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おまけ話

結婚式から半年後5 (フェルナンドSide)

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「…ん…フェル…?」


白く滑らかな背中に吸い付いていた私は、そこが赤く色付いたことに満足して…癒やすようにペロリと舐めた。


「目が覚めたか?」


気をやる・・とは…今日のイシスは感じ過ぎてしまうようだ。


「あ…、何してるの?」

「私の愛が見えるようにしている」


衣服を着れば隠れるところに、キスの跡を次々と残した。





「また、こんなに…いっぱい」


自分の胸元をチラリと見て、恥ずかしそうに言う。


「私が他の女を抱くとか、要らぬ心配をするからだ」 


不機嫌そうな私の様子にやっと気付いたイシスは、口に手を当て気まずい顔をする。


「えっと…私はフェルが初めてだったけれど、その…フェルは…私以外の女性と経験があったかと思って」


「ない」

「え?」

「だから、ない」

「…………」

「身の潔白を証明する術がないが、ない・・ものはない・・


まさか私が初夜まで未経験だったとは思ってもいなかったのか、イシスがポカンとしている。


「フェルも…私だけ?」

「抱いたのも、抱きたいと思ったのも…イシスだけだ。

無欲で清いオーラを持つのに、私を欲情させる小悪魔はこの世に君しかいない。私が他の女を抱けると思うのか?」


イシスにはをつかない。そう知っているだろう?


「何かご質問は?ないなら…もう一度抱かせて貰うが?」




──────────




「確か、胸が小さいとか言っていたな」


私は今、イシスを膝に乗せ…風呂に入っている。


「…う…それは…」


私に向けていた赤い所有印だらけの背中を丸め、自分の胸を隠すように両手で覆う。

義姉上から聞いてはいたが、これは相当気にしているな。


「胸は女性の象徴で、大きいと…性的な意味で男が喜ぶ…という一般的な意見は認める。

そこを気にして“胸が小さい”と悩んでいるのなら、私はもう十分喜んでいるから心配しないで欲しい。
そもそも、私の手に丁度よく収まるということは小さくないぞ。柔らかくて形も感度もイイ…最高だよ?イシス」


チュッ…と、目の前にある白い項にキスをする。


「それとも、誰か他の人に見せたり触らせたりするつもりでいるのかなぁ…?」


イシスはパッとこちらをふり向いて『フェルにしか見せない!』と、両頬をプクリと膨らませて怒る。

木の実を口に詰め込んだ仔リスみたいだ。仔リスには…冗談が通じないらしい…。

私にしか見せないなら、何を気にすることがある?


「ナターリエ様やタチアナ様は、お胸がご立派なの」


ふむ、確かに。タチアナ夫人は特に豊満なようだな。

今日、ワンピースを着せたことが原因か?自分の胸と、膨らみの違いを比較してしまったのだろうか。


「それは、皇太子殿下やクリストファー殿下が存分に楽しめばいいだろう。私たちには関係ない」

「……う……」


まだ気にしているな。大きな胸に憧れているのか?


「イシス、私は胸のサイズにこだわりはないが…そんなに気にするのなら、夫が妻の胸を揉むと大きくなるという話があるから試してみようか?」

「…も…っ…揉むの…?!…」


ん?
抱くたびに…優しく揉んでいたつもりだよ?


「これからは、より念入り・・・に君の胸を揉んであげるね」


動揺してガードの緩んだイシスのプルンと可愛い胸を、私は後ろから両手で包み込む。



いい夫は、妻の願いをすぐに叶えるんだ。


 

──────────




「皇族の閨教育?」

「殿下たちは、女性を抱くと聞いたの」


なるほど。“私が経験済み”という妄想も、そこからきたんだろう…想像力が豊かなのも考えものだな。


「跡継ぎが成せるか…要するに、生殖機能に問題がないかの確認だよ。殿下たちは20歳までに全員済ませている」

「やっぱりそうなのね。ナターリエ様は…初夜も…見張りがあると言っていたわ」


女性の会話というのは、どこまで話すものなのだろうか?
イシスには、かなり刺激の強い話だったに違いない。

私は…クリストファー殿下とそんな話はしないからな。


「昔は、ベッドのすぐ側にある衝立の裏に何人も立っていた。房事の度に見張りがいたらしい」

「…嘘でしょう…?」


大きく目を見開いて固まるイシス。


「今は、初夜のみ…男女1人ずつの見張りが隠れて立つ。
それ以降の房事は、身一つで寝所入りするだけだ。外部からの侵入がないよう、寝所の外には見張りが付いている」

「血筋は絶対に守りたいのね」

「まぁ、途切れたことがないからな」

「殿下たちやお妃候補のご令嬢たちは、そんなことにも動じないようにと…幼いころから教育を受けているんだわ」


風呂で温まって濃いピンク色に頬を染め、ぼんやりするイシス。ナターリエ嬢のことを思っているんだろうか…?




『…お腹空いた…』




…うん?…何て…?




──────────




「おやすみ、イシス」

「おやすみなさい」


イシスは私の胸の中に顔を埋めて、ウトウトしている。


「イシス…皇帝陛下は、なぜ外出を許可してくださったんだ?」

「…ぅん…?」

「イシスの希望がどうして通ったのか…気になった…」


イシスが…ふふふっ…と、笑いながら私に抱き付く。


「私の願いを聞いたら…皇帝陛下の望みの1つが…すぐに叶うと…伝えた…からよ…」


つまり…今回の外出は、皇帝陛下にもプラスになる話だったということなのか?


「皇帝陛下の望み?それは…何だ?」




私が問いかけた時には、イシスはスヤスヤと眠っていた。





        (結婚式から半年後) ─ END ─


※おまけ話は追加更新予定です。(不定期)




    
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