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22 公爵令嬢の破滅
王太子殿下は諦めたようにため息をつくと、私が開けた場所に出てこられプチフール公爵令嬢の前に立った。
「そこまで言うなら仕方がないだろう。
ブラウン男爵令嬢が階段から落ちたあの日、サントノーレ侯爵令嬢は何者かに呼び出されてあの場に向かったらしいよ。
それに君は先程ブラウン男爵令嬢が階段から突き落とされたと言っていたな。
ブラウン男爵令嬢は足を滑らせて転落したと証言しているが、我々は何らかの理由で虚偽の証言をしており、実際は誰かに突き落とされたとして内密に捜査している。君は何故男爵令嬢が突き落とされたと思ったのか、知っていることがあるのであれば答えなさい」
内々に済ませることを諦めたらしい王太子殿下がいきなり核心をつき、周囲の学生達が「えっ」と声を上げる。先ほどの公爵令嬢の発言で気付いた生徒は厳しい目を向けている。
「そんなの、先程も申し上げました通りサントノーレ侯爵令嬢がフリュイ殿下に付きまとう男爵令嬢が許せなかったことからの策略に決まっていますわ。呼び出しの手紙だって自作自演に違いありません」
言われた言葉と学生達の反応に焦ったのか、更に犯人しか知らないはずの情報を口にする。
「語るに落ちたな。私は誰かの動機を聞いているのではない。君が『男爵令嬢が突き落とされた』と確信している根拠を述べよと言っているのだ。
──それに私はサントノーレ侯爵令嬢が手紙で呼び出されたとは一言も言っていない」
「そ、そんなこと想像すればわかりますわ。なんですの?フォンダン殿下は私が手紙を出したとでも言いたいんですの?何か証拠でもありますの?例えばその手紙が残っているとか・・・」
プチフール公爵令嬢が私の方を見たため
「ありませんわ。この手紙は読んだら捨てるようにと書いてありましたもの」
だから捨てました。と、答えてあげた。
「「「「「「「「捨てた?!」」」」」」」」
王太子殿下を含め何人かの生徒が驚愕して思わず声を上げる。
フリュイ殿下はなんとも言えない表情で私を見ていた。
そんな中、ほら見たことかとプチフール公爵令嬢がほくそ笑んでいる。
しかし──
「ありますよ」
静まりかえった会場に、捨てられたはずの手紙を手にしたグランがそう言いながら入ってきた。
「「何故その手紙を?!」」
私とプチフール公爵令嬢の声が被ってしまった。
どうして彼女は自分の首を締めるようなことを言うのかしら。彼女はどうみても悪役に向いてないわ。
思わず哀れみの視線を向けてしまう私を見て、ハッとして悔しそうに顔を歪めたプチフール公爵令嬢は
「では今夜ブラウン男爵令嬢がパーティーに参加されていない件に関してはどう説明しますの?」
と、言い出した。
どうしたもこうしたも私は関与していませんが。
それに、そんなことで手紙の存在を無かったことに出来るとでも?
あ、差出人を書いていないから大丈夫と思っているのかもしれないわね。
しかしそこへ追い打ちをかけるように「あたしならここにいます」という声が会場に響いた。
会場の入り口を見ると少し汚れた制服姿のブラウン男爵令嬢がミルクと共に立っていた。
「な、何故あなたがここにいるの?!」
「おかしなことをおっしゃいますね。学生が学年末パーティーに参加して何か不思議なことがありますか?」
心底驚いているプチフール公爵令嬢がブラウン男爵令嬢に向けた言葉にミルクさんが答える。
続けて
「ブラウン男爵令嬢の姿が見えなかったので探しに出たところ、ひとりで教室におられたので一緒にこちらに来たのです」と経緯を話した。
ブラウン男爵令嬢が制服であることを置いておけば何の違和感も無い説明であったが、プチフール公爵令嬢にとっては違うようだった。
「教室ですって?!パーティーが終わるまで用具室で大人しくしているように言ったじゃない!」
そう、ブラウン男爵令嬢を叱責したのだ。
「あっ・・・」
不味い──そんな顔をしたけれど、今度こそ取り返しはつかない。
王太子殿下、フリュイ殿下他会場中の生徒から軽蔑の視線を向けられ、とうとう座り込んでしまったプチフール公爵令嬢にシャルロットが近寄り静かに言った。
「あなたはショコラが妃にふさわしくないと言われていましたけれど、すべて冤罪。
それに引き換え男爵令嬢に危害を加え、平気な顔をして他者にその罪を擦り付ける──あなたのどこが妃にふさわしいと仰るのですか?」
後日騎士団からの聴取でドレス事件もプチフール公爵令嬢の仕業だと判明した。
そして、何故ブラウン男爵令嬢を執拗に狙ったのかという質問に対しては、フリュイ殿下に付きまとっており、フリュイ殿下も男爵令嬢を気にしているという噂を聞いたからだと答えたらしい。
自分がなるはずだった『お姫様』を横取りした私もろとも消してやろうと思った──とのことだった。
きっと彼女は夢を諦めきれず、幼い頃から成長できていない子供なのね。
「そこまで言うなら仕方がないだろう。
ブラウン男爵令嬢が階段から落ちたあの日、サントノーレ侯爵令嬢は何者かに呼び出されてあの場に向かったらしいよ。
それに君は先程ブラウン男爵令嬢が階段から突き落とされたと言っていたな。
ブラウン男爵令嬢は足を滑らせて転落したと証言しているが、我々は何らかの理由で虚偽の証言をしており、実際は誰かに突き落とされたとして内密に捜査している。君は何故男爵令嬢が突き落とされたと思ったのか、知っていることがあるのであれば答えなさい」
内々に済ませることを諦めたらしい王太子殿下がいきなり核心をつき、周囲の学生達が「えっ」と声を上げる。先ほどの公爵令嬢の発言で気付いた生徒は厳しい目を向けている。
「そんなの、先程も申し上げました通りサントノーレ侯爵令嬢がフリュイ殿下に付きまとう男爵令嬢が許せなかったことからの策略に決まっていますわ。呼び出しの手紙だって自作自演に違いありません」
言われた言葉と学生達の反応に焦ったのか、更に犯人しか知らないはずの情報を口にする。
「語るに落ちたな。私は誰かの動機を聞いているのではない。君が『男爵令嬢が突き落とされた』と確信している根拠を述べよと言っているのだ。
──それに私はサントノーレ侯爵令嬢が手紙で呼び出されたとは一言も言っていない」
「そ、そんなこと想像すればわかりますわ。なんですの?フォンダン殿下は私が手紙を出したとでも言いたいんですの?何か証拠でもありますの?例えばその手紙が残っているとか・・・」
プチフール公爵令嬢が私の方を見たため
「ありませんわ。この手紙は読んだら捨てるようにと書いてありましたもの」
だから捨てました。と、答えてあげた。
「「「「「「「「捨てた?!」」」」」」」」
王太子殿下を含め何人かの生徒が驚愕して思わず声を上げる。
フリュイ殿下はなんとも言えない表情で私を見ていた。
そんな中、ほら見たことかとプチフール公爵令嬢がほくそ笑んでいる。
しかし──
「ありますよ」
静まりかえった会場に、捨てられたはずの手紙を手にしたグランがそう言いながら入ってきた。
「「何故その手紙を?!」」
私とプチフール公爵令嬢の声が被ってしまった。
どうして彼女は自分の首を締めるようなことを言うのかしら。彼女はどうみても悪役に向いてないわ。
思わず哀れみの視線を向けてしまう私を見て、ハッとして悔しそうに顔を歪めたプチフール公爵令嬢は
「では今夜ブラウン男爵令嬢がパーティーに参加されていない件に関してはどう説明しますの?」
と、言い出した。
どうしたもこうしたも私は関与していませんが。
それに、そんなことで手紙の存在を無かったことに出来るとでも?
あ、差出人を書いていないから大丈夫と思っているのかもしれないわね。
しかしそこへ追い打ちをかけるように「あたしならここにいます」という声が会場に響いた。
会場の入り口を見ると少し汚れた制服姿のブラウン男爵令嬢がミルクと共に立っていた。
「な、何故あなたがここにいるの?!」
「おかしなことをおっしゃいますね。学生が学年末パーティーに参加して何か不思議なことがありますか?」
心底驚いているプチフール公爵令嬢がブラウン男爵令嬢に向けた言葉にミルクさんが答える。
続けて
「ブラウン男爵令嬢の姿が見えなかったので探しに出たところ、ひとりで教室におられたので一緒にこちらに来たのです」と経緯を話した。
ブラウン男爵令嬢が制服であることを置いておけば何の違和感も無い説明であったが、プチフール公爵令嬢にとっては違うようだった。
「教室ですって?!パーティーが終わるまで用具室で大人しくしているように言ったじゃない!」
そう、ブラウン男爵令嬢を叱責したのだ。
「あっ・・・」
不味い──そんな顔をしたけれど、今度こそ取り返しはつかない。
王太子殿下、フリュイ殿下他会場中の生徒から軽蔑の視線を向けられ、とうとう座り込んでしまったプチフール公爵令嬢にシャルロットが近寄り静かに言った。
「あなたはショコラが妃にふさわしくないと言われていましたけれど、すべて冤罪。
それに引き換え男爵令嬢に危害を加え、平気な顔をして他者にその罪を擦り付ける──あなたのどこが妃にふさわしいと仰るのですか?」
後日騎士団からの聴取でドレス事件もプチフール公爵令嬢の仕業だと判明した。
そして、何故ブラウン男爵令嬢を執拗に狙ったのかという質問に対しては、フリュイ殿下に付きまとっており、フリュイ殿下も男爵令嬢を気にしているという噂を聞いたからだと答えたらしい。
自分がなるはずだった『お姫様』を横取りした私もろとも消してやろうと思った──とのことだった。
きっと彼女は夢を諦めきれず、幼い頃から成長できていない子供なのね。
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