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良妻ー6
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――宮廷オルキデーア城の4階にあるアドルフォ・ベラドンナ夫妻の部屋の中。
寝間着姿で、この国には珍しい直毛の髪を櫛で梳かしていたベラドンナ。
ついさっき訪ねて来たベルの言葉を聞くなり、愕然とする。
「嘘でしょ……ワタシがドルフに淹れたお茶って、『いつもの茶・改』だったの!?」
ベルが「スィー」と苦笑すると、ベラドンナが「やーだもう!」と櫛を投げ出して、国王のものにも劣らない大きさのレットに倒れ込んだ。
「そりゃ、毒茶と勘違いされても仕方ないわ。あんなの出すなんて信じらんない、ワタシの馬鹿っ……!」
「でも、誤解が解けて良かったですね」
「ええ……ワタシ、これからもドルフと、それから子供たちのために頑張るわ。やっぱりそういう家事とか得意じゃなかったみたいだけど、楽しかったし、喜んでもらえるとワタシも満足するし。予定外だったけど、父上にも認めてもらえたことだしね」
「そうですね」
とベルから微笑が漏れる。
これからのガリバルディ一家には、安穏とした日々が待っているような気がして。
「ところでドルフ様はご入浴中ですか?」
「ええ、そろそろ上がると思うんだけど」
そこへ噂をすれば何とやら、アドルフォが「着て来たぞ」と言いながら部屋に入ってきた。
なんのことかというと、ベラドンナが刺繍を入れたマッリェッタだった。
「ドルフ様」
「似合うか、ベル?」
「いえ、あの……袖から手が出ていらっしゃらな――」
「わあぁぁぁ!」とベラドンナが赤面しながらベルの言葉を遮った。
「ドルフ脱いでお願い、脱いでっ……ワタシ恥ずかしくて死んじゃうから!」
「しかし、折角だし――」
「いいから、お願いぃぃぃっ!」
とベラドンナがレットから飛び起きてアドルフォに駆け寄り、マッリェッタを剥ぎ取る。
ベルはおかしそうに含み笑いをすると、「おやすみなさいませ」と2人の部屋を後にした。
その後ベラドンナがマッリェッタの袖口を確認して、また赤くなっていった。
「ワタシって、本当にこういうの駄目ね。やっぱり良妻とは言えないわ」
「良妻?」
「妻らしいことがしっかり出来る妻のことよ。後悔しない人生のために、ドルフのために頑張って良妻になろうと思ったの」
「なんだ、それは?」
とアドルフォが短く笑った。
「俺にとって、ベラは最初から良妻だ。こんな俺に一目惚れしてくれた時点で女神だ」
「何よ、『こんな』って。ワタシは一目惚れしたのよ? なんで一目惚れしたと思う? どの男性よりも素敵だったからよ」
そう言ってくれる女は、後にも先にもベラドンナだけだと、アドルフォは思う。
やっぱり何度鏡に自身を映してみても、そこにいるのはバケモノだからだ。
といっても男からは恋文が届いたりするのだが、自身が女だったらという目線で見ると、やっぱりただのバケモノだ。
(対して、俺の妻は何度見ても絶世の美女だ)
真下を見下ろすと、ヒマワリのように明るい笑顔がある。
『人間卒業生』と言われるアドルフォだが、一応は人間の生まれなわけで、そう考えるとベラドンナは、自分とは同じ生き物であることを疑ってしまうくらい繊細な顔の作りをしている。
ずっと見つめていると未だに少し動悸がして、そのバラの花弁を連想させるような唇に、この大きな鰐口で口付けることに躊躇いを覚える。
この美しい唇を傷付けてしまうような、穢してしまうような、そんな恐怖があるからだ。
だからキスをするとき大抵はベラドンナの方からだし、レットに誘うときも似たような理由で、アドルフォから誘うことはあまり無い。
