星降る真夏の夜に、妖精の森で迷子になる。

折原ミフク

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罠に嵌る。どっちが?

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 黒猫が鳴いてる。
 初めての時は悪い報せではなかった。
『ボク来たよ』
 って、だけだった。
 俺はライトやリロイみたいに視えるわけではないし、一瞬どころか一瞬の何分の一かの出来事だったので、気のせいにしてしまえばしてしまえるんだけど。
 それは間違いないと思う。
 リリーと初めて話をした時も彼女に引き合わせてくれたってだけで、それは悪い事ではなかった。後で爆破事件なんか起こっちゃったけど。

 で、今ここで鳴き声が聞こえるわけだけど。
「リョウ、猫が居る」
「黒猫だ」
 ライトとリロイがそれぞれ知らせてくれる。彼らに黒猫の姿は視えるが声は聞こえない。俺はその逆。
 ライトは俺の右手、リロイは俺たちの前に居て俺たちを庇うように、俺たちは後ろのヒヨリを庇うように立っている。
 リズベスト夫人の遺体を見つけた後、俺たちは再び合流した。俺たちはそのまんまジュジュに運んでもらった。ライトとヒヨリは風属性の転移魔法が使える人によって。グエンもゾフィーもお爺ちゃんたちも居る。止めときゃ良かった。後になっていつも思うんだ。


 終わりだと皆んな思っていた。
 追い込んだつもりだった。
 彼は大勢に囲まれて敵は独りで立っているのに、一番堂々としていた。

 俺たちの考え至った事なんて彼にも思いつくだろうと今なら分かる。
 何か腹いせに王都を焼け野原にするのではなく、囮ーー陽動作戦と考える方が自然だ。

 囮だったのだ
 爆発騒ぎなんて。
 それは最初から分かっていた。

 そうだよ。王都を火の海にしたいのなら、マーカス公爵邸を爆破したその日に連動して一気呵成に王城に攻め込んでくれば良い。その方が早いし、この俺たちに猶予を与える隙もない。
 それを誘い水にして、王城の警備を手薄にして、かぐや姫のお宝をーー五つの宝物を奪い去るつもりだろうと。俺たちは彼がそれに間に合わなかっただけだと勝手に解釈してた。
 だからわざと王城の警備を手薄にして、彼に振り回されてる風に装って、俺たちも城下を火の海になんかしたくないんですよって。
 街を火の海にはしたくないのは本当だし、そこも手は抜かなかった。エドモンド警部を筆頭に警察の人々も、国を外敵から守る人々も、そして地下組織の人々さえ協力をして、街を守ったのだ。守れなかった人はいたけれど。あちら側に。
 それでいい気になってしまった。
 多勢に無勢で最初から彼に勝ちの目はなかったから。
 ーーでもそれは完全なる俺たちの勘違いだった。
 彼の本当に欲しいものを分かってなかった。俺たちは。
 それを手に入れ何をしたいのかを考えるべきだったのだ。
 そうだとすれば、かぐや姫の五つのお宝じゃなくても良いんだ。

 彼の本当の願いなんか分かってなかった俺たちに勝ちの目は出ない。
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