14 / 17
孤高の皇帝と少女
2
しおりを挟む
元々はレヴァネル王国は小国で
皇帝のいるフロイス皇国のような大国に戦を仕掛けても
勝てるような国ではないのは鼻から分かっておりました。
しかし、15年前、フロイス皇国の民による内乱が続き、統制の取れていない様を知ったレヴァネル王国は
こんなチャンスは2度と訪れないとばかりにフロイス皇国に侵略戦争を仕掛けました。しかし当時は失敗に終わりました。
それからずっと冷戦状態にありました。
15年の時を経て、フロイス皇国は国内が安定化し、レヴァネル国と本来の力関係に戻ったと思われた頃
本来の力を取り戻した皇国に戦の決着をつけられる事をレヴァネル王国は恐れました。
そろそろ力を取り戻したフロイス皇国に、戦争を仕掛けられる。その戦いは絶対勝てない。領土の大きさ、武力・人口においての差は歴然。
レヴァネル王国若き王は着任早々和平の申し出をして、一旦は申し出た条件を飲んだかのように見えたフロイス皇国でしたが
孤高の皇帝の気紛れにより、反転してしまいます。
孤高の皇帝は言いました。
レヴァネル王国との和平を結ぶ事は出来ない。
もしも、冷戦を終わらせると言うのであれば条件はただ1つ。
レヴァネル王国がフロイス皇国の領土の1つになるという事。
つまり
レヴァネル王国、王侯貴族は実質滅びる事になってしまいます。
これに憤怒したレヴァネル王侯貴族は抵抗し、たちまち戦が起こりました。
ですが既に皇帝が立て直したフロイス皇国との国力差は歴然でした。
1年も立たないうちに、レヴァネル城が抑えられ戦犯であるレヴァネルの王侯貴族は殆どが絶えてしまいました。
そして
孤高の皇帝は終戦の知らせを受けてすぐにある人物の元へと足を運びました。
レヴァネル王国 王家 最後の生き残り
戦争終結まで棟の上に監禁されていたレヴァネル王とされた、少女の元へと会いにゆきました。
それは、処刑場以来の再会でした。
「戦争は終わった。
細かい話は、伝手から聞いているだろう。
レヴァネル王国はもう消えた。」
片脚に枷をたけられている少女は、静かに立ち上がり、皇帝を見据えた。
こうなっても尚、彼女の紫紺の瞳は美しく澄んでいる。
物言わない少女に皇帝は言いました。
「君の国はもうない。
だから、君はもう、王ではないんだ。」
少女はその言葉に目を見開いて、やがてその美しい瞳から、ハラハラと滴を流しました。
「どうしてなの、レイシス。」
そうだ、君に恨まれるとわかっているけれど、わたしはこの道を何度でも選んだだろう。
「君が憎んだ者、恨んだ者
そしてー・愛した人々、全てわたしが滅ぼした。」
「…ー。」
「これが君の生み出した皇帝だ。
強い国とは、何にも服従されずに済む国だ。強い国をつくる事が
わたしの思う名君の姿だ。違うか?」
君の誇りを踏みにじっても、失望されても、
わたしは何度でも言うだろう。
君は王では無いと。
レヴァネルの王では無いと、何度でも否定する。
何故なら君が思う王は、優しすぎるからだ。
その優しさは、君を生かしはしないのだ。
わたしを生かした君が、そんな王になるのは赦せない。絶対に。
「わたしが憎いだろう、殺したいだろう。
だから君に、わたしをいつでも殺せる権利を与えに来た。」
「ー…」
皇帝の口から語られた言葉に、少女は自らを支えている足の力が緩んでバランスを崩した。
それを、皇帝は受け止めて、支える。
「ー…これが、君に与えるわたしからの罰だ。」
「ー…」
それまで強張っていた少女の口からは嗚咽がもれて、皇帝に支えられた手を退けて、マントに縋り付くとズルズルと床にしゃがみ込み、その場にうずくまった。
皇帝のいるフロイス皇国のような大国に戦を仕掛けても
勝てるような国ではないのは鼻から分かっておりました。
しかし、15年前、フロイス皇国の民による内乱が続き、統制の取れていない様を知ったレヴァネル王国は
こんなチャンスは2度と訪れないとばかりにフロイス皇国に侵略戦争を仕掛けました。しかし当時は失敗に終わりました。
それからずっと冷戦状態にありました。
15年の時を経て、フロイス皇国は国内が安定化し、レヴァネル国と本来の力関係に戻ったと思われた頃
本来の力を取り戻した皇国に戦の決着をつけられる事をレヴァネル王国は恐れました。