というか、今晩誘おうと思っても、大抵はベラドンナの方から先に誘われる。
ベラドンナは大変分かりやすく、夜部屋に戻って来ると、堂々裸でレットに横たわっている故に。
新婚初夜は裸にリボンを巻いて待っていて、当時17歳だったアドルフォには刺激強すぎて鼻血を盛大に噴射したという、格好悪い思い出がある。
「どうしたの、ドルフ? なんか変な笑顔」
「俺は新婚初夜を無かったことにしてしまいたい」
「鼻血噴いた上に、緊張でかちんこちんだったわよねードルフ」
「し、仕方ないだろう。当時ベラは、俺が母親以外で初めて触れた女だったんだっ……!」
ベラドンナが「ええ」と嬉しそうに笑った。
「今はもうそんなことないけど、抱くのはワタシだけにしてね。子供が出来なくて悩んでたとき、ドルフに側室を考えてたことが信じらんないわ、ワタシ。やっぱり嫌だもの。ワタシのドルフだもの」
と、ベラドンナがアドルフォの首に抱き付いてバーチョする。
アドルフォがベラドンナの白のワンピース型の寝間着を肩から脱がしていくと、ベラドンナが「ふふ」と笑った。
「久々にドルフに脱がしてもらったわ」
「い、いつも脱ぎ済みでいられるからだ……」
「そうね」
アドルフォがベラドンナを抱き上げると、その膝から下がご機嫌そうに揺れた。
ベラドンナはときどき自身を『デカい女』だと言って気にしているが、アドルフォから言わせれば何のこっちゃだった。
こうして抱っこすると子猫のような重さに感じるし、ベルのような小柄な女と比べるとたしかに大きいかもしれないが、やっぱりアドルフォから見た女というのは小さくて華奢な生き物だ。
この愛しい身体を壊してしまわぬよう、常に繊細な力加減で触れている。
レットに辿り着くと、ベラドンナが「さーてと」と言いながら、アドルフォを仰臥させた。
これもいつものことで、アドルフォが興奮して好き勝手に愛撫してしまうと危険ということもあるのだが、ベラドンナがこの方が好きだった。
周りにはバレていないと信じているのだが、受け身なのはアドルフォの方で、いつもベラドンナに好き放題身体を弄くり回されている。
「愛してるわ、ドルフ。いつ見ても素敵な身体ね」
と岩みたいな腕とか、筋肉で巨乳の胸とか、鋼の鎧みたいな腹に、愛おしそうにバーチョされた後、下半身の方を弄ばれる。
ベラドンナはアドルフォの顔を見ながら愛撫するのが好きで、アドルフォの鰐口から漏れる呼吸が熱くなってくると「ふふ」と嬉しそうに笑う。
「気持ちいいの、ドルフ?」
そういう風に訊かれると、顔が熱くなる。
そしてベラドンナが満足した後は、必ずアドルフォの上に乗る。
「よいしょっと」
とベラドンナがアドルフォの上に腰を下ろすと、アドルフォの下半身がとてもあたたかい肉に包まれる。
また、視覚の刺激が激しい。
新婚の頃の15歳のベラドンナもすでに豊かな乳房をしていたが、食欲旺盛だったこともあってかその後どんどん膨らんでいった。
成長期を過ぎた20代になっても膨らみ続け、今では胸回りが優に100cmを超え、この巨人の手も満足する大きさになっている。
脂肪で出来た柔らかい乳房というよりは、張りのある突き出た乳房をしていて、仰向けに寝たって大きく盛り上がっている。
また同様に100cmを超える尻周りもそんな感じで突き出ていて、とにかく『女』の主張が強い身体だった。
ベラドンナ本人は腰回りが太いと気にしているが、それもやっぱりアドルフォから言わせれば何のこっちゃだ。
巨人の両手の中には収まるし、三桁の胸回りと尻周りのあいだにあったら括れて見えるし、大体、下腹部が少し出ているくらいの方が女っぽさを感じた。
その顔だけじゃなく、身体の方だって、アドルフォにとっての絶世の美女だ。
「ねーえ、ドルフ」
とベラドンナが腰を動かすと、乳房が大きく揺れる。
「ジルの次、赤ちゃん出来ないわね。やっぱり奇跡だったのね、ジルを授かったのは」
「もうひとり欲しいのか?」
「欲しいか欲しくないかって言ったら欲しいけど……」
と、ベラドンナが「でも」と笑った。
「ムサシだっているし、満足したわ。ジルはドルフをそのまんま受け継いで生まれて来てくれたし、レオも優秀みたいだし、未来のカプリコルノ国も武力の方は安心ね」
「ああ、そうだな」
「ドルフはもうひとり欲しいの?」
「まぁ、俺も欲しいか欲しくないかって言ったら欲しいんだが……」
「うん?」
「本当は俺は、おまえが居てくれた時点で満足だったんだ。そこにムサシが息子になってくれて、ジルが出来て……幸せ過ぎるくらいの幸せだ。これ以上は無いから、もう求めようがない」
とアドルフォが腕を伸ばして、ベラドンナを胸に抱き締めた。
壊してしまわないように優しく、でも、しっかり。
「ありがとうな、ベラ。俺はおまえが居なかったら、母親が亡くなった後、永遠に孤独だっただろう。俺はマストランジェロ一族の男と違って、あまり口にしないが……本当に愛している、ベラ」
「ええ、ワタシもよ、ドルフ。ワタシ、あなたと出会えてとても幸せよ。愛しているわ、ドルフ」
「……で、ベラ」
「うん?」
「だ……出してもいいか?」
「まだダーメ!」
「くぅっ……!」
――その頃の、同階にあるベルの部屋の中。
「ドルフって、レットの中で受け身でなー」
「なんと……そうでしたか」
女王仕様のふかふかレットの上、フラヴィオが半裸で横たわって頬杖を突き、その傍らでベルがフラヴィオのマッリェッタに刺繍を入れながら雑談していた。
「でもまぁ、その方が安全ではありませんか?」
「そうだな。ドルフが興奮して力加減を間違ったら、ベラに大怪我を負わせてしまうからな。あそこまで怪力で生まれて来てしまうと色々と苦労するな」
「そうですね、とても頼りにはなりますが」
「ベラもよく選んだものよ。女は皆、逃げるのに」
「ドルフ様はとても誠実な男性ですから、見た目がどうであれ、私はベラ様のお気持ちが理解出来ます。まぁ、ベラ様は一目惚れのようでしたが」
「ああ、ドルフは本当に誠実で真面目で、正義に溢れた奴なのだ。だからプリームラ貴族でも、余とフェーデは親友になれたのだ」
「ええ、そうですね」
とベルが刺繍を入れ終わって、「はい、どうぞ」とフラヴィオに手渡した。
ベラドンナがアドルフォのマッリェッタにそうしたように、袖口にとても美しい金糸の刺繍が入れてある。
「おおお、流石アモーレなのだ! 相変わらずの手練の早業だったな、ありがとう。どうせだから着せてくれ」
とフラヴィオが身体を起こすと、承知したベルがその身体にマッリェッタを着せていった。
「似合うか?」
「スィー、とても素敵です」
「そうかそうか。じゃ、脱がしてくれ」
ベルの頬が膨らんだ。
「早過ぎるのですっ」
「酒池肉林王の下半身は忙しいのだ」
「ダーメーでーすっ」
とベルが、フラヴィオの首に両手を回して、自身の膝の上に引き寄せる。
すると「お」と嬉しそうに笑んだフラヴィオが、ベルの膝に頬を摺り寄せた。
ベルが金の髪を撫でてやると、少し鋭い碧眼の目尻を下げて喜ぶ。
「幸せなのだー。余は死ぬときこれで死にたいからな、よろしくな?」
「スィー」
ベルの膝枕で、しばしのあいだゴロゴロと寛いだフラヴィオから、ふと笑顔が薄れていく。
「どうされました、フラヴィオ様?」
「うん……レオーネ陛下は、後どれくらい持つだろうな」
「私には分かり兼ねますが……でも、レオーネ陛下も、王妃陛下も、悔いのないご様子でした」
「そうか」
と、フラヴィオに安堵の表情が浮いた。
「ならば後はレオーネ国をムネに託し、家族に見守れながら、幸せな最期を迎えられるだろうな……――」
※本編49話へ。
寝間着姿で、この国には珍しい直毛の髪を櫛で梳かしていたベラドンナ。
ついさっき訪ねて来たベルの言葉を聞くなり、愕然とする。
「嘘でしょ……ワタシがドルフに淹れたお茶って、『いつもの茶・改』だったの!?」
ベルが「スィー」と苦笑すると、ベラドンナが「やーだもう!」と櫛を投げ出して、国王のものにも劣らない大きさのレットに倒れ込んだ。
「そりゃ、毒茶と勘違いされても仕方ないわ。あんなの出すなんて信じらんない、ワタシの馬鹿っ……!」
「でも、誤解が解けて良かったですね」
「ええ……ワタシ、これからもドルフと、それから子供たちのために頑張るわ。やっぱりそういう家事とか得意じゃなかったみたいだけど、楽しかったし、喜んでもらえるとワタシも満足するし。予定外だったけど、父上にも認めてもらえたことだしね」
「そうですね」
とベルから微笑が漏れる。
これからのガリバルディ一家には、安穏とした日々が待っているような気がして。
「ところでドルフ様はご入浴中ですか?」
「ええ、そろそろ上がると思うんだけど」
そこへ噂をすれば何とやら、アドルフォが「着て来たぞ」と言いながら部屋に入ってきた。
なんのことかというと、ベラドンナが刺繍を入れたマッリェッタだった。
「ドルフ様」
「似合うか、ベル?」
「いえ、あの……袖から手が出ていらっしゃらな――」
「わあぁぁぁ!」とベラドンナが赤面しながらベルの言葉を遮った。
「ドルフ脱いでお願い、脱いでっ……ワタシ恥ずかしくて死んじゃうから!」
「しかし、折角だし――」
「いいから、お願いぃぃぃっ!」
とベラドンナがレットから飛び起きてアドルフォに駆け寄り、マッリェッタを剥ぎ取る。
ベルはおかしそうに含み笑いをすると、「おやすみなさいませ」と2人の部屋を後にした。
その後ベラドンナがマッリェッタの袖口を確認して、また赤くなっていった。
「ワタシって、本当にこういうの駄目ね。やっぱり良妻とは言えないわ」
「良妻?」
「妻らしいことがしっかり出来る妻のことよ。後悔しない人生のために、ドルフのために頑張って良妻になろうと思ったの」
「なんだ、それは?」
とアドルフォが短く笑った。
「俺にとって、ベラは最初から良妻だ。こんな俺に一目惚れしてくれた時点で女神だ」
「何よ、『こんな』って。ワタシは一目惚れしたのよ? なんで一目惚れしたと思う? どの男性よりも素敵だったからよ」
そう言ってくれる女は、後にも先にもベラドンナだけだと、アドルフォは思う。
やっぱり何度鏡に自身を映してみても、そこにいるのはバケモノだからだ。
といっても男からは恋文が届いたりするのだが、自身が女だったらという目線で見ると、やっぱりただのバケモノだ。
(対して、俺の妻は何度見ても絶世の美女だ)
真下を見下ろすと、ヒマワリのように明るい笑顔がある。
『人間卒業生』と言われるアドルフォだが、一応は人間の生まれなわけで、そう考えるとベラドンナは、自分とは同じ生き物であることを疑ってしまうくらい繊細な顔の作りをしている。
ずっと見つめていると未だに少し動悸がして、そのバラの花弁を連想させるような唇に、この大きな鰐口で口付けることに躊躇いを覚える。
この美しい唇を傷付けてしまうような、穢してしまうような、そんな恐怖があるからだ。
だからキスをするとき大抵はベラドンナの方からだし、レットに誘うときも似たような理由で、アドルフォから誘うことはあまり無い。
というか、今晩誘おうと思っても、大抵はベラドンナの方から先に誘われる。
ベラドンナは大変分かりやすく、夜部屋に戻って来ると、堂々裸でレットに横たわっている故に。
