星降る真夏の夜に、妖精の森で迷子になる。

折原ミフク

文字の大きさ
46 / 72

公爵家の庭は王国の離宮?

しおりを挟む

 首がもぞもぞする。なんだろう、と思ってるとリロイが俺の後頭部辺りの髪の毛に手を突っ込んで、小さな魚を引っ張り出した。そのまま宙に放す。可愛いしっぽに光が反射して溢れてる。魚はひらひらと行ってしまった。



 ゾフィーの話はグエンもリロイもキールも知ってたみたいで。
 隣の小国とはいえ王姉殿下が身分を偽っているのだ、把握されるものらしく。彼女と親しくなったのも、王姉殿下が身分を偽って自分の国に居るということに興味があった為だ。


 お爺ちゃんは事情を知るどころか最初から関係者だった。

 当時の国王陛下である彼女のお爺ちゃんに親交のあったこっちのお爺ちゃんが密かに孫娘の行く末を託したのだ。

 人望あるって大変だな。

 リリーやイヴは初耳だったらしく驚いていたけど。
 イヴは俯き気味になってコメカミを両の拳でグリグリしてたし、リリーは何事もなかったように口にカップを持って行ってたけど中身は空だった。飲もうとして「ん?」みたいな顔してた。俺は見た。

「ゾフィーのお爺ちゃんはどうしたの? 今は弟君、国王だよね」
「え? そうなの?」
「習ったじゃん。歴史で」
 ライトは頭が良い。そこら辺任せた。
 ん? 歴史? なんか引っかかる。ま、いいか。眠い。

「離宮に引き篭ってるという噂だな」
 何故かゾフィーはくすくす笑った。
「私の受けた報告では、某公爵家に庭師として雇われてるらしいがな」

「「え?」」

 ぎぎーって、固まっているのを無理矢理動かそうとする音がした気がした。首をね。動かない首を動かして皆んなしてそっちを見た。
 庭師のお爺ちゃんは今度は両手で紐のようなものの端っこを持って、ぐるぐる回し始めたところだった。水玉が無数に生まれてこれも温室中に広がって行った。

 王族は三つの魔法の属性を持っている事も多い。
 今彼のした事がどの属性に由来するものか俺には分からなかったけれども。

 
 自分の職業に誇りを持って携わって来た人はそういう品があるものかと思うじゃないかさ。品格というかさ。元王さまの品格とはね。
 全く知らされてなかったのは俺たち異世界人だけでないことは、弟と同じように頭を抱えてしまった公爵家御令息と固まっちゃった王太子殿下を見て分かったけどもね。

「そっかー。ここはエルメリアの離宮かー」

 ことの大変さをそっちのけで俺は暢気なことを言った。何せ眠気がね。眠気ですよ。

 お腹も空いて来たな。


 それより問題は、消えてしまった彼だった。
 彼は諦められなかった。
「最善だと思ってたんだが、最良でもなかったな」
 ゾフィーはとても後悔してるようだ。その事が原因でマーカス家の爆破事件は起こってるわけだから。そんなの向こうの逆恨みだ、と俺たちは思ってるし実際そうなのだが、ゾフィーとしてはそうも言ってられないのだろう。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

魔王を倒した勇者の凱旋に、親友の俺だけが行かなかった理由

スノウマン(ユッキー)
BL
スラム育ちの少年二人は、15歳になり神の祝福でスキルを得た事で道をたがえる。彼らはやがて青年となり、片方は魔王討伐に旅立つ勇者として華々しい活躍をし、もう片方はただ彼の帰還を待つ相変わらずスラム暮らしの存在となる。 これは何も持たない青年がただ勇者の帰りを待つ日常を描いた作品です。 無自覚両片想いの勇者×親友。 読了後、もう一度だけ読み直して頂けると何か見える世界が変わるかもしれません。

【完結】男の後輩に告白されたオレと、様子のおかしくなった幼なじみの話

須宮りんこ
BL
【あらすじ】 高校三年生の椿叶太には女子からモテまくりの幼なじみ・五十嵐青がいる。 二人は顔を合わせば絡む仲ではあるものの、叶太にとって青は生意気な幼なじみでしかない。 そんなある日、叶太は北村という一つ下の後輩・北村から告白される。 青いわく友達目線で見ても北村はいい奴らしい。しかも青とは違い、素直で礼儀正しい北村に叶太は好感を持つ。北村の希望もあって、まずは普通の先輩後輩として付き合いをはじめることに。 けれど叶太が北村に告白されたことを知った青の様子が、その日からおかしくなって――? ※本編完結済み。後日談連載中。

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

呪われた辺境伯は、異世界転生者を手放さない

波崎 亨璃
BL
ーーー呪われた辺境伯に捕まったのは、俺の方だった。 異世界に迷い込んだ駆真は「呪われた辺境伯」と呼ばれるレオニスの領地に落ちてしまう。 強すぎる魔力のせいで、人を近づけることができないレオニス。 彼に触れれば衰弱し、最悪の場合、命を落とす。 しかしカルマだけはなぜかその影響を一切受けなかった。その事実に気づいたレオニスは次第にカルマを手放さなくなっていく。 「俺に触れられるのは、お前だけだ」 呪いよりも重い執着と孤独から始まる、救済BL。 となります。

勇者様への片思いを拗らせていた僕は勇者様から溺愛される

八朔バニラ
BL
蓮とリアムは共に孤児院育ちの幼馴染。 蓮とリアムは切磋琢磨しながら成長し、リアムは村の勇者として祭り上げられた。 リアムは勇者として村に入ってくる魔物退治をしていたが、だんだんと疲れが見えてきた。 ある日、蓮は何者かに誘拐されてしまい…… スパダリ勇者×ツンデレ陰陽師(忘却の術熟練者)

追放されたおまけの聖女♂は冷徹王太子の腕の中から離してもらえない〜今さら戻れと言われても、もうこの人の魔力しか受け付けません!〜

たら昆布
BL
聖女のおまけで召喚されたと思われて追放された不憫受けが拾われて愛される話

王様の恋

うりぼう
BL
「惚れ薬は手に入るか?」 突然王に言われた一言。 王は惚れ薬を使ってでも手に入れたい人間がいるらしい。 ずっと王を見つめてきた幼馴染の側近と王の話。 ※エセ王国 ※エセファンタジー ※惚れ薬 ※異世界トリップ表現が少しあります

処理中です...