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赤いリボン*(少しキスシーンあります)
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目が覚めたのは、真夜中だった。頭痛は治まっている。喉が渇いて。枕元には、水差し。キールの癒し入りの水を有り難く頂く。自分の体の中を水の通って行く場所が分かる。そこから清々しい感じが全身に広がって精神までも癒される。
俺の部屋の右隣はキールの部屋だ。グエンの部屋はキールの部屋の向こう側。俺は廊下を出て二人の部屋とは逆の方向に向かった。
リロイの部屋に。彼の部屋は俺の部屋を挟んでキールとグエンの逆にある。
ノックを3回。2回はトイレで4回は仕事など事務的なもの。ヒヨリが教えてくれた向こうで(ヨーロッパ)の常識。こっちでも通用するのかなと思いながら控えめにドアを叩くが返事がない。
もう寝てるのかな?
ドアノブを回したら扉が開いたのでそのまま入る。
リロイはベッドで本を手に、驚いた顔で俺を見た。俺は構わず傍に寄りするりと横たわっている彼の腕の中に潜り込んだ。
彼は黒髪に、深い紫の瞳をしている。虹彩がキラキラしてる様に見えた。凄く綺麗だ。
「さっきの話を気にしているのか」
「そうだよ」
彼にお小言が多いのは幼年期の影響だろう。
「癒してやる」
彼がそうしてくれた様に彼に口付ける。
癒されてるのかな?
受けている側なら分かるんだが、逆の立場だとイマイチよく分からない。離して、
「ヒヨリはね」
訊かれていない事を俺は自分から喋り出す。
「俺にはヒヨリしか居なくて。親は小さい頃はどっちかっていうと過保護だったんだけど、俺は構われるのが嫌いで。周りの人間皆んなに違和感があって……」
そこまで言いかけた時、
「抜け駆けは許さん!」
グエンがやって来た。キールがその後ろで苦笑している。
「邪魔だろうと言ったんですが」
「いいよ。二人にも聞いて欲しい」
俺の個人的な話で彼らには関係ないと言えば全く関係ないんだけど。あちらの世界ではではヒヨリにしか感じていなかった親しみを知り合って間もない彼らに感じている。
二人もベッドで横になる。なれるキングサイズのベッド。
「ヒヨリだけが大好きだったんだ。他の人間と違って違和感がなくて。小さい頃は仲良く傍に居られるだけで良かったんだけど。大人になって来るでしょ」
どう言おうかと言葉を止めて逡巡するが、彼らは急かす事なく、俺が次の言葉を紡ぎ出すまで待ってくれる。
「俺、間違えたんだ。
お年頃になるとそういう話し出すし、ヒヨリはゲイだったけどそういう告白しても周囲から変に扱われる様な奴じゃなかったし。だから俺焦って。誰かに取られるんじゃないかって。今だから分かるんだけど、全く恋愛感情なんてなかったのに。酷いことした」
傷付いたような、困ったような。
そんな顔、初めて見た。誰よりもそんな顔させたくなかった相手に俺はさせてしまった。
「無理矢理、キスして」
「……」
「……」
「……それで?」
「……それでって?」
「……キスだけ?」
グエンが呆れたように言う。
「それだけって、ファーストキスだったんだー。最近慣れて来たけど。オジサンたちのせいで!」
「寝よ寝よ。オジサンたちが添い寝してあげるから。ボクちゃんは大人しくオネンネしましょうねー」
一世一代の大告白だったのに、軽く流されてしまった。
俺はリロイの上から退いて、彼とキールの間に挟まった。
「そう言えば。泉で」
何が気になったのか、キールが喋り出す。
「怪我してなかったから血ではないですよね」
「ああ、何か赤い紐の様な物が絡まってたな」
「リロイが救けてくれた時?」
俺気付かなかった。それどこじゃなかったし。
「俺の体にも絡まって来たから血かとも思ったんだが。水で流れなかったから。……でもいつの間にか失くなってた」
ぐるりんと、グエンがこっちに向く気配がした。
「赤い糸じゃないの。運命の」
「……こっちでもそういうのあるの?」
こちらの妖精の森の妖精はちゃんと視えるらしいし。向こうでは架空のものでもこちらでは存在するのか。
という事は。
「キールの事が好きなのかと……」
リロイが呟く。
確かに懐いてるなと自分でも思った。
「母親みたいで。実の母にはあんまり親しみ感じた事なかったのに」
「えー? 光栄だと思っとく事にします」
キールはくすくす笑ってる。彼もそんな感じらしい。癒し系だから、究極の。
だから。
だから、ますますそう思えて来る。
俺多分真っ赤だ。上掛けを顔の上まで引っ張り上げる。
ヒヨリはの事はずっと忘れないだろう。きっといつまでも大切だ。でも諦められるのかも知れない。
だけど、俺の運命はヒヨリを諦めてはくれなかった。
俺の部屋の右隣はキールの部屋だ。グエンの部屋はキールの部屋の向こう側。俺は廊下を出て二人の部屋とは逆の方向に向かった。
リロイの部屋に。彼の部屋は俺の部屋を挟んでキールとグエンの逆にある。
ノックを3回。2回はトイレで4回は仕事など事務的なもの。ヒヨリが教えてくれた向こうで(ヨーロッパ)の常識。こっちでも通用するのかなと思いながら控えめにドアを叩くが返事がない。
もう寝てるのかな?
