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第17話ー4
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移動場所は、町から遠く離れた山の麓だった。降り積もった真っ白な雪が、月光を眩しいほどに反射している。
真っ先に口を開いたのは、ベルだった。
「コラード様」
「ご、ごめん、宰相! オレは愛に生きる」
と、コラードが顔の前で手を合わせた。
恐る恐るベルを見ると、戸惑い気味に問い返してきた。
「あの、こちらの女性は……?」
改めてその女性――『お姉様』を見てみる。
とても華やかな青のヴェスティートに、耳や首、指に煌めく宝石。
コラードの明るい茶色の髪とは対照的に、華やかにまとめてある髪は落ち着いた茶色をしている。
そして今になって気付くが、とても珍しく、見入ってしまうほど美しい紫の瞳を持っている美人だった。
コラードが彼女の腰に手を添えて答える。
「フロリアンさんだ。女男爵。オレは彼女と結婚する。いいでしょ、父上? 父上だって、男爵家の娘と結婚したんだし」
フラヴィオの眉間に、くっきりシワが寄っていた。
「女男爵のフロリ……?」
「でね、彼女は9年前まで結婚してて」
「ああ、これまでに2回離婚してるな。その後、すっかり男嫌いになってな」
「娘もいる」
「ああ、14歳と9歳の2人な」
今度はコラードの眉間にシワが寄った。
「父上、何でそんなに詳しいんです? 隣国の男爵家なんて、ほとんど接する機会が……」
と、はっとしたコラードの顔が、みるみるうちに衝撃に染まっていった。
「ま、まさか父上とオレって親子兼、『兄弟』!?」
「は? いや、おま…………」
と言葉を切り、過去を思い出しながら思案顔になったフラヴィオ。
小声で『お姉様』に問うた。
「だっけ?」
「一度も記憶にございませんわよ、カプリコルノ陛下」
「だよな」
フラヴィオと『お姉様』を交互に見たコラードが、突如激昂した。
「怪しい! 何でそんなに彼女と慣れ親しんだ風なんですか、父上! オレは『弟』なのか! 父上が『兄』で、オレが『弟』なのか!」
「違う違う」
と、大人たちは手を振って訴えるが、コラードはすっかり頭に血が上っているようだった。
その明るい茶色の髪が逆上がり、近くの山に怒号を響き渡らせていく。
それを鎮めたのは、『お姉様』の「ふふっ」という含み笑いだった。
「ごめんね、コラード殿下」
と、コラードの腕を抱き締める。
「本当は私、女男爵のフロリアンじゃないの」
「え?」
と、きょとんとし、やっと落ち着いたコラードが『お姉様』を見る。
コラードの疑問には、フラヴィオが溜め息交じりに答えた。
「彼女は、サジッターリオ国女王シャルロッテ・アインホルン陛下だ」
子供たちが、目と見開いて顔を見合わせる。
さっき舞踏室で2人が踊っているときから何となく察してはいたが、やっぱり仰天せずにはいられない。
しかし、一番驚いて良いはずのコラードの反応はそうでもなかった。
「Oh……!」
とそれなりの反応は見せたが、その後すぐに「はははっ」と陽気な笑い声を上げた。
「さっすがオレ! 見る目あるぅー」
シャルロッテ・アインホルン陛下が「そうね」とおかしそうに笑った。
フラヴィオは「おまえな」と何か言いたげだったが、コラードのその自信家で、陽気で、物怖じしない姿は昔のフラヴィオを彷彿とさせ、それを知っている大人たちも噴き出してしまう。
一方、興奮しているベルが、2人の前に歩いて行った。
まずシャルロッテに深々とお辞儀して自己紹介をした後に、気になって溜まらないことを問う。
「あのっ…あの、お二方は、その、ご、ごこここここ婚約をっ……!?」
コラードが彼女を見つめる。
彼女もコラードを見つめる。
少しのあいだ、お互いの顔を確認するようにじっくり見つめていた。
「さっき、訊き忘れてた。指輪、何色のオルキデーア石がいい?」
「紫かしら。サジッターリオでも、王族の色なの」
「いいね、そうしよう。フロリ……じゃなかった。シャルロッテさんの――」
「『さん』はいらないわ。もうほとんどの人が呼んでくれないけど、愛称は『ロッテ』よ」
それを聞いたコラードが、言い直す。
「ロッテの瞳色の、最高級のオルキデーア石を探してくるよ。あーいや、無理だ」
「前言撤回が早いわ、コラード」
「ごめん。だってオレ……最高級のオルキデーア石でも、ここまで綺麗なのは見たことないんだよ……――」
とコラードが、まるでシャルロッテの瞳に吸い寄せられるようにして口付ける。
それを目前で見つめる一同が赤面したり、苦笑したり、呆れ顔になったり、微笑ましそうにする中、ベルの栗色の瞳が誰よりも煌めいていく。
まずは主の下へ寄り、2人を指さして言葉にならない悦びを訴える。
「分かった分かった」と興奮を宥めるように頭を撫でられたあと、また2人の方に戻っていく。
まだ終わっていないキスを、家政婦長に叩き込まれた美しい立ち姿で待ち、やっと唇が離れると同時に、ぴったり45度の角度でお辞儀する。
「ご婚約おめでとうございます! おめでとうございます!」
「おう、宰相! 偉い? オレ偉い? ちゃんと任務を果たしたぜ! 偶然だけど! はははっ」
「お見事でござます! 流石でございます、コラード様! 素晴らしゅうございます! 世界一でございます! このベルナデッタ、祝福に国家独唱します!」
そして発覚した、ペルフェットな使用人と名高いベルの音痴。
その声は本来収まるはずの場所から大きく外れ、明後日の方向へと飛んで行く。
爆笑が起こり、あまりの酷さに、歌や舞踏といった音楽全般を得意とするヴィットーリアやアリーチェがたまらず指導に入る。
そんな中、フラヴィオが「ふふふ」と笑いながら、後方へと10歩下がって行った。
「見事な編曲だ、ベル」
「悪くないわよ、お嬢さん」
と同じように10歩下がったのは、シャルロッテ。
フラヴィオの隣に並ぶ。
そんな2人を、フェデリコがさりげなく背面に隠す。
一同の視線がベルへと向いているのを確認した後、2人の視線が合った。
小声で口を開く。
「待て、ロッテ」
「はい、お義父様?」
と返して来たシャルロッテに、フラヴィオが複雑そうな顔をする。
「何かしら?」
「何じゃないだろう……何でこういう形で親戚になることになったんだ。そなただって、マヤとコラードの婚約が目的だったんだろう?」
「ええ、そうよ。まぁ、あわよくば王太子のオルランド殿下とマヤを結婚させて、将来カプリコルノ・サジッターリオ両国の『陛下』を狙ってたんだけどね。レオーネ王太子殿下が、オルランド殿下はうちの娘と結婚するからよろしくって、やって来る度に脅しを掛けていくのよね」
「で、コラードとマヤの予定だったんだろう? なんでそれが、コラードとそなたになってるんだ」
シャルロッテがフラヴィオの顔を見つめながら、「何よ」と強い声で返した。
「あなたが王太子だった頃、純情乙女だった私の唇奪っておきながら結婚断っといて、また今度も駄目だっていうの?」
フラヴィオが一同の方を気にして、少し狼狽した。
「よ、世の中には言わない方が良いこともある。コラードは気にするから止めてくれ」
「言わないわよ、あの子のこと傷つけたくないもの。私を選んでくれたってだけで、あなたより100倍は可愛いわ。将来は絶対あなたよりイイ男ね。あなたがもう心に決めた相手がいるって言うから、マストランジェロ王家のしきたり通り公爵家か侯爵家の娘かと思えば、男爵家? 王女の私との結婚を断って、下級貴族の娘って、どれだけ傷付いたと思ってるのよ。そりゃ、実際にあのヴィットーリア王妃陛下を見たときには俯くしかなかったけど……当時は本当に傷ついたんだから。今思えば、私の男嫌いはあなたが切っ掛けなんだわ。心に決めた相手がいるならバーチョしてんじゃないわよ」
と、刺々しい口調で責められるフラヴィオが尖っていく。
「だって……欲情した王女を目前にして何もしなかったら無礼ではないか。でも余はヴィットーリアを王妃すると決めていたし、でも王太女を抱いたら流石に責任取らねばならぬし、だったらせめてバーチョくらいはして無礼は避けないとってなるだろう」
シャルロッテが赤面した。
「なっ、なんなのよそれっ…! 大体、しっ、してないわよ欲情なんかっ……!」
「恥じなくても大丈夫だ。余やフェーデの腕に抱かれて踊った女はみーんなする」
と、「ふふふ」とフラヴィオが笑うと、シャルロッテが尚のこと頬を染めた。
「う、自惚れてんじゃないわよっ……!」
「何だ、余にバーチョされるのは嫌だったのか?」
「い……嫌じゃなかったわよ、当時は。だって、私を選んでくれるのだと思ってたもの。それなのに……ふざけんじゃないわよ!」
と立腹するあまりシャルロッテの声が大きくなってくると、一同とのあいだの壁になっているフェデリコが振り返った。
人差し指を唇に当てる。
フラヴィオとシャルロッテが頷いて承知した。
小声で続ける。
「まだ怒ってるのか?」
「流石にもう怒ってないわ。私の亡くなったお母様――先王陛下は、激怒して何度もあなたの国に海賊送り込んだけど」
「やっぱりか、オイ。無礼を働いたのは謝る。だが、そういうことしないでくれ」
「うるさいわよ、ことごとく皆殺しにしておいて。ていうか、私が即位してからはしてないじゃない。まぁ、兵士たちが『力の王』に畏怖して攻められそうにないって理由からだけど、昔のことを今言わないでよ。それに毎年、宮廷舞踏会にだって招待してるじゃない」
「その割にほとんど口を聞いてくれないって、どういうことだったのだ。そなたがこんなに話してくれるのは久々だぞ」
「だって、やっぱりムカつくんだもの」
「って、やっぱり怒ってるのか」
「怒ってないわよ」
「怒ってるぞ」
フェデリコが再び振り返って、唇に人差し指を当てる。
2人が再び頷いた。
「で……ちょっと? コラードから聞いたわよ? カンクロ国と戦って、あなた……びっくりするじゃない」
「避けられそうになくてな」
「負けないでよ? カプリコルノが支配されたら、カンクロはついでにうちの国やアクアーリオも奪うに決まってるわ」
「ああ、分かってる。負ける気はない。だが……」
と、フラヴィオがシャルロッテの顔を見ると、それは「ええ」と答えた。
「あなたたちが戦に行っているあいだ、国の守りが手薄になるのでしょう? その間、貸すわ兵士」
フラヴィオが「おお」と笑顔になった。
「ありがとう、助かる。余の補佐その3が狂喜するぞ」
「そーのーかーわーり」
と、シャルロッテが声を強くした。
フラヴィオが「うん?」と相槌を打つと、それはコラードの方を向いた。
ベルのあまりの音痴さに、腹を抱えて笑っている。
「あの子も戦に連れて行くのでしょう……?」
「ああ。戦場に出れるようになった子供たちは、皆連れて行く。子供たちの中でも、コラードは特に力になるから尚のことだ……悪いな」
「いいのよ……相手がカンクロじゃ、仕方ないもの。でも……必ず、連れて帰って来てね……?」
フラヴィオが「分かった」と承知すると、その顔をシャルロッテが見た。
ふと、微笑を浮かべる。
「ねぇ……あの子、顔はそんなにあなたと似てるわけじゃないけど、笑うとそっくりね。さっきあの子と踊ったとき、昔を思い出しちゃった。踊るときのちょっとした癖も、ちょっと強引に感じる力強さも、昔のあなたそっくり」
とシャルロッテが、コラードに顔を戻して問う。
「私、なんであの子に『男爵』って言ったと思う?」
「コラードを試したとか、そんなところか?」
「そうよ。だって、私が『女王』と知れば、王侯貴族の男たちは目の色を変えて優しくするもの。でも王子のあの子にとって、私が男爵なんて結婚しても得にならない女だったら、どうするのかと思ってね」
フラヴィオが「で?」とその結果を催促すると、コラードを見つめているシャルロッテの横顔が幸せそうに笑んだ。
「あなたそっくりだったわ。王子なのに、平気で跪くのね。わざと困らせてみても、我儘ばかり言ってみても、明るく笑うのね。私29よって、ちょっと気にしてる年齢を言っても褒めてくれるし、私のそんなに美しいわけでもない髪を触ったときは瞳を煌めかせたわ。最初の夫も、その次の夫も、王配もしくは国王という地位や権力目当てで私と結婚して、どっちも私自身を見てくれることも、愛してくれることもなかったのに……あの子は、ちゃんと愛してくれたわ。見てくれたわ……まっさらな、澄んだ瞳で」
そう言ったシャルロッテをフラヴィオが黙って見つめていると、やがて目が合った。
改めて問う。
「本当に良いのか、あいつと結婚しても。二度目の離婚をしたとき、もう二度と結婚しないって言っていただろう」
「ええ、良いわ。正直、私としても予定外だったけど……私、あの子のことなら愛せるわ。あの子だってあなたに似ているのだから、私が妻になったら、いつまでも愛してくれるでしょう?」
「ああ、それは保障する。だが、まだ小童だぞ? 至らないところも多かろう」
「そんなことないわよ……いろいろ」
「まぁ、アッチはな」
「あなた、仕込みすぎよ……」
とシャルロッテが頬を染めると、フラヴィオが「ふふふ」と笑った。
「どうだったのだ?」
「き、訊かないでよ……!」
「そうか、良かったのか。よしよし、よくやったコラード。おまえは一人前の男だ」
と、満足そうな笑い声を上げた後、フラヴィオは「で?」と話を続ける。
また「ふふふ」と笑って問う。
「余のことは、いつまで好きだったのだ?」
「それも訊かないでよっ……!」
「良いではないか」
とフラヴィオが肘でつつくと、シャルロッテが「止めてよ」と言いながら顔を背けた。
小さな小さな声で、答えを呟く。
聞こえなかったフラヴィオが「え?」と耳を寄せると、シャルロッテが少しだけ声を大きくした。
「さっきよ……」
「うん?」
「今日コラードを好きになる前まで――さっきまでよ」
「――…………え!?」
と衝撃を受けたフラヴィオの方を見たシャルロッテの顔が、さっきよりも赤くなっている。
「な、何よ? 悪いわけ?」
「悪いだろう。それではまるで、余よりコラードの方がイイ男みたいな」
「いや、何でソコなのよ。まだ想われてたところを驚きなさいよ」
「いや、何でだ」
「何でだって、何でよ」
「何でよって、何でだ」
フェデリコが咳払いした。
振り返ると、コラードがこちらへと向かって小走りで駆けて来る姿が見えた。
むっとした様子で、シャルロッテの手を引いてフラヴィオから離す。
「父上と2人切りになったら駄目だ、危ないから。オレは父上を尊敬してるけど、女に関しては信用ゼロなんだ」
フラヴィオが「なんだソレは」と口を尖らせる一方、シャルロッテがコラードの腕を抱き締めて優しく微笑む。
「大丈夫よ、コラード。お義父様に、挨拶をしていただけよ」
「ああ、そう……」
と、どことなくまだフラヴィオを疑いの眼差しで見つめているコラードを、フェデリコが呼んだ。
山の方を指差す。
「向こうへ行ってみろ、コラード。今、サジッターリオの人型モストロが横切って行ったぞ。おまえ、見たことなかっただろう?」
コラードが「スィー!」と返事をして、フェデリコの指差した方へと駆けていく。
「そういえば、うちも人型モストロなんとか仲間に出来ないかしらね」
とコラードの後に続いて歩き出したシャルロッテが、途中でふと立ち止まった。
フラヴィオの方へと振り返る。
その顔を、少しのあいだ見つめていた。
「さようなら……フラヴィオ『殿下』」
そう言って見せた笑顔が、ふとフラヴィオの記憶の中の、少女時代のシャルロッテと重なる。
あの頃は王太女として、今と同じように誇り高く、ちょっと気の強い少女だった。
でも無垢で、あどけなく、愛らしい笑顔をしていた。
舞踏会で踊るたびに、その美しい紫の瞳を揺れ動かしてフラヴィオを見つめていた。
頬を染めて、ときどき俯いて、純粋に恋をしてくれた。
『さようなら』の言葉に僅かばかり寂しさと切なさを覚えて、コラードの下へと歩いて行くその背に、思わず手が伸びる。
シャルロッテが背を向けて歩いたまま、手を振った。
「あと、これからよろしくねー『お義父様』」
「いや、それ止めてくれ……」
それから約一カ月後。
