星降る真夏の夜に、妖精の森で迷子になる。

折原ミフク

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 間違ってたんだ。
 少し考えれば分かった事なのに。
 俺たちの望むものはそれだったから、彼もそうなんだろうと思い込んでた。

 でも、彼の望むものは違ってた。

 火鼠の皮衣なんてまず違うし。
 て言うかそれ何? 何かの役に立つの? 全ての火を避けるって。ヒヨリやキールの水の魔法の方が遥かに確かに効くよね?
 他は何だっけ?
 燕の子安貝に、蓬莱山の玉の枝。あとお釈迦さまの持ってた石の鉢? 何か正式名称あった様な。
 意味分からん。
 宗教違うし、誰かの願いに特化して願うなら分かるけど。例えば、子供が欲しくて仕方がないのに恵まれない夫婦には燕の子安貝何か喉から手が出る程欲しいものだろう。だが、俺はそんな物欲しくない。仏教徒でもないからお釈迦さまが托鉢の時に使ってた(多分)鉢なんて要らない。龍の珠なんて少し食指動くけど、マーカス家に用意されていたのは確実に偽物だ。
 そりゃあ、五つ揃えば全ての願い事を叶えてくれるなら価値あるだろうし。でも、だとしても、五つ揃えるまで時間かかるだろうし、あるかどうかも分からない。
 今、多分ここにあるのは確かなのだけれど、どれがそれなのか鑑ても分からない。
 それなら、たった一つを狙った方が楽な訳で。それが何処かにあるか分からなかったら、意識の外に放り出してしまえるけれど、彼は見つけてしまったのだ。見つけたのとは少し違うのかもしれない。でも確実に当たりを付けたのだ。
 それが彼の真に望むものだと。




~・~・~・~・~


「あー、疲れた」
 もう一度転移した先で、ジュジュと同じように、グエンがへばっている。

「お宝ありそう?」
「うーん、どうだろう?」
 俺の問いに皆訝しげだ。
 王都、王城の最奥部の宝物庫。
 これは何処の世界も一緒か。宝物を守る為、部屋は薄暗く空調も一定に管理されてるようだ。
 そこにたった一つだけのお宝が厳重に安置されている。他の物は無い。

 かぐや姫の衣裳はそこにあった。
 やはり平安時代の国風文化が発達する前の、中国の影響を受けた女性の衣裳だ。
 ……で、それだけ。

「どんなカンジ?」
 ライトの声がして、振り向くとヒヨリと一緒だった。
「来たのかよ」
「うん。警察の転移魔法使える人に連れて来て貰った」
「そういう事じゃない」
 眉を顰める俺に、
「あ、自分だけ大人ぶっちゃって」
「僕は止めたんだけど」
 ライトの横でヒヨリが苦笑している。そして真顔になって俺を見た。
「彼女はダメだったって」
「うん」
「遺体を見たの?」
「うん」
 「うん」としか答えない俺の傍まで来て、ヒヨリが俺の頭を撫でてくれる。ライトもリロイも何も言わない。
「すぐ捕まるでしょ」
「危険はないと思うが」
「あの時……」
「うん?」
「『そんな事は止めなさい』って言えば良かった。覗き見みたいな事しないで」

 ゾフィーの店の占い部屋で。
 爆弾を手に入れようとしたあの男の家で。
 マーカス家の屋敷で。
 彼女の隣にまだ友達のいる内に。

「知らない人間にいきなりそんな事言われても驚かれるだけだろ」
「それで二度と会わない様にして、結局同じ事だよ」
 リロイとグエンは言ってくれるけど。
 人の死に耐性のない俺はぐるぐる思考のループにハマってしまう。
 その時、報せがあった。
 待っていた報せ。来ると分かっていた報せ。
 予定調和の、出来レース。











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