そろそろ力を取り戻したフロイス皇国に、戦争を仕掛けられる。その戦いは絶対勝てない。領土の大きさ、武力・人口においての差は歴然。
レヴァネル王国若き王は着任早々和平の申し出をして、一旦は申し出た条件を飲んだかのように見えたフロイス皇国でしたが
孤高の皇帝の気紛れにより、反転してしまいます。
孤高の皇帝は言いました。
レヴァネル王国との和平を結ぶ事は出来ない。
もしも、冷戦を終わらせると言うのであれば条件はただ1つ。
レヴァネル王国がフロイス皇国の領土の1つになるという事。
つまり
レヴァネル王国、王侯貴族は実質滅びる事になってしまいます。
これに憤怒したレヴァネル王侯貴族は抵抗し、たちまち戦が起こりました。
ですが既に皇帝が立て直したフロイス皇国との国力差は歴然でした。
1年も立たないうちに、レヴァネル城が抑えられ戦犯であるレヴァネルの王侯貴族は殆どが絶えてしまいました。
そして
孤高の皇帝は終戦の知らせを受けてすぐにある人物の元へと足を運びました。
レヴァネル王国 王家 最後の生き残り
戦争終結まで棟の上に監禁されていたレヴァネル王とされた、少女の元へと会いにゆきました。
それは、処刑場以来の再会でした。
「戦争は終わった。
細かい話は、伝手から聞いているだろう。
レヴァネル王国はもう消えた。」
片脚に枷をたけられている少女は、静かに立ち上がり、皇帝を見据えた。
こうなっても尚、彼女の紫紺の瞳は美しく澄んでいる。
物言わない少女に皇帝は言いました。
「君の国はもうない。
だから、君はもう、王ではないんだ。」
少女はその言葉に目を見開いて、やがてその美しい瞳から、ハラハラと滴を流しました。
「どうしてなの、レイシス。」
そうだ、君に恨まれるとわかっているけれど、わたしはこの道を何度でも選んだだろう。
「君が憎んだ者、恨んだ者
そしてー・愛した人々、全てわたしが滅ぼした。」
「…ー。」
「これが君の生み出した皇帝だ。
強い国とは、何にも服従されずに済む国だ。強い国をつくる事が
わたしの思う名君の姿だ。違うか?」
君の誇りを踏みにじっても、失望されても、
わたしは何度でも言うだろう。
君は王では無いと。
レヴァネルの王では無いと、何度でも否定する。
何故なら君が思う王は、優しすぎるからだ。
その優しさは、君を生かしはしないのだ。
わたしを生かした君が、そんな王になるのは赦せない。絶対に。
「わたしが憎いだろう、殺したいだろう。
だから君に、わたしをいつでも殺せる権利を与えに来た。」
「ー…」
皇帝の口から語られた言葉に、少女は自らを支えている足の力が緩んでバランスを崩した。
それを、皇帝は受け止めて、支える。
「ー…これが、君に与えるわたしからの罰だ。」
「ー…」
それまで強張っていた少女の口からは嗚咽がもれて、皇帝に支えられた手を退けて、マントに縋り付くとズルズルと床にしゃがみ込み、その場にうずくまった。
10
あなたにおすすめの小説
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
その婚約破棄お待ち下さい、保険適用外です!
東稔 雨紗霧
ファンタジー
王宮にある一室で今まさにオフィーリアがミゲル王子から婚約破棄を告げられそうになっていた時、そこに割って入る者がいた。
「お待ち下さい、その婚約破棄保険適用外です!」
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
突然伯爵令嬢になってお姉様が出来ました!え、家の義父もお姉様の婚約者もクズしかいなくない??
シャチ
ファンタジー
母の再婚で伯爵令嬢になってしまったアリアは、とっても素敵なお姉様が出来たのに、実の母も含めて、家族がクズ過ぎるし、素敵なお姉様の婚約者すらとんでもない人物。
何とかお姉様を救わなくては!
日曜学校で文字書き計算を習っていたアリアは、お仕事を手伝いながらお姉様を何とか手助けする!
小説家になろうで日間総合1位を取れました~
転載防止のためにこちらでも投稿します。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる