風吹く日、君と出会う春

大井 芽茜

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第3話 初めての出会い

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 次の日


「マジでヤバいって……石井先生、めっちゃSじゃん。あんな可愛い顔して!?」

「陸上の先生なんて、そんなもんじゃないか?」
「君たち大変だね~~。」



 俺と晴矢。そして、たまたま近くで1人飯をしていた藻野藻野もや紫雲紫雲しぐもを誘い、一緒に昼飯を食っていた。


「なぁぁーー紫雲、お前も陸上部に入ろうぜ?」
「晴矢くん、それは無理だね。僕は忙しいんだから。」
 紫雲は、眼鏡をキリッと光らせてドヤる。


 でも、こんなに賑やかで、皆で楽しくご飯が食べられるなんて幸せだな。

 2人が言い合いをしているのにも関わらず、俺はご飯を噛みしめていた。

「それにしても雨季の前の席。ずっと空いてるよな。」
「ずっと。って程じゃないけどな。」

 俺の前の席はずっと欠席状態だった。おかけで眠れなかったり不便しかない。


「なんでだろうね。先生も言わないし」
 紫雲も不思議そうな顔で見つめていた。まぁ、今は真面目に頑張るしかない。


「なぁ雨季。今日の部活は何すると思う?」
「……え、今日休み。って言ってなかったか? 新入生は集合無しとか。」
 今考えてみれば、休みだから昨日の練習はキツかったのだと納得する。


「えっだったらさ、皆で遊ばね?」
「ごめん。今日は研究部があるからね。次は日曜日とかかな?」


「雨季は?」
 今日か。

「悪い。俺もやることがあるんだ。ちなみに日曜日はいける。」
 俺がそう言うと、晴矢はボッーと目の光を失ったように見つめてきた。


「お前! まさか!」
 まさか…………晴矢も、人影を見たのか?俺は、前に乗り出して目を見開いた。


「か……かっ…」
 ゴクッ


「彼女かあああ!!!??? お前だけはちがっ」
「違う。」
 暫く静かな空気が流れていった。俺と紫雲は呆れた顔をしながら時間だけが過ぎていく。


「全く、なんでそっちにいくかなぁ?」
「だってさぁ雨季って彼女いそうじゃん。」

「初めて言わたんだが?」
 俺の話題は、何故か放課後まで続いていた。

 晴矢は彼女の事で頭がいっぱいそうだが、僕はあの人影の事しか考えてなかった。


「じゃあな!」
「僕は部活だから~~」

「あぁ身体を休めろよー。頑張ってくれー。」
 皆と別れた後、すぐに周りの探索を初めていた。


(ここまでか)
 階段を登って、登っても、3階までしか階段は無かった。


 他の場所をみても、何処にも屋上に向かう階段がない。
 なら、あの人影は? 女の人の声は……?


 全てが幻想なのだったのだろうか。人影を見たと錯覚すれば、風の音でも声だと認識してしまうのかもしれない。


 あの人影を見た時、何故か心がざわついていた。俺は惹かれているのかもしれない。

 ただの幻想なのに。



 とりあえず、最後の希望で3階のベランダに踏み出した。先輩達が帰るのを待ち、人が1人もいないのを確認してそっと中に踏み出す。


 見た通り誰もいない。先輩の言った通り、トラックからは見えるはずが無い場所だった。


「帰るか。」
 でも、これで諦めがついた。ただの幻想だと。あの人影は気のせいだと。


 俺はドアに向かって歩き出す。
「ねぇ君。見えるの?」
「―っ!」

 この透き通る声。間違いなく昨日の声。
「……見えた。」


 僕は小さくそう呟いた。周りを見渡しても誰もいない…はず――
「やっと!! やっと見つけた!!!」
「――っ!!!」

 いつの間にか、足に力が入らず尻をついていた。目の前には髪の毛が長い女の人がニコッと笑っている。


「やっと! やった……」
 彼女は、涙を浮かべながら俺の手を握っていた。瞳がキラキラと煌めいている。

 透明感のある髪に白い服。まるで幽霊みたいだ。
 少し不気味だがそれでも引き込まれてしまう。


「えっ…えっと。」
「ねぇ、私をここから出して!」
 彼女は俺に頼みこむが、今の状況に頭が追いつかない。


「……?…っ。」
 小さく声を唸りあげても、彼女は俺に頼み込むのをやめる様子がない。


「わっ……わかった! 分かったから離れてくれ。」
「本当!?」
 分かってない。顔が近いっ



「で、俺は何すれば?」
 彼女を無理やり落ち着かせたが、俺は壁に張り付いていた。


「あのドアを開けてくれない?」
「ん?あぁ……分かった。」

 俺は、ドアをスっと開けると彼女は嬉しそうに走っていった。
  ただ開けて欲しかっただけか?


 …………流石にここで封印されてた。とかないよな?


「あっまたここに来て!! じゃあね!」
「……あ、あぁ分かった。」

 彼女は風のように消えていってしまった。「また」か。


 いつの間にか平凡な毎日にたった1つの非日常が紛れ込んでいた。

 全ては彼女によって。
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