酒池肉林王と7番目の天使~番外編集~

日向かなた

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バケモノ 後編(本編49.5話ー2)

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 ――カプリコルノ国。

 レオナルドが王都オルキデーアで祝福パラータを終え、宮廷の裏庭に作られた宴会会場に向かうと、招待客たちが席に着いて待っていた。

 笑顔と拍手に迎えられながら、パラータの護衛に付いてくれた父フェデリコ(今年で37歳)の顔を見上げる。

「父上、今日はサジッターリオ国からハーゲンさんも来てくれるんですよね?」

「ああ、コラードとリナルドがそんなことを言っていた。そのサジッターリオはまだ来ていないみたいだが、そろそろ来るだろう」

 と父に手を引かれ、レオナルドが他よりも一段高く出来ている主役の席に着く。

 父はレオナルドの前に膝を突いて視線の高さを合わせると、感慨深そうにレオナルドの深い金色の髪を撫でた。

「レオとジルも、もう4つか。早いものだ」

 目前に、父の優しい微笑が現れた。

「良いか、レオ。おまえは賢く、強く、何をやらせても優秀な子だ。そして虫一匹殺せないほどに、とてもとても優しい子だ。おまえは本当に、良い子だ」

 レオナルドが「スィー」と笑顔を見せた手前、父の顔が「でも」の言葉と共に、少し厳しくなった。

「マストランジェロ一族の男は、時に厳しくあらねばならないときもある。国や国民――特にか弱い女子供や老人を守るためにだ。女子供や老人というのは本当にか弱いぞ。将来おまえが掠り傷程度で済むことでも大怪我を負い、最悪の場合は命を落としてしまうことだってある。それをマストランジェロ一族の男は代々力で守ってきたが、おまえは一族の中でも特に強く生まれて来た。兄上や私の力をそのまま受け継いだようで、それ以上かもしれないとも思う。これはおまえを叱っているんじゃない。でも、分かっているなレオ」

 父の言葉を聞いているうちに、レオナルドの榛色の瞳に涙が浮かんでいく。

 今日こうして初めて言われているのではなく、常日頃から言い聞かされているから、父のその先の言葉が予想できた。

 父に言う通り、叱られているわけでは無いのは分かっているが、レオナルドにとって聞くのが怖い話だった。

「おまえは将来、オルキデーア軍の元帥だ。同様に確実にプリームラ軍の元帥となるだろうジルと共に、いざというときは戦場の前線に立たなければならない。襲ってくる敵から、国や国民を守らなければならない。それがおまえの使命だ。やらなければやられてしまい、守るべきものを守れなくなってしまう。おまえは守るために武を振るうんだ。勇気を持て、レオ」

 レオナルドがどうしても『スィー』の返事が出来ないまま涙を落としていると、ふとコラードの声が聞こえてきた。

「上手く行かないもんだな」

 親子が振り返ると、そこにテンテンが迎えに行ったサジッターリオ国一同がいる。

「オレと身体交換してくれよ、レオ。ああ、いやいや、ウソウソ。まだ早い、流石にまだオレの方が強い」

「どうした、コラード」

 とフェデリコが問うと、コラードは「いえ、何でも」と返し、シャルロッテを連れてカプリコルノ一同がいる円卓の方へと向かって行った。

「本当に上手く行かないもんだよな」

 とリナルドがレオナルドの頭を撫でながら、溜め息を吐く。

「レオ、私も『力の王』・『力の王弟』の力をそれなりに受け継いだけど、おまえが羨ましいよ。でもおまえは、強く生まれて来たことを喜んでないんだろうな。トーレみたいにか弱く生まれて来ていたら、戦場に立たされないで済んだかもしれないし」

