星降る真夏の夜に、妖精の森で迷子になる。

折原ミフク

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エピローグ(5)ーーああ、プレゼントと言えるデカさを超えている……。

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 ヒヨリの誕生日プレゼントがあると言って連れて行かれた場所で、俺たちはそこの家を見上げていた。
 閑静な住宅街。
 三階あるのかな?
 かなりな豪邸。ここからは良く見えないが中庭とかありそう。
 誰の家なんだろう?
「私の家の隣です」
 隣に同じ様な家が建っている。
「へー、キールの家なんだ」
 流石元平民とはいえ男爵さまの家。瀟酒って言うんだっけ? こういうの。他のご近所さんの家は少し離れた所にあってこの二軒だけが隣接している。
 隣の家?
 隣の家の人とヒヨリの誕生日と何の関係が……。
「長い間、空家で人が住んでなかったんですが、隣人がいた方が私も心強いですしね」
「空家って不用心だもんね」
 ヒヨリの言葉にライトもふんふんと頷いている。

「誕生日プレゼントって?」
 ヒヨリの代わりに俺が訊いてみる。
 ヒヨリ本人は兎も角、俺やライトにも内緒で用意されたプレゼントが気になる。
 中に入らないのかな?
 キールの家で渡すのか?
 でもこっちの家なんだよな?
「これ」
「これ?」
 俺、ライトとヒヨリはおんなじ様な間抜けづらを晒して、声の主、リロイを見た。そして家を見上げる。
「これ」
 リロイは悪戯小僧みたいな顔で笑った。この人こんな顔出来たっけか?
「ヒヨリだけでなくあなた方全員になんですが」
 俺たち三人は今度はリロイと逆側のキールを見た。
 キールはいつもの様に柔らかな笑顔を浮かべている。
「「「この家?!」」」
 俺たちは異口同音に叫んだ。
 叫ぶよ!
 家だよ!
 豪邸だよ?!

「お前たちは無欲だな。こんな小さな家で満足するな。公爵家と同じくらいの領地賜ってもおかしくない功績なんだぞ?」
 グエンも言うが。
 ええ、どうせね。異世界の小市民な庶民さ。
 一国の王太子殿下と価値観が同じだなんて思わない。

 いやいや、異世界人がいくらレアものだって言っても甘過ぎ。今回の皆既月蝕でそんなに珍しいものでもなくなったでしょ?

「これでも妥協させたんですよ」
 元は平民のキールがやれやれと溜息を吐く。
「あまり大きな家だと受け取るどころか怒りますよ、と言っても中々納得して貰えなくて」
 キールはもう一度雄弁なる溜息を吐いた。
 うう、王族と貴族の価値観~~。
 城は兎も角、公爵家のタウンハウスが基準じゃあるまいな?
 今までお世話になってたけど、あの公爵家の豪邸を家だと思った事ないから!
 ホテルの一室仮宿にしてるぐらいの感覚だから!
 ホテルの一室だとしても、デカいな、スウィートだな、俺たちにお金払えるのかな? って妄想で遊ぶ方へ逃げたくなる様なデカさだったから!!

「先にこちらを整えて、引越してからここで誕生日パーティの方が良かったのでしょうが、そうすると誰の誕生日パーティーか判らなくなつてしまうので。色々と間に合わなくてすみません」
「何謝ってるの」
「全然構わない」
「て言うか、「「家?!」」」
 俺たちはまた異口同音に叫んでしまった。


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