カプリコルノ国第二王子コラード・マストランジェロと、サジッターリオ国女王シャルロッテ・アインホルンが、正式に婚約した。
真っ先に口を開いたのは、ベルだった。
「コラード様」
「ご、ごめん、宰相! オレは愛に生きる」
と、コラードが顔の前で手を合わせた。
恐る恐るベルを見ると、戸惑い気味に問い返してきた。
「あの、こちらの女性は……?」
改めてその女性――『お姉様』を見てみる。
とても華やかな青のヴェスティートに、耳や首、指に煌めく宝石。
コラードの明るい茶色の髪とは対照的に、華やかにまとめてある髪は落ち着いた茶色をしている。
そして今になって気付くが、とても珍しく、見入ってしまうほど美しい紫の瞳を持っている美人だった。
コラードが彼女の腰に手を添えて答える。
「フロリアンさんだ。女男爵。オレは彼女と結婚する。いいでしょ、父上? 父上だって、男爵家の娘と結婚したんだし」
フラヴィオの眉間に、くっきりシワが寄っていた。
「女男爵のフロリ……?」
「でね、彼女は9年前まで結婚してて」
「ああ、これまでに2回離婚してるな。その後、すっかり男嫌いになってな」
「娘もいる」
「ああ、14歳と9歳の2人な」
今度はコラードの眉間にシワが寄った。
「父上、何でそんなに詳しいんです? 隣国の男爵家なんて、ほとんど接する機会が……」
と、はっとしたコラードの顔が、みるみるうちに衝撃に染まっていった。
「ま、まさか父上とオレって親子兼、『兄弟』!?」
「は? いや、おま…………」
と言葉を切り、過去を思い出しながら思案顔になったフラヴィオ。
小声で『お姉様』に問うた。
「だっけ?」
「一度も記憶にございませんわよ、カプリコルノ陛下」
「だよな」
フラヴィオと『お姉様』を交互に見たコラードが、突如激昂した。
「怪しい! 何でそんなに彼女と慣れ親しんだ風なんですか、父上! オレは『弟』なのか! 父上が『兄』で、オレが『弟』なのか!」
「違う違う」
と、大人たちは手を振って訴えるが、コラードはすっかり頭に血が上っているようだった。
その明るい茶色の髪が逆上がり、近くの山に怒号を響き渡らせていく。
それを鎮めたのは、『お姉様』の「ふふっ」という含み笑いだった。
「ごめんね、コラード殿下」
と、コラードの腕を抱き締める。
「本当は私、女男爵のフロリアンじゃないの」
「え?」
と、きょとんとし、やっと落ち着いたコラードが『お姉様』を見る。
コラードの疑問には、フラヴィオが溜め息交じりに答えた。
「彼女は、サジッターリオ国女王シャルロッテ・アインホルン陛下だ」
子供たちが、目と見開いて顔を見合わせる。
さっき舞踏室で2人が踊っているときから何となく察してはいたが、やっぱり仰天せずにはいられない。
しかし、一番驚いて良いはずのコラードの反応はそうでもなかった。
「Oh……!」
とそれなりの反応は見せたが、その後すぐに「はははっ」と陽気な笑い声を上げた。
「さっすがオレ! 見る目あるぅー」
シャルロッテ・アインホルン陛下が「そうね」とおかしそうに笑った。
フラヴィオは「おまえな」と何か言いたげだったが、コラードのその自信家で、陽気で、物怖じしない姿は昔のフラヴィオを彷彿とさせ、それを知っている大人たちも噴き出してしまう。
一方、興奮しているベルが、2人の前に歩いて行った。
まずシャルロッテに深々とお辞儀して自己紹介をした後に、気になって溜まらないことを問う。
「あのっ…あの、お二方は、その、ご、ごこここここ婚約をっ……!?」
コラードが彼女を見つめる。
彼女もコラードを見つめる。
少しのあいだ、お互いの顔を確認するようにじっくり見つめていた。
「さっき、訊き忘れてた。指輪、何色のオルキデーア石がいい?」
「紫かしら。サジッターリオでも、王族の色なの」
「いいね、そうしよう。フロリ……じゃなかった。シャルロッテさんの――」
「『さん』はいらないわ。もうほとんどの人が呼んでくれないけど、愛称は『ロッテ』よ」
それを聞いたコラードが、言い直す。
「ロッテの瞳色の、最高級のオルキデーア石を探してくるよ。あーいや、無理だ」