「いや、トーレはまだか弱いと決まったわけではないが……どうした、リナルドまで」

「いえ、何でも、父上」

 とコラードと同じ台詞を返し、リナルドもマヤの肩を抱いてカプリコルノ一同の円卓へと向かって行く。

 サジッターリオ国の第二王女のエーベル(14歳)も、駆け寄ってきた婚約者――カプリコルノ国第三王子レンツォ(12歳)に手を引かれて、そちらへと向かって行った。

 残されたハーゲンは泣いているレオナルドを見てしばしのあいだオロオロとした後、「そうだ!」とヴィオリーノを構える。

「お誕生日おめでとうございます、レオナルド様。どのような曲をお聴きになりたいですか? このハーゲンが、レオナルド様の仰せのままに奏でましょう」

「ありがとうございます、ハーゲンさん。じゃあ……」

 レオナルドが要望を出すと、宴会会場にハーゲンのヴィオリーノの音色が鳴り渡っていく。

 レオナルドが泣き止み、それまで雑談していた招待客が聴き入る中、使用人たちが料理を運んでくる。

 一曲終わったところでレオナルドが招待客に向けて挨拶をすると、宴会が始まった。

 フェデリコがコラードとリナルドの顔を交互に見た後、右隣に座っているフラヴィオ(今年で38歳)に耳打ちする。

「兄上、コラードとリナルドの様子が少しおかしいのですが」

 フラヴィオが「うん?」とその2人を見る。

 どちらも食欲の無い様子で、銀の杯を傾けていた。

 シャルロッテも気付いていたようで、2人に「どうかしたの?」と問う。

 でも2人は首を横に振るだけだった。

「マストランジェロ一族の男は食べることも仕事だぞ。腹が減っては戦は出来ぬし、どんなに鍛錬を積んでも食べなければ強くなれぬ」

 とフラヴィオが言うと、はっとしながら「スィー」と返した2人が食事を始める。

 さらにコラードが、長い腕を椅子の後ろから伸ばし、シャルロッテ・リナルド・マヤの3人を挟んだ向こうにいるレンツォの後頭部を、「おい」と軽く叩いた。

 エーベルと楽しく会話をしていたレンツォが、「わっ」と驚いて2番目の兄の顔を見ると、陽気なその性格には不似合いな表情があった。

「喋ってばっかいないで食え、レンツォ。食い終わったら武術の鍛錬だ」

「え? でもコラード兄上、今日は――」

「早くしろ」

 と催促されると、レンツォが慌てて「スィー」と従った。

「本当にどうしたのよ、コラード?」

 とシャルロッテが問うと、コラードがいつもの明るい笑顔を返した。

「何でもないよ、ロッテ。鍛錬したい気分なだけ。夜遅くまでしたいから、今日はこっちに泊ってもいい?」

「それは構わないけど……本当にどうしたの? 何か変よ」

 コラードがまた「何でもないよ」と返して、食事を口に詰め込んでいく。

 心配そうに紫色の瞳を揺れ動かしたシャルロッテがフラヴィオを見ると、それは黙って頷いた。





 ――宮廷オルキデーア城の裏庭から酔っ払いの笑声や談笑が聞こえてくる中、板金鎧を装備し、練習用の刃の付いていない武器片手に『中の中庭』へとやって来たコラードとリナルド、レンツォ。

 2人に半ば強引に連れて来られたレンツォが、乾いた金属音を響かせている2人を見ながら疑問を口にする。

「あの、コラード兄上、レンツォさん、どうかしたんですか? 誰かの誕生日はいつも鍛錬休みなのに」

 2人の耳にはまるで聞こえていないようだった。

 互いに激しく剣戟を交わし、コラードの方が力量が勝っていることから、徐々にリナルドが押されていく。

 返答が無くてレンツォが困っていると、フラヴィオとフェデリコが板金鎧の下に装備する布鎧姿でやって来た。

「おまえたち、何だか鬼気迫るものがあるな。余とフェーデが相手してやるぞ」

 コラードとリナルドの剣戟が止んだ。

「……何ですか、その格好」

 コラードの声に怒りが滲んでいた。

「オレたち相手じゃ負ける気がしないから、板金鎧を装備するまでもないってことですか」

「いや、装備するのが面倒だっただけだ。ずいぶん機嫌が悪いな、コラード。どうしたのだ? 父上に言ってみるのだ」

「オレたちの相手は結構です。どうぞ宴に戻ってください」

「駄目だ、おまえが何か悩んでいるのは明らかだ。ほら、早く父上に何があったのか話してみ――」

「うるさいな! 邪魔だからあっち行ってくださいよ!」

「うん?」

 10秒でボコボコにされたコラードが、フラヴィオの足元に倒れ込む。

「おまえ、誰に口を利いている?」

「偉大な『力の王』っす、父上っす。すみませんでした」

「まったく……」

 とフラヴィオは溜め息を着くと、コラードの手を引っ張って起こした。

 その兜の面貌を上げると、フラヴィオ・フェデリコ兄弟よりもすっかり視線の高さが上にある。

 明るい茶色の瞳は、天真爛漫な性格を表すように爛々としていることが多いのだが、今は酷く沈んでいた。

「で、どうしたのだ?」

 と、今度こそ素直に話してくれるだろうと思いながら問うたフラヴィオだったが、兜の中の顔が不貞腐れていった。

「話したところで、『力の王』にも『力の王弟』にも理解出来ないことです」

「そうです」

 とリナルドも続いて、同じ表情になる。

「分かるかもしれないだろう。とりあえず話してみるのだ」

「じゃあ、父上、フェーデ叔父上」

 とコラードが、その2人の顔を交互に見た。

「自分では明らかに敵わないと分かる敵に遭遇したことはありますか?」

「は?」

 とフラヴィオとフェデリコの間の抜けた声が揃うと、今度はコラードとリナルドが刺々しく「ほら」と言った。

 フラヴィオとフェデリコの眉間にシワが寄っていく。

「ほらって何だ、おまえたち。そんなもの、余が18歳、フェーデが17歳のときに遭遇しているぞ。さらにそいつは、今でもずっと余とフェーデの傍にいる」

 コラードとリナルドが「え?」と、きょとんとすること数秒間。

「あ」と思い出した。

「そうだ、カプリコルノのバケモノ――いやいや、ドルフ叔父上は最初敵国の将軍だったんだっけ」

「すっかり忘れてました。プリームラ国が存在してたのって、私たちが生まれる前のことだし」

 フラヴィオとフェデリコが顔を見合わせて、苦々しい表情になっていった。

「思い出しますね、兄上。ドルフを初めてこの目で見たときの、あの衝撃」

「ああ。上には上がいるのだと思い知らされた。プリームラ国王に苦しめられるプリームラ国民を助けなければならない、でも、余とフェーデがもし負けてしまったら、オルキデーア国民までもがプリームラ国王に苦しめられることになるで、とにかく焦った焦った。負けてしまったら、当時余が一番守りたかった女神――妻