新婚初夜は裸にリボンを巻いて待っていて、当時17歳だったアドルフォには刺激強すぎて鼻血を盛大に噴射したという、格好悪い思い出がある。
「どうしたの、ドルフ? なんか変な笑顔」
「俺は新婚初夜を無かったことにしてしまいたい」
「鼻血噴いた上に、緊張でかちんこちんだったわよねードルフ」
「し、仕方ないだろう。当時ベラは、俺が母親以外で初めて触れた女だったんだっ……!」
ベラドンナが「ええ」と嬉しそうに笑った。
「今はもうそんなことないけど、抱くのはワタシだけにしてね。子供が出来なくて悩んでたとき、ドルフに側室を考えてたことが信じらんないわ、ワタシ。やっぱり嫌だもの。ワタシのドルフだもの」
と、ベラドンナがアドルフォの首に抱き付いてバーチョする。
アドルフォがベラドンナの白のワンピース型の寝間着を肩から脱がしていくと、ベラドンナが「ふふ」と笑った。
「久々にドルフに脱がしてもらったわ」
「い、いつも脱ぎ済みでいられるからだ……」
「そうね」
アドルフォがベラドンナを抱き上げると、その膝から下がご機嫌そうに揺れた。
ベラドンナはときどき自身を『デカい女』だと言って気にしているが、アドルフォから言わせれば何のこっちゃだった。
こうして抱っこすると子猫のような重さに感じるし、ベルのような小柄な女と比べるとたしかに大きいかもしれないが、やっぱりアドルフォから見た女というのは小さくて華奢な生き物だ。
この愛しい身体を壊してしまわぬよう、常に繊細な力加減で触れている。
レットに辿り着くと、ベラドンナが「さーてと」と言いながら、アドルフォを仰臥させた。
これもいつものことで、アドルフォが興奮して好き勝手に愛撫してしまうと危険ということもあるのだが、ベラドンナがこの方が好きだった。
周りにはバレていないと信じているのだが、受け身なのはアドルフォの方で、いつもベラドンナに好き放題身体を弄くり回されている。
「愛してるわ、ドルフ。いつ見ても素敵な身体ね」
と岩みたいな腕とか、筋肉で巨乳の胸とか、鋼の鎧みたいな腹に、愛おしそうにバーチョされた後、下半身の方を弄ばれる。
ベラドンナはアドルフォの顔を見ながら愛撫するのが好きで、アドルフォの鰐口から漏れる呼吸が熱くなってくると「ふふ」と嬉しそうに笑う。
「気持ちいいの、ドルフ?」
そういう風に訊かれると、顔が熱くなる。
そしてベラドンナが満足した後は、必ずアドルフォの上に乗る。
「よいしょっと」
とベラドンナがアドルフォの上に腰を下ろすと、アドルフォの下半身がとてもあたたかい肉に包まれる。
また、視覚の刺激が激しい。
新婚の頃の15歳のベラドンナもすでに豊かな乳房をしていたが、食欲旺盛だったこともあってかその後どんどん膨らんでいった。
成長期を過ぎた20代になっても膨らみ続け、今では胸回りが優に100cmを超え、この巨人の手も満足する大きさになっている。
脂肪で出来た柔らかい乳房というよりは、張りのある突き出た乳房をしていて、仰向けに寝たって大きく盛り上がっている。
また同様に100cmを超える尻周りもそんな感じで突き出ていて、とにかく『女』の主張が強い身体だった。
ベラドンナ本人は腰回りが太いと気にしているが、それもやっぱりアドルフォから言わせれば何のこっちゃだ。
巨人の両手の中には収まるし、三桁の胸回りと尻周りのあいだにあったら括れて見えるし、大体、下腹部が少し出ているくらいの方が女っぽさを感じた。
その顔だけじゃなく、身体の方だって、アドルフォにとっての絶世の美女だ。
「ねーえ、ドルフ」
とベラドンナが腰を動かすと、乳房が大きく揺れる。
「ジルの次、赤ちゃん出来ないわね。やっぱり奇跡だったのね、ジルを授かったのは」
「もうひとり欲しいのか?」
「欲しいか欲しくないかって言ったら欲しいけど……」
