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新婚旅行ー2
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(嘘やろ)
アヤメが愕然とする。
現在、時刻はレオーネ国の午前9時。場所はレオーネ国の王都ジラソーレ。
結婚式の列席者らは先ほど帰宅・帰国し、これから10日間、夫婦水入らずで新婚旅行の予定だったのだが。
(なんでやねん)
突っ込まずにはいられない。
昨日の結婚式の『紋付袴』もそうだったが、落ち着いた茶色の髪をしているお陰か、レオーネ服を着ていてもそんなに違和感が無く、むしろ似合うオルランド。
その左側には同じくレオーネ服のアヤメ。
そして右側には、母国ヴィルジネの衣装サリーを着たノールがいた。
(なんで帰国しとらんの、この人……)
その疑問を、オルランドが口にする。
「帰国しないで大丈夫なの、ノール殿下?」
「はい、わたくしだけもう1日こちらにいることになりました。ご一緒させていただいてもよろしいですか?」
「うん、構わないよ。流石に王女殿下をひとりにするわけにはいかないからね」
それは同意するが、アヤメは不安に駆られてしまう。
脳裏に昨日の祝宴で聞いたノールの台詞が蘇る――
「――アヤメ殿下が本当に羨ましいです。やっぱりわたくしもオルランド殿下の妻になりたいな。第二夫人で良いから」
ノールはあのとき、泣いていたアヤメの涙を止めるための冗談を言ったのだと思っていた。
真剣な様子というよりは、冗談交じりの軽い口調に聞こえた故に。
でもどうやらそうではないらしいということを、今やっと悟る。
(ノール殿下、ほんまにランドの第二夫人になりたいんや)
政だの子孫繁栄だのの理由から、国王や王子が側室を持つことは何ら珍しいことでも、おかしなことでもない。
アヤメの父マサムネだってそうだし、祖父のレオーネ国王だってそうだし、これまでのマストランジェロ王家の歴史を見てみたってそうだ。
つまりオルランド自らがそうしたり、またそうしなければならないことだって無くはないのだ。
そう思ったら狼狽し、ノールから引き離すようにオルランドの左腕を抱き締めた。
「ランドっ……!」
「え?」と少し驚いた顔をしたオルランドが、周りを見回す。
新婚旅行のことは事前に民衆に伝えられていたとはいえ、この国の王女とベタベタに仲良しの友好国の王太子夫婦となれば、当然注目の的になっていた。
あちこちに立っている警備兵すら、仕事を忘れていそうな生あたたかい目でこちらを見つめている。
「珍しいね、アヤメ? 人前なのにくっ付いていいの? 凄い見られてるけど」
「あっ……」
とアヤメがオルランドの腕を離そうかとき、今度はノールが反対側からオルランドの右腕を掴んだ。
「見てください、オルランド殿下! 面白いお店があります!」
とはしゃいだノールにオルランドが引っ張られていき、アヤメが慌てて引き戻す。
「ウ、ウチはアッチのお店が見たいんやランドっ……!」
「あ、うん。分かったよアヤメ」
が、またノールが引っ張る。
「ほら見てください、オルランド殿下! これはなんでしょうね?」
「なんだろうねー。鈍器? この紐の部分は鎖にした方がいいと思うなぁ」
アヤメが必死になって、再びオルランドを引き戻す。
「鈍器ちゃうわ、『けん玉』いう玩具や! せやから、ウチはアッチのお店!」
「分かった分かった、アヤメ」
が、ノールが引っ張る。
「こっちは何でしょう、オルランド殿下!」
「ああ、これは盾じゃない? でも木じゃなくて鋼とかの金属にしないとすぐに破壊されそう」
アヤメが引き戻す。
「盾ちゃうねん、『羽子板』やねん! それでお正月に羽付きしたことあるやろ、ランド! もうええから、ウチはアッチのお店行きたいんやってば!」
「ごめんごめん、アヤメ」
ノールが引っ張る。
「ではこれは一体何でしょうね? 尖っていますが」
「これはたぶん、レオーネ国の忍者っていう人たちが使うらしい『撒菱』じゃないかな。実物初めてみたよ。これも木製なんだねー」
アヤメが引き戻す。
「いや、そんなデカい撒菱踏んでくれる敵おるー? それは『コマ』やねん、ぐるぐる回して遊ぶ玩具や! なんやねんさっきからもう、ランドボケボケやな! ここは武具屋ちゃうねん、玩具屋やねん! もう、せやからっ……せやから、ランド!」
「はいはい、アヤメ」
とがっちり腕を組まれて引っ張られながら、オルランドが意外そうな顔になっていく。
「本当に珍しいね、アヤメ。いいの?」
「もうええっ……人前でも! ウチから離れんといて、ランド!」
「うん」と嬉しそうに笑ったオルランドが、「でも」とアヤメの腕を外して左手を差し出す。
「そんなに掴まれたらちょっと歩きにくいから、こっちにしてくれる? 大丈夫、離れたりしないよ」
「う、うんっ……」
と、アヤメは少しドキドキしてしまいながらオルランドの左手を握る。
アヤメの手はふっくらとしていて指が短く、子供っぽさが残る。
オルランドも昔はそんな感じの手をしていたような記憶があるが、今はアヤメのものよりも関節2本分大きく、指が長く、骨っぽくて幼さはもう感じない。
いつの間にかすっかり『異性』の手になっていて、夫婦になっても未だに繋ぐときに鼓動が上がってしまう。
「ごめん、ノール殿下。右腕、離してくれる?」
と、オルランドが言うと、ノールが「ごめんなさい」と言いながら従った。
「歩き辛かったですか?」
「それも少しあるけど、そうじゃないんだ。私は右が利き腕だから、右手は基本的に常に自由が利くようにしているんだ」
「どうしてですか?」
「いざというとき、咄嗟にアヤメを守ることが出来なくなるからだよ」
アヤメは「え?」とオルランドの顔を見る。
その心組を、今初めて知った。
意識したことがなかったが、思えばオルランドがアヤメの左側を歩いたことは一度も無いように思う。
「あ…ありがとう、ランドっ……」
「いや、お礼を言われるまでも無いことだよ。君はうちの国の天使というだけでなく、私の妻なんだから」
と、さも当然といった顔に見下ろされながら、アヤメが頬を染めて俯く。
(ウチ、ほんまにほんま、ランドがめっちゃ好きや……――って)
オルランドの顔を覗き込んだ。
(こういうの、口に出して伝えた方がええとこかなっ……?)
オルランドが「どうしたの?」と小首を傾げる。
「う…うん……あの……なっ?」
「うん?」
「あのっ…そのっ……ウチな? ランドが、めっちゃ好――」
とアヤメの声を遮るように、ノールが「えっ」と仰天した声を上げた。
「見てください、オルランド殿下! ガット・ネーロが食べ物らしきものを売っています、ガット・ネーロが!」
「ああ、うん、ここはガット・ネーロの『餅屋』だね」
「待ってください! 何故モストロがお店を!?」
「レオーネ国はモストロも経営権がもらえるんだよ」
「凄いですね、500年前からモストロと共存している国は!」
「ねー、凄いよねレオーネ国って。うちの国にも人型モストロがいるから、上手く仲間に出来た暁には倣うんじゃないかな」
とオルランドが、アヤメを見ながら餅屋を指差して問う。
「食べる?」
「す……好きやってば」
と、アヤメの頬が膨れ上がっていた。
その理由の分かっていないオルランドが焦る。
「え、ごめん、アヤメが好きなのってどれだっけ? 甘いのだよね? あんこ? キナコ? ずんだ?」
「ちゃ、ちゃうくて……!」
「え、甘くないやつ? 私はショウガ餅にしようと思っていたんだけど、まさかアヤメも? 大人になったねー」
「ラ……ランド!」
「うん?」
「せやから、ランドやってば! ウチ、ランドが好きやってばっ……めっちゃめっちゃ好きやって、思ったんやってば!」
民衆にどよめかれるアヤメの頬が染まっていく一方、オルランドの瞳が「わー」と煌めいていく。
「珍しいね、アヤメ」
と、早くも本日3度目の台詞が漏れた。
「君の口から愛を伝えられたのは久々だよ、嬉しいな。ていうか、私は餅を食べるか訊いたのに、君は私が食べたいのかい?」
「へっ?」と声を裏返したアヤメが茹蛸になる。
「ちゃうちゃう、ちゃうのランド! ちゃうの! そういうつもりちゃうの!」
「分かったよ、アヤメ。私もショウガ餅より君の方が良い。まだ朝だけど、新婚旅行中だしちょっと不真面目でもいいよね」
「あかんあかん、あかんよランド! あかんよ! あかんよ、もうっ……!」
と慌てふためくアヤメを見ながら、オルランドが「冗談だよ」とおかしそうに笑う。
でもどちらかといったら、『嬉しそう』な顔があった――
(――ウチの、どあほ)
と、少しアヤメの胸が痛む。
(ウチやて、ランドから好きやって、愛してるって、言われる度にめっちゃ嬉しいやろ、どあほ。どあほ……)
自身はオルランドにしてもらうことばかり考えていたように思う。
オルランドに愛の言葉を言って欲しい。
オルランドにバーチョして欲しい。
オルランドに求めて欲しい。
オルランドはそれらすべて叶えてくれるから、アヤメは幸せだ。
でも同じことを願っていたオルランドの方は、ほとんど叶えられていなかった。
(ほんまにほんま、ランドが不満抱いても無理ないやんか……)
文化の違いのせいにしたり、羞恥心に負けたりしてはいけないことだった。
素直に言葉や行動で愛を伝えることはとても大切なことだと、煌めくオルランドの笑顔を見つめながら改めて反省する。
小さく「ごめん」と謝った。
聞こえなかったらしいオルランドが、アヤメの肩を抱き寄せて「ねぇ」と頭に愛おしそうに頬擦りする。
「どの餅にする?」
「ほな、キナコ」
「じゃあ、私もキナコにする」
「え? ランドさっき、ショウガ言うてたやん」
「なんか急に、君と同じものが食べたくなった」
「ふーん?」
オルランドが「ノール殿下は?」とそちらに顔を向ける。
一瞬その存在を忘れていたアヤメも向ける。
2人を見つめる羨ましそうな微笑から、その表情通りの言葉が出てきた。
「羨ましいです、アヤメ殿下」
普通はあって当たり前だろう嫉妬といった感情を、不思議なほど感じない。
昨日のノールの台詞からも分かるように、ノールはアヤメからオルランドを奪うだとか、王太子妃――正室になるだとか、そういった考えはまるで無いように見える。
アヤメに対して敵意はなく、純粋にオルランドを好いていて、純粋に第二夫人――側室になって、オルランドの傍にいたいと思っているようだった。
「ん? ああ、ノール殿下もキナコがいい? ヴィルジネ国には無いもんね」
と、あまり自惚れることの無い性格のせいか、結構な鈍感であるオルランド。
ノールが嬉しそうに「はい」と笑う。
「わたくしも食べてみたいです、キナコ」
それはきっと、オルランドと同じ味を共有する幸せを感じたいからだった。
それではと、オルランドがキナコ餅を3つ注文する。
間もなく3つの皿に分かれて出て来たそれを、店の前の縁台にオルランドを真ん中にして座り、3人で頬張る。
「うん、美味しい」
とアヤメが言うと、オルランドがその顔を見て「うん」と笑う。
「美味しいね」
そのオルランドの顔を見て、ノールも「はい」と笑う。
「美味しいですね、キナコ」
オルランドに恋する純粋な瞳があった。
それはアヤメを見つめても穢れることなく、もう一度「美味しいですね」と笑った。
「うん……美味しいね」
と笑顔を作って返したアヤメ。
複雑だった。
オルランドのことが無かったら、きっと友達として仲良く出来たし、したかった。
(ノール殿下、どうしてそんな風にいられるんやろ……)
と考えてから程なく、答えが出る。
ノールの母国ヴィルジネは、レオーネ国やカプリコルノ国以上に一夫多妻が当然の国だ。
昨日フラヴィオから、ノールはヴィルジネ王太子の第三夫人の次女だと聞いたし、きっとそういう立ち位置になることに対する抵抗どころか、疑問すら持っていないように思った。
そしたら、こんなことを感じた。
(ランドにウチだけの夫でいて欲しいって思うのは、贅沢なことなんやろか……)
オルランドに「ねぇ」と声を掛けられ、その顔を見る。
眉間にシワを寄せ、さっき通って来た道の方を指差していた。
「アレさぁ、変装のつもりかなぁ」
アレ――黒髪に碧眼、レオーネ人よりも遥かに骨格の大きな身体をしている男と、黒髪に栗色の瞳、その小柄な背丈はレオーネ人の女にもそこそこいるが、顔がずっと小さく、ぱっと見で外国人と分かる女。
黒髪のかつらに加えてレオーネ服を着ているが、どう見てもフラヴィオとベルで、近くには不自然にマサムネとその猫4匹も歩いている。
「おー、おまえらこんなところにおったんかー。ワイら今日、町で仕事やねーん」
と、如何にも偶然を装って手を振るマサムネ。
ノールは笑顔で手を振り返すが、オルランドとアヤメは苦笑する。
「父上とベル、帰ってなかったんだ。これ絶対『尾行』されてるよねぇ」
「せやな。ランドとウチが昨日喧嘩しとったから、心配かけたんちゃう?」
「そういうこと? でも正直うっとうしいから、キナコ餅食べたら近くにいるガットにテレトラスポルト頼んで、さっさと撒こう」
「そうしよ」
と、キナコ餅を急いで食べるアヤメ。
尾行されていると分かったらどうしても気になってそちらを見てしまい、ベルと目が合った。
口と手が止まる。
ふと、こんなことを思った。
(ベルちゃん――宰相閣下、政のためにランドの第二夫人にノール殿下をって、めっちゃ普通に言い出しそう)
そうしたらオルランドはきっと逆らえなく、アヤメ自身も逆らうことが出来ない。
それにさっき思った通り、オルランドに側室を迎えないで欲しいというのは贅沢なことなのかもしれない。
でも、それでも、
(いやや……)
ぎゅっと箸を握り締めたアヤメの手が小さく震える。
(ウチ、ずっとずっと、ランドのたったひとりの妻でいたいよ……)
オルランドが「どうかした?」とアヤメの顔を覗き込む。
その深い茶色の瞳に涙が光って見えた。
「アヤメっ……?」
「どうもしとらんよ、ランド」
「嘘吐いたね。どうしたの? また黙ったりしないで、話してよ」
アヤメは「ううん」と首を横に振った。
(これはきっと、ウチの我儘やから)
誤魔化すための嘘を吐く。
「ただちょっと、お腹痛くなってきたなって」
オルランドが「ええ?」と狼狽する。
「大丈夫? 宮廷に帰ろうっ……!」
「大丈夫や、厠へ行けば治るから。この近くにあるから、ちょお行ってくるわ」
とアヤメが残りのキナコ餅を口に入れて立ち上がると、オルランドが「厠?」と突如どきまぎとし始めた。
それを見たアヤメの顔が引き攣る。
「え……何、ちょお、ランド? 天使は厠へ行かないと思ってたとか無しな?」
「や、やだな、流石にそれはもう無いよ。天使も私たちと同じように下から出ることは、ちゃんと5年前に覚えたよ」
「って、ほんの5年前まで思ってたんかい。けどまぁ、今は現実的で良かったわ。ほな、厠行ってくる」
「ああ、待ってアヤメ! 知りたいんだ、教えて!」
アヤメが「何?」と振り返ると、そこにあった恍惚とした顔は「ふふふ」と頬を染めた。
「薔薇の香りか?」
アヤメの口の中に残っていた餅が、「ぶっ」と飛んでいった。
アヤメが愕然とする。
現在、時刻はレオーネ国の午前9時。場所はレオーネ国の王都ジラソーレ。
結婚式の列席者らは先ほど帰宅・帰国し、これから10日間、夫婦水入らずで新婚旅行の予定だったのだが。
(なんでやねん)
突っ込まずにはいられない。
昨日の結婚式の『紋付袴』もそうだったが、落ち着いた茶色の髪をしているお陰か、レオーネ服を着ていてもそんなに違和感が無く、むしろ似合うオルランド。
その左側には同じくレオーネ服のアヤメ。
そして右側には、母国ヴィルジネの衣装サリーを着たノールがいた。
(なんで帰国しとらんの、この人……)
その疑問を、オルランドが口にする。
「帰国しないで大丈夫なの、ノール殿下?」
「はい、わたくしだけもう1日こちらにいることになりました。ご一緒させていただいてもよろしいですか?」
「うん、構わないよ。流石に王女殿下をひとりにするわけにはいかないからね」
それは同意するが、アヤメは不安に駆られてしまう。
脳裏に昨日の祝宴で聞いたノールの台詞が蘇る――
「――アヤメ殿下が本当に羨ましいです。やっぱりわたくしもオルランド殿下の妻になりたいな。第二夫人で良いから」
ノールはあのとき、泣いていたアヤメの涙を止めるための冗談を言ったのだと思っていた。
真剣な様子というよりは、冗談交じりの軽い口調に聞こえた故に。
でもどうやらそうではないらしいということを、今やっと悟る。
(ノール殿下、ほんまにランドの第二夫人になりたいんや)
政だの子孫繁栄だのの理由から、国王や王子が側室を持つことは何ら珍しいことでも、おかしなことでもない。
アヤメの父マサムネだってそうだし、祖父のレオーネ国王だってそうだし、これまでのマストランジェロ王家の歴史を見てみたってそうだ。
つまりオルランド自らがそうしたり、またそうしなければならないことだって無くはないのだ。
そう思ったら狼狽し、ノールから引き離すようにオルランドの左腕を抱き締めた。
「ランドっ……!」
「え?」と少し驚いた顔をしたオルランドが、周りを見回す。
新婚旅行のことは事前に民衆に伝えられていたとはいえ、この国の王女とベタベタに仲良しの友好国の王太子夫婦となれば、当然注目の的になっていた。
あちこちに立っている警備兵すら、仕事を忘れていそうな生あたたかい目でこちらを見つめている。
「珍しいね、アヤメ? 人前なのにくっ付いていいの? 凄い見られてるけど」
「あっ……」
とアヤメがオルランドの腕を離そうかとき、今度はノールが反対側からオルランドの右腕を掴んだ。
「見てください、オルランド殿下! 面白いお店があります!」
とはしゃいだノールにオルランドが引っ張られていき、アヤメが慌てて引き戻す。
「ウ、ウチはアッチのお店が見たいんやランドっ……!」
「あ、うん。分かったよアヤメ」
が、またノールが引っ張る。
「ほら見てください、オルランド殿下! これはなんでしょうね?」
「なんだろうねー。鈍器? この紐の部分は鎖にした方がいいと思うなぁ」
アヤメが必死になって、再びオルランドを引き戻す。
「鈍器ちゃうわ、『けん玉』いう玩具や! せやから、ウチはアッチのお店!」
「分かった分かった、アヤメ」
が、ノールが引っ張る。
「こっちは何でしょう、オルランド殿下!」
「ああ、これは盾じゃない? でも木じゃなくて鋼とかの金属にしないとすぐに破壊されそう」
アヤメが引き戻す。
「盾ちゃうねん、『羽子板』やねん! それでお正月に羽付きしたことあるやろ、ランド! もうええから、ウチはアッチのお店行きたいんやってば!」
「ごめんごめん、アヤメ」
ノールが引っ張る。
「ではこれは一体何でしょうね? 尖っていますが」
「これはたぶん、レオーネ国の忍者っていう人たちが使うらしい『撒菱』じゃないかな。実物初めてみたよ。これも木製なんだねー」
アヤメが引き戻す。
「いや、そんなデカい撒菱踏んでくれる敵おるー? それは『コマ』やねん、ぐるぐる回して遊ぶ玩具や! なんやねんさっきからもう、ランドボケボケやな! ここは武具屋ちゃうねん、玩具屋やねん! もう、せやからっ……せやから、ランド!」
「はいはい、アヤメ」
とがっちり腕を組まれて引っ張られながら、オルランドが意外そうな顔になっていく。
「本当に珍しいね、アヤメ。いいの?」
「もうええっ……人前でも! ウチから離れんといて、ランド!」
「うん」と嬉しそうに笑ったオルランドが、「でも」とアヤメの腕を外して左手を差し出す。
「そんなに掴まれたらちょっと歩きにくいから、こっちにしてくれる? 大丈夫、離れたりしないよ」
「う、うんっ……」
と、アヤメは少しドキドキしてしまいながらオルランドの左手を握る。
アヤメの手はふっくらとしていて指が短く、子供っぽさが残る。
オルランドも昔はそんな感じの手をしていたような記憶があるが、今はアヤメのものよりも関節2本分大きく、指が長く、骨っぽくて幼さはもう感じない。
いつの間にかすっかり『異性』の手になっていて、夫婦になっても未だに繋ぐときに鼓動が上がってしまう。
「ごめん、ノール殿下。右腕、離してくれる?」
と、オルランドが言うと、ノールが「ごめんなさい」と言いながら従った。
「歩き辛かったですか?」
「それも少しあるけど、そうじゃないんだ。私は右が利き腕だから、右手は基本的に常に自由が利くようにしているんだ」
「どうしてですか?」
「いざというとき、咄嗟にアヤメを守ることが出来なくなるからだよ」
アヤメは「え?」とオルランドの顔を見る。
その心組を、今初めて知った。
意識したことがなかったが、思えばオルランドがアヤメの左側を歩いたことは一度も無いように思う。
「あ…ありがとう、ランドっ……」
「いや、お礼を言われるまでも無いことだよ。君はうちの国の天使というだけでなく、私の妻なんだから」
と、さも当然といった顔に見下ろされながら、アヤメが頬を染めて俯く。
(ウチ、ほんまにほんま、ランドがめっちゃ好きや……――って)
オルランドの顔を覗き込んだ。
(こういうの、口に出して伝えた方がええとこかなっ……?)
オルランドが「どうしたの?」と小首を傾げる。
「う…うん……あの……なっ?」
「うん?」
「あのっ…そのっ……ウチな? ランドが、めっちゃ好――」
とアヤメの声を遮るように、ノールが「えっ」と仰天した声を上げた。
「見てください、オルランド殿下! ガット・ネーロが食べ物らしきものを売っています、ガット・ネーロが!」
「ああ、うん、ここはガット・ネーロの『餅屋』だね」
「待ってください! 何故モストロがお店を!?」
「レオーネ国はモストロも経営権がもらえるんだよ」
「凄いですね、500年前からモストロと共存している国は!」
「ねー、凄いよねレオーネ国って。うちの国にも人型モストロがいるから、上手く仲間に出来た暁には倣うんじゃないかな」
とオルランドが、アヤメを見ながら餅屋を指差して問う。
「食べる?」
「す……好きやってば」
と、アヤメの頬が膨れ上がっていた。
その理由の分かっていないオルランドが焦る。
「え、ごめん、アヤメが好きなのってどれだっけ? 甘いのだよね? あんこ? キナコ? ずんだ?」
「ちゃ、ちゃうくて……!」
「え、甘くないやつ? 私はショウガ餅にしようと思っていたんだけど、まさかアヤメも? 大人になったねー」
「ラ……ランド!」
「うん?」
「せやから、ランドやってば! ウチ、ランドが好きやってばっ……めっちゃめっちゃ好きやって、思ったんやってば!」
民衆にどよめかれるアヤメの頬が染まっていく一方、オルランドの瞳が「わー」と煌めいていく。
「珍しいね、アヤメ」
と、早くも本日3度目の台詞が漏れた。
「君の口から愛を伝えられたのは久々だよ、嬉しいな。ていうか、私は餅を食べるか訊いたのに、君は私が食べたいのかい?」
「へっ?」と声を裏返したアヤメが茹蛸になる。
「ちゃうちゃう、ちゃうのランド! ちゃうの! そういうつもりちゃうの!」
「分かったよ、アヤメ。私もショウガ餅より君の方が良い。まだ朝だけど、新婚旅行中だしちょっと不真面目でもいいよね」
「あかんあかん、あかんよランド! あかんよ! あかんよ、もうっ……!」
と慌てふためくアヤメを見ながら、オルランドが「冗談だよ」とおかしそうに笑う。
でもどちらかといったら、『嬉しそう』な顔があった――
(――ウチの、どあほ)
と、少しアヤメの胸が痛む。
(ウチやて、ランドから好きやって、愛してるって、言われる度にめっちゃ嬉しいやろ、どあほ。どあほ……)
自身はオルランドにしてもらうことばかり考えていたように思う。
オルランドに愛の言葉を言って欲しい。
オルランドにバーチョして欲しい。
オルランドに求めて欲しい。
オルランドはそれらすべて叶えてくれるから、アヤメは幸せだ。
でも同じことを願っていたオルランドの方は、ほとんど叶えられていなかった。
(ほんまにほんま、ランドが不満抱いても無理ないやんか……)
文化の違いのせいにしたり、羞恥心に負けたりしてはいけないことだった。
素直に言葉や行動で愛を伝えることはとても大切なことだと、煌めくオルランドの笑顔を見つめながら改めて反省する。
小さく「ごめん」と謝った。
聞こえなかったらしいオルランドが、アヤメの肩を抱き寄せて「ねぇ」と頭に愛おしそうに頬擦りする。
「どの餅にする?」
「ほな、キナコ」
「じゃあ、私もキナコにする」
「え? ランドさっき、ショウガ言うてたやん」
「なんか急に、君と同じものが食べたくなった」
「ふーん?」
オルランドが「ノール殿下は?」とそちらに顔を向ける。
一瞬その存在を忘れていたアヤメも向ける。
2人を見つめる羨ましそうな微笑から、その表情通りの言葉が出てきた。
「羨ましいです、アヤメ殿下」
普通はあって当たり前だろう嫉妬といった感情を、不思議なほど感じない。
昨日のノールの台詞からも分かるように、ノールはアヤメからオルランドを奪うだとか、王太子妃――正室になるだとか、そういった考えはまるで無いように見える。
アヤメに対して敵意はなく、純粋にオルランドを好いていて、純粋に第二夫人――側室になって、オルランドの傍にいたいと思っているようだった。
「ん? ああ、ノール殿下もキナコがいい? ヴィルジネ国には無いもんね」
と、あまり自惚れることの無い性格のせいか、結構な鈍感であるオルランド。
ノールが嬉しそうに「はい」と笑う。
「わたくしも食べてみたいです、キナコ」
それはきっと、オルランドと同じ味を共有する幸せを感じたいからだった。
それではと、オルランドがキナコ餅を3つ注文する。
間もなく3つの皿に分かれて出て来たそれを、店の前の縁台にオルランドを真ん中にして座り、3人で頬張る。
「うん、美味しい」
とアヤメが言うと、オルランドがその顔を見て「うん」と笑う。
「美味しいね」
そのオルランドの顔を見て、ノールも「はい」と笑う。
「美味しいですね、キナコ」
オルランドに恋する純粋な瞳があった。
それはアヤメを見つめても穢れることなく、もう一度「美味しいですね」と笑った。
「うん……美味しいね」
と笑顔を作って返したアヤメ。
複雑だった。
オルランドのことが無かったら、きっと友達として仲良く出来たし、したかった。