「前言撤回が早いわ、コラード」
「ごめん。だってオレ……最高級のオルキデーア石でも、ここまで綺麗なのは見たことないんだよ……――」
とコラードが、まるでシャルロッテの瞳に吸い寄せられるようにして口付ける。
それを目前で見つめる一同が赤面したり、苦笑したり、呆れ顔になったり、微笑ましそうにする中、ベルの栗色の瞳が誰よりも煌めいていく。
まずは主の下へ寄り、2人を指さして言葉にならない悦びを訴える。
「分かった分かった」と興奮を宥めるように頭を撫でられたあと、また2人の方に戻っていく。
まだ終わっていないキスを、家政婦長に叩き込まれた美しい立ち姿で待ち、やっと唇が離れると同時に、ぴったり45度の角度でお辞儀する。
「ご婚約おめでとうございます! おめでとうございます!」
「おう、宰相! 偉い? オレ偉い? ちゃんと任務を果たしたぜ! 偶然だけど! はははっ」
「お見事でござます! 流石でございます、コラード様! 素晴らしゅうございます! 世界一でございます! このベルナデッタ、祝福に国家独唱します!」
そして発覚した、ペルフェットな使用人と名高いベルの音痴。
その声は本来収まるはずの場所から大きく外れ、明後日の方向へと飛んで行く。
爆笑が起こり、あまりの酷さに、歌や舞踏といった音楽全般を得意とするヴィットーリアやアリーチェがたまらず指導に入る。
そんな中、フラヴィオが「ふふふ」と笑いながら、後方へと10歩下がって行った。
「見事な編曲だ、ベル」
「悪くないわよ、お嬢さん」
と同じように10歩下がったのは、シャルロッテ。
フラヴィオの隣に並ぶ。
そんな2人を、フェデリコがさりげなく背面に隠す。
一同の視線がベルへと向いているのを確認した後、2人の視線が合った。
小声で口を開く。
「待て、ロッテ」
「はい、お義父様?」
と返して来たシャルロッテに、フラヴィオが複雑そうな顔をする。
「何かしら?」
「何じゃないだろう……何でこういう形で親戚になることになったんだ。そなただって、マヤとコラードの婚約が目的だったんだろう?」
「ええ、そうよ。まぁ、あわよくば王太子のオルランド殿下とマヤを結婚させて、将来カプリコルノ・サジッターリオ両国の『陛下』を狙ってたんだけどね。レオーネ王太子殿下が、オルランド殿下はうちの娘と結婚するからよろしくって、やって来る度に脅しを掛けていくのよね」
「で、コラードとマヤの予定だったんだろう? なんでそれが、コラードとそなたになってるんだ」
シャルロッテがフラヴィオの顔を見つめながら、「何よ」と強い声で返した。
「あなたが王太子だった頃、純情乙女だった私の唇奪っておきながら結婚断っといて、また今度も駄目だっていうの?」
フラヴィオが一同の方を気にして、少し狼狽した。
「よ、世の中には言わない方が良いこともある。コラードは気にするから止めてくれ」
「言わないわよ、あの子のこと傷つけたくないもの。私を選んでくれたってだけで、あなたより100倍は可愛いわ。将来は絶対あなたよりイイ男ね。あなたがもう心に決めた相手がいるって言うから、マストランジェロ王家のしきたり通り公爵家か侯爵家の娘かと思えば、男爵家? 王女の私との結婚を断って、下級貴族の娘って、どれだけ傷付いたと思ってるのよ。そりゃ、実際にあのヴィットーリア王妃陛下を見たときには俯くしかなかったけど……当時は本当に傷ついたんだから。今思えば、私の男嫌いはあなたが切っ掛けなんだわ。心に決めた相手がいるならバーチョしてんじゃないわよ」
と、刺々しい口調で責められるフラヴィオが尖っていく。
「だって……欲情した王女を目前にして何もしなかったら無礼ではないか。でも余はヴィットーリアを王妃すると決めていたし、でも王太女を抱いたら流石に責任取らねばならぬし、だったらせめてバーチョくらいはして無礼は避けないとってなるだろう」
シャルロッテが赤面した。
「なっ、なんなのよそれっ…! 大体、しっ、してないわよ欲情なんかっ……!」