と、ベラドンナが「でも」と笑った。
「ムサシだっているし、満足したわ。ジルはドルフをそのまんま受け継いで生まれて来てくれたし、レオも優秀みたいだし、未来のカプリコルノ国も武力の方は安心ね」
「ああ、そうだな」
「ドルフはもうひとり欲しいの?」
「まぁ、俺も欲しいか欲しくないかって言ったら欲しいんだが……」
「うん?」
「本当は俺は、おまえが居てくれた時点で満足だったんだ。そこにムサシが息子になってくれて、ジルが出来て……幸せ過ぎるくらいの幸せだ。これ以上は無いから、もう求めようがない」
とアドルフォが腕を伸ばして、ベラドンナを胸に抱き締めた。
壊してしまわないように優しく、でも、しっかり。
「ありがとうな、ベラ。俺はおまえが居なかったら、母親が亡くなった後、永遠に孤独だっただろう。俺はマストランジェロ一族の男と違って、あまり口にしないが……本当に愛している、ベラ」
「ええ、ワタシもよ、ドルフ。ワタシ、あなたと出会えてとても幸せよ。愛しているわ、ドルフ」
「……で、ベラ」
「うん?」
「だ……出してもいいか?」
「まだダーメ!」
「くぅっ……!」
――その頃の、同階にあるベルの部屋の中。
「ドルフって、レットの中で受け身でなー」
「なんと……そうでしたか」
女王仕様のふかふかレットの上、フラヴィオが半裸で横たわって頬杖を突き、その傍らでベルがフラヴィオのマッリェッタに刺繍を入れながら雑談していた。
「でもまぁ、その方が安全ではありませんか?」
「そうだな。ドルフが興奮して力加減を間違ったら、ベラに大怪我を負わせてしまうからな。あそこまで怪力で生まれて来てしまうと色々と苦労するな」
「そうですね、とても頼りにはなりますが」
「ベラもよく選んだものよ。女は皆、逃げるのに」
「ドルフ様はとても誠実な男性ですから、見た目がどうであれ、私はベラ様のお気持ちが理解出来ます。まぁ、ベラ様は一目惚れのようでしたが」
「ああ、ドルフは本当に誠実で真面目で、正義に溢れた奴なのだ。だからプリームラ貴族でも、余とフェーデは親友になれたのだ」
「ええ、そうですね」
とベルが刺繍を入れ終わって、「はい、どうぞ」とフラヴィオに手渡した。
ベラドンナがアドルフォのマッリェッタにそうしたように、袖口にとても美しい金糸の刺繍が入れてある。
「おおお、流石アモーレなのだ! 相変わらずの手練の早業だったな、ありがとう。どうせだから着せてくれ」
とフラヴィオが身体を起こすと、承知したベルがその身体にマッリェッタを着せていった。
「似合うか?」
「スィー、とても素敵です」
「そうかそうか。じゃ、脱がしてくれ」
ベルの頬が膨らんだ。
「早過ぎるのですっ」
「酒池肉林王の下半身は忙しいのだ」
「ダーメーでーすっ」
とベルが、フラヴィオの首に両手を回して、自身の膝の上に引き寄せる。
すると「お」と嬉しそうに笑んだフラヴィオが、ベルの膝に頬を摺り寄せた。
ベルが金の髪を撫でてやると、少し鋭い碧眼の目尻を下げて喜ぶ。
「幸せなのだー。余は死ぬときこれで死にたいからな、よろしくな?」
「スィー」
ベルの膝枕で、しばしのあいだゴロゴロと寛いだフラヴィオから、ふと笑顔が薄れていく。
「どうされました、フラヴィオ様?」
「うん……レオーネ陛下は、後どれくらい持つだろうな」
「私には分かり兼ねますが……でも、レオーネ陛下も、王妃陛下も、悔いのないご様子でした」
「そうか」
と、フラヴィオに安堵の表情が浮いた。
「ならば後はレオーネ国をムネに託し、家族に見守れながら、幸せな最期を迎えられるだろうな……――」
※本編49話へ。
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