(ノール殿下、どうしてそんな風にいられるんやろ……)
と考えてから程なく、答えが出る。
ノールの母国ヴィルジネは、レオーネ国やカプリコルノ国以上に一夫多妻が当然の国だ。
昨日フラヴィオから、ノールはヴィルジネ王太子の第三夫人の次女だと聞いたし、きっとそういう立ち位置になることに対する抵抗どころか、疑問すら持っていないように思った。
そしたら、こんなことを感じた。
(ランドにウチだけの夫でいて欲しいって思うのは、贅沢なことなんやろか……)
オルランドに「ねぇ」と声を掛けられ、その顔を見る。
眉間にシワを寄せ、さっき通って来た道の方を指差していた。
「アレさぁ、変装のつもりかなぁ」
アレ――黒髪に碧眼、レオーネ人よりも遥かに骨格の大きな身体をしている男と、黒髪に栗色の瞳、その小柄な背丈はレオーネ人の女にもそこそこいるが、顔がずっと小さく、ぱっと見で外国人と分かる女。
黒髪のかつらに加えてレオーネ服を着ているが、どう見てもフラヴィオとベルで、近くには不自然にマサムネとその猫4匹も歩いている。
「おー、おまえらこんなところにおったんかー。ワイら今日、町で仕事やねーん」
と、如何にも偶然を装って手を振るマサムネ。
ノールは笑顔で手を振り返すが、オルランドとアヤメは苦笑する。
「父上とベル、帰ってなかったんだ。これ絶対『尾行』されてるよねぇ」
「せやな。ランドとウチが昨日喧嘩しとったから、心配かけたんちゃう?」
「そういうこと? でも正直うっとうしいから、キナコ餅食べたら近くにいるガットにテレトラスポルト頼んで、さっさと撒こう」
「そうしよ」
と、キナコ餅を急いで食べるアヤメ。
尾行されていると分かったらどうしても気になってそちらを見てしまい、ベルと目が合った。
口と手が止まる。
ふと、こんなことを思った。
(ベルちゃん――宰相閣下、政のためにランドの第二夫人にノール殿下をって、めっちゃ普通に言い出しそう)
そうしたらオルランドはきっと逆らえなく、アヤメ自身も逆らうことが出来ない。
それにさっき思った通り、オルランドに側室を迎えないで欲しいというのは贅沢なことなのかもしれない。
でも、それでも、
(いやや……)
ぎゅっと箸を握り締めたアヤメの手が小さく震える。
(ウチ、ずっとずっと、ランドのたったひとりの妻でいたいよ……)
オルランドが「どうかした?」とアヤメの顔を覗き込む。
その深い茶色の瞳に涙が光って見えた。
「アヤメっ……?」
「どうもしとらんよ、ランド」
「嘘吐いたね。どうしたの? また黙ったりしないで、話してよ」
アヤメは「ううん」と首を横に振った。
(これはきっと、ウチの我儘やから)
誤魔化すための嘘を吐く。
「ただちょっと、お腹痛くなってきたなって」
オルランドが「ええ?」と狼狽する。
「大丈夫? 宮廷に帰ろうっ……!」
「大丈夫や、厠へ行けば治るから。この近くにあるから、ちょお行ってくるわ」
とアヤメが残りのキナコ餅を口に入れて立ち上がると、オルランドが「厠?」と突如どきまぎとし始めた。
それを見たアヤメの顔が引き攣る。
「え……何、ちょお、ランド? 天使は厠へ行かないと思ってたとか無しな?」
「や、やだな、流石にそれはもう無いよ。天使も私たちと同じように下から出ることは、ちゃんと5年前に覚えたよ」
「って、ほんの5年前まで思ってたんかい。けどまぁ、今は現実的で良かったわ。ほな、厠行ってくる」
「ああ、待ってアヤメ! 知りたいんだ、教えて!」
アヤメが「何?」と振り返ると、そこにあった恍惚とした顔は「ふふふ」と頬を染めた。
「薔薇の香りか?」
アヤメの口の中に残っていた餅が、「ぶっ」と飛んでいった。
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