「恥じなくても大丈夫だ。余やフェーデの腕に抱かれて踊った女はみーんなする」
と、「ふふふ」とフラヴィオが笑うと、シャルロッテが尚のこと頬を染めた。
「う、自惚れてんじゃないわよっ……!」
「何だ、余にバーチョされるのは嫌だったのか?」
「い……嫌じゃなかったわよ、当時は。だって、私を選んでくれるのだと思ってたもの。それなのに……ふざけんじゃないわよ!」
と立腹するあまりシャルロッテの声が大きくなってくると、一同とのあいだの壁になっているフェデリコが振り返った。
人差し指を唇に当てる。
フラヴィオとシャルロッテが頷いて承知した。
小声で続ける。
「まだ怒ってるのか?」
「流石にもう怒ってないわ。私の亡くなったお母様――先王陛下は、激怒して何度もあなたの国に海賊送り込んだけど」
「やっぱりか、オイ。無礼を働いたのは謝る。だが、そういうことしないでくれ」
「うるさいわよ、ことごとく皆殺しにしておいて。ていうか、私が即位してからはしてないじゃない。まぁ、兵士たちが『力の王』に畏怖して攻められそうにないって理由からだけど、昔のことを今言わないでよ。それに毎年、宮廷舞踏会にだって招待してるじゃない」
「その割にほとんど口を聞いてくれないって、どういうことだったのだ。そなたがこんなに話してくれるのは久々だぞ」
「だって、やっぱりムカつくんだもの」
「って、やっぱり怒ってるのか」
「怒ってないわよ」
「怒ってるぞ」
フェデリコが再び振り返って、唇に人差し指を当てる。
2人が再び頷いた。
「で……ちょっと? コラードから聞いたわよ? カンクロ国と戦って、あなた……びっくりするじゃない」
「避けられそうになくてな」
「負けないでよ? カプリコルノが支配されたら、カンクロはついでにうちの国やアクアーリオも奪うに決まってるわ」
「ああ、分かってる。負ける気はない。だが……」
と、フラヴィオがシャルロッテの顔を見ると、それは「ええ」と答えた。
「あなたたちが戦に行っているあいだ、国の守りが手薄になるのでしょう? その間、貸すわ兵士」
フラヴィオが「おお」と笑顔になった。
「ありがとう、助かる。余の補佐その3が狂喜するぞ」
「そーのーかーわーり」
と、シャルロッテが声を強くした。
フラヴィオが「うん?」と相槌を打つと、それはコラードの方を向いた。
ベルのあまりの音痴さに、腹を抱えて笑っている。
「あの子も戦に連れて行くのでしょう……?」
「ああ。戦場に出れるようになった子供たちは、皆連れて行く。子供たちの中でも、コラードは特に力になるから尚のことだ……悪いな」
「いいのよ……相手がカンクロじゃ、仕方ないもの。でも……必ず、連れて帰って来てね……?」
フラヴィオが「分かった」と承知すると、その顔をシャルロッテが見た。
ふと、微笑を浮かべる。
「ねぇ……あの子、顔はそんなにあなたと似てるわけじゃないけど、笑うとそっくりね。さっきあの子と踊ったとき、昔を思い出しちゃった。踊るときのちょっとした癖も、ちょっと強引に感じる力強さも、昔のあなたそっくり」
とシャルロッテが、コラードに顔を戻して問う。
「私、なんであの子に『男爵』って言ったと思う?」
「コラードを試したとか、そんなところか?」
「そうよ。だって、私が『女王』と知れば、王侯貴族の男たちは目の色を変えて優しくするもの。でも王子のあの子にとって、私が男爵なんて結婚しても得にならない女だったら、どうするのかと思ってね」
フラヴィオが「で?」とその結果を催促すると、コラードを見つめているシャルロッテの横顔が幸せそうに笑んだ。
「あなたそっくりだったわ。王子なのに、平気で跪くのね。わざと困らせてみても、我儘ばかり言ってみても、明るく笑うのね。私29よって、ちょっと気にしてる年齢を言っても褒めてくれるし、私のそんなに美しいわけでもない髪を触ったときは瞳を煌めかせたわ。最初の夫も、その次の夫も、王配もしくは国王という地位や権力目当てで私と結婚して、どっちも私自身を見てくれることも、愛してくれることもなかったのに……あの子は、ちゃんと愛してくれたわ。見てくれたわ……まっさらな、澄んだ瞳で」
