまだぺったんこだ。きっと成長したら凄い筈。だって私はヒロインだから。
(まぁでも、マーガレット様が辺境伯様のタイプでも、マーガレット様は王子の……ん?)
通常なら王子の妃に恋慕してもどうにもならないから安心出来るところだ。だけど、ここは小説の世界でマーガレットは王子と離縁していた。
その後は確か…
「ー…!」
マーガレットは小説で再婚していた。
物腰柔らかで、大型犬のように人懐こい雰囲気。ペリドットの瞳を持つ辺境伯のもとで溺愛される。
まんまヴォーレン・バウセラム ミストロイア辺境伯爵の特徴だ。そう言えば、辺境伯でペリドットの瞳を持つ人は彼しか見た事ない。
(……、いや…そんなの、いや!)
そう思った私は物語を変えるため、誕生祭で王子と会話するのを避けた。取り敢えず出会いそうになるのを避けた。
そのくらいしか私には出来なかった。
だけど、相手の気持ちは変えられない。それからこうして王家が出てくるパーティーでの辺境伯を見ていて、分かってしまった。
確実に、ヴォーレン・バウセラム ミストロイア辺境伯爵はマーガレットに恋愛感情を抱いていると。
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