星降る真夏の夜に、妖精の森で迷子になる。

折原ミフク

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火鼠の皮衣

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「じゃあ、リズベスト夫人は彼から何も受け取ってないの?」
 彼とは、ジョバンニ=カスティーリャではなく、先日捕まった王子様飛行船爆破事件の犯人ーー被害者だったのに加害者になってしまった男だ。俺たちが捕まえる直前ーー自爆しようとした直前、リズベスト夫人と会ったのは認めたが、貴族の分別のありそうなご婦人に警戒して何も知らないで押し通したらしい。
「やっぱりリズベスト夫人が会ったのは、あの男で間違いないのか?」

「あの建物の他の住人では無かったです」
 アッテンボロー君の報告は続く。
「そして、爆弾はないかと訊いた」
「ああ、持ってないなら、どこで手に入れるのか、とも」
「魔法陣と呪文は?」
「それを彼の男から手に入れたから、爆弾もなんとかなると思ったらしい。というより、そんな非合法なブツ、どこで手に入れていいのも分からないだろう」
「お貴族様って、そういう昏いところないの?」
 完全なる偏見だけど、そういうのもないと、お貴族様としてやってけ無いのではないのではないだろうか?
「旦那の方は兎も角、ご夫人はどうかな」
「でも、魔法陣と呪文も、どうしてそこに、彼に行き着いたんだろう?」
 言って気付いた。皆んなそうだったみたいで、ジュジュに視線が集まる。


「なんだ? と言いたいところだが、ご明察だ。最初は私に来た。適当に振った。大当たりだったな。あの男が魔法陣に特別に詳しいというわけじゃない」
 そこにあった魔法陣をそこに居た人間に割り振っただけらしい。
「ご家族亡くしてるの気にならなかったの?」
 ヒヨリが訊くと、ジュジュの頭に?マークが付いた様に見えた。
「家族?」
 他人の家族に興味はないし、亡くなった事も、何故亡くなったのかも、興味はないんだろう。居る事さえどうでもいいんだろうな。

「分かり易くて良いだろう? 調べ易い」
 軽く罪の告白をした。魔法陣は秘匿されるべきもので、漏らすと犯罪なのだが、警察の前でもジュジュは躊躇いがない。
 価値観が遥か違う所にあるんだろうな。同郷の人間なのに、ジュジュの方が異世界人の様に思える。


「そんな事よりさっきの話。龍の珠はどうだった? 出たんだろう?」
 ジュジュの興味はそこに行き着く。
「まず間違い無く偽物だな」

 キールの話をすると彼女も納得がいった様だ。
 そして言った。

「火鼠の皮衣」
「ヒネズミノカワゴロモ?」
 俺たちには何だか分からなかったが、ヒヨリは知っていた様だ。
「かぐや姫のお宝だ。火を着けても燃えないんだ」
「全ての火を避ける」

 全て燃え尽きてもそれだけは燃えないもの。

 皆んな同じ想像をしたと思う。

「私も罪の告白していいか?」
 手を挙げたのはゾフィーだ。
「ハロルド=ステファンは私の関係者だ」
 ここに居る皆んなが誰? と思った事だろう。そして、ゾフィーの告白の続きにも皆んな仰け反った。
「あー、こちらではジョバンニ=カスティーリャと名乗っている」

 今まさにこのパーティの中心人物の?
 さっきも言ったけど。
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