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公爵家の庭は王国の離宮?
しおりを挟む首がもぞもぞする。なんだろう、と思ってるとリロイが俺の後頭部辺りの髪の毛に手を突っ込んで、小さな魚を引っ張り出した。そのまま宙に放す。可愛いしっぽに光が反射して溢れてる。魚はひらひらと行ってしまった。
ゾフィーの話はグエンもリロイもキールも知ってたみたいで。
隣の小国とはいえ王姉殿下が身分を偽っているのだ、把握されるものらしく。彼女と親しくなったのも、王姉殿下が身分を偽って自分の国に居るということに興味があった為だ。
お爺ちゃんは事情を知るどころか最初から関係者だった。
当時の国王陛下である彼女のお爺ちゃんに親交のあったこっちのお爺ちゃんが密かに孫娘の行く末を託したのだ。
人望あるって大変だな。
リリーやイヴは初耳だったらしく驚いていたけど。
イヴは俯き気味になってコメカミを両の拳でグリグリしてたし、リリーは何事もなかったように口にカップを持って行ってたけど中身は空だった。飲もうとして「ん?」みたいな顔してた。俺は見た。
「ゾフィーのお爺ちゃんはどうしたの? 今は弟君、国王だよね」
「え? そうなの?」
「習ったじゃん。歴史で」
ライトは頭が良い。そこら辺任せた。
ん? 歴史? なんか引っかかる。ま、いいか。眠い。
「離宮に引き篭ってるという噂だな」
何故かゾフィーはくすくす笑った。
「私の受けた報告では、某公爵家に庭師として雇われてるらしいがな」
「「え?」」
ぎぎーって、固まっているのを無理矢理動かそうとする音がした気がした。首をね。動かない首を動かして皆んなしてそっちを見た。
庭師のお爺ちゃんは今度は両手で紐のようなものの端っこを持って、ぐるぐる回し始めたところだった。水玉が無数に生まれてこれも温室中に広がって行った。
王族は三つの魔法の属性を持っている事も多い。
今彼のした事がどの属性に由来するものか俺には分からなかったけれども。
自分の職業に誇りを持って携わって来た人はそういう品があるものかと思うじゃないかさ。品格というかさ。元王さまの品格とはね。
全く知らされてなかったのは俺たち異世界人だけでないことは、弟と同じように頭を抱えてしまった公爵家御令息と固まっちゃった王太子殿下を見て分かったけどもね。
「そっかー。ここはエルメリアの離宮かー」
ことの大変さをそっちのけで俺は暢気なことを言った。何せ眠気がね。眠気ですよ。
お腹も空いて来たな。
それより問題は、消えてしまった彼だった。
彼は諦められなかった。
「最善だと思ってたんだが、最良でもなかったな」
ゾフィーはとても後悔してるようだ。その事が原因でマーカス家の爆破事件は起こってるわけだから。そんなの向こうの逆恨みだ、と俺たちは思ってるし実際そうなのだが、ゾフィーとしてはそうも言ってられないのだろう。
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