そう言ったシャルロッテをフラヴィオが黙って見つめていると、やがて目が合った。
改めて問う。
「本当に良いのか、あいつと結婚しても。二度目の離婚をしたとき、もう二度と結婚しないって言っていただろう」
「ええ、良いわ。正直、私としても予定外だったけど……私、あの子のことなら愛せるわ。あの子だってあなたに似ているのだから、私が妻になったら、いつまでも愛してくれるでしょう?」
「ああ、それは保障する。だが、まだ小童だぞ? 至らないところも多かろう」
「そんなことないわよ……いろいろ」
「まぁ、アッチはな」
「あなた、仕込みすぎよ……」
とシャルロッテが頬を染めると、フラヴィオが「ふふふ」と笑った。
「どうだったのだ?」
「き、訊かないでよ……!」
「そうか、良かったのか。よしよし、よくやったコラード。おまえは一人前の男だ」
と、満足そうな笑い声を上げた後、フラヴィオは「で?」と話を続ける。
また「ふふふ」と笑って問う。
「余のことは、いつまで好きだったのだ?」
「それも訊かないでよっ……!」
「良いではないか」
とフラヴィオが肘でつつくと、シャルロッテが「止めてよ」と言いながら顔を背けた。
小さな小さな声で、答えを呟く。
聞こえなかったフラヴィオが「え?」と耳を寄せると、シャルロッテが少しだけ声を大きくした。
「さっきよ……」
「うん?」
「今日コラードを好きになる前まで――さっきまでよ」
「――…………え!?」
と衝撃を受けたフラヴィオの方を見たシャルロッテの顔が、さっきよりも赤くなっている。
「な、何よ? 悪いわけ?」
「悪いだろう。それではまるで、余よりコラードの方がイイ男みたいな」
「いや、何でソコなのよ。まだ想われてたところを驚きなさいよ」
「いや、何でだ」
「何でだって、何でよ」
「何でよって、何でだ」
フェデリコが咳払いした。
振り返ると、コラードがこちらへと向かって小走りで駆けて来る姿が見えた。
むっとした様子で、シャルロッテの手を引いてフラヴィオから離す。
「父上と2人切りになったら駄目だ、危ないから。オレは父上を尊敬してるけど、女に関しては信用ゼロなんだ」
フラヴィオが「なんだソレは」と口を尖らせる一方、シャルロッテがコラードの腕を抱き締めて優しく微笑む。
「大丈夫よ、コラード。お義父様に、挨拶をしていただけよ」
「ああ、そう……」
と、どことなくまだフラヴィオを疑いの眼差しで見つめているコラードを、フェデリコが呼んだ。
山の方を指差す。
「向こうへ行ってみろ、コラード。今、サジッターリオの人型モストロが横切って行ったぞ。おまえ、見たことなかっただろう?」
コラードが「スィー!」と返事をして、フェデリコの指差した方へと駆けていく。
「そういえば、うちも人型モストロなんとか仲間に出来ないかしらね」
とコラードの後に続いて歩き出したシャルロッテが、途中でふと立ち止まった。
フラヴィオの方へと振り返る。
その顔を、少しのあいだ見つめていた。
「さようなら……フラヴィオ『殿下』」
そう言って見せた笑顔が、ふとフラヴィオの記憶の中の、少女時代のシャルロッテと重なる。
あの頃は王太女として、今と同じように誇り高く、ちょっと気の強い少女だった。
でも無垢で、あどけなく、愛らしい笑顔をしていた。
舞踏会で踊るたびに、その美しい紫の瞳を揺れ動かしてフラヴィオを見つめていた。
頬を染めて、ときどき俯いて、純粋に恋をしてくれた。
『さようなら』の言葉に僅かばかり寂しさと切なさを覚えて、コラードの下へと歩いて行くその背に、思わず手が伸びる。
シャルロッテが背を向けて歩いたまま、手を振った。
「あと、これからよろしくねー『お義父様』」
「いや、それ止めてくれ……」
それから約一カ月後。
カプリコルノ国第二王子コラード・マストランジェロと、サジッターリオ国女王シャルロッテ・アインホルンが、正式に婚約した。
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