ドアノブを回したら扉が開いたのでそのまま入る。
リロイはベッドで本を手に、驚いた顔で俺を見た。俺は構わず傍に寄りするりと横たわっている彼の腕の中に潜り込んだ。
彼は黒髪に、深い紫の瞳をしている。虹彩がキラキラしてる様に見えた。凄く綺麗だ。
「さっきの話を気にしているのか」
「そうだよ」
彼にお小言が多いのは幼年期の影響だろう。
「癒してやる」
彼がそうしてくれた様に彼に口付ける。
癒されてるのかな?
受けている側なら分かるんだが、逆の立場だとイマイチよく分からない。離して、
「ヒヨリはね」
訊かれていない事を俺は自分から喋り出す。
「俺にはヒヨリしか居なくて。親は小さい頃はどっちかっていうと過保護だったんだけど、俺は構われるのが嫌いで。周りの人間皆んなに違和感があって……」
そこまで言いかけた時、
「抜け駆けは許さん!」
グエンがやって来た。キールがその後ろで苦笑している。
「邪魔だろうと言ったんですが」
「いいよ。二人にも聞いて欲しい」
俺の個人的な話で彼らには関係ないと言えば全く関係ないんだけど。あちらの世界ではではヒヨリにしか感じていなかった親しみを知り合って間もない彼らに感じている。
二人もベッドで横になる。なれるキングサイズのベッド。
「ヒヨリだけが大好きだったんだ。他の人間と違って違和感がなくて。小さい頃は仲良く傍に居られるだけで良かったんだけど。大人になって来るでしょ」
どう言おうかと言葉を止めて逡巡するが、彼らは急かす事なく、俺が次の言葉を紡ぎ出すまで待ってくれる。
「俺、間違えたんだ。
お年頃になるとそういう話し出すし、ヒヨリはゲイだったけどそういう告白しても周囲から変に扱われる様な奴じゃなかったし。だから俺焦って。誰かに取られるんじゃないかって。今だから分かるんだけど、全く恋愛感情なんてなかったのに。酷いことした」
傷付いたような、困ったような。
そんな顔、初めて見た。誰よりもそんな顔させたくなかった相手に俺はさせてしまった。
「無理矢理、キスして」
「……」
「……」
「……それで?」
「……それでって?」
「……キスだけ?」
グエンが呆れたように言う。
「それだけって、ファーストキスだったんだー。最近慣れて来たけど。オジサンたちのせいで!」
「寝よ寝よ。オジサンたちが添い寝してあげるから。ボクちゃんは大人しくオネンネしましょうねー」
一世一代の大告白だったのに、軽く流されてしまった。
俺はリロイの上から退いて、彼とキールの間に挟まった。
「そう言えば。泉で」
何が気になったのか、キールが喋り出す。
「怪我してなかったから血ではないですよね」
「ああ、何か赤い紐の様な物が絡まってたな」
「リロイが救けてくれた時?」
俺気付かなかった。それどこじゃなかったし。
「俺の体にも絡まって来たから血かとも思ったんだが。水で流れなかったから。……でもいつの間にか失くなってた」
ぐるりんと、グエンがこっちに向く気配がした。
「赤い糸じゃないの。運命の」
「……こっちでもそういうのあるの?」
こちらの妖精の森の妖精はちゃんと視えるらしいし。向こうでは架空のものでもこちらでは存在するのか。
という事は。
「キールの事が好きなのかと……」
リロイが呟く。
確かに懐いてるなと自分でも思った。
「母親みたいで。実の母にはあんまり親しみ感じた事なかったのに」
「えー? 光栄だと思っとく事にします」
キールはくすくす笑ってる。彼もそんな感じらしい。癒し系だから、究極の。
だから。
だから、ますますそう思えて来る。
俺多分真っ赤だ。上掛けを顔の上まで引っ張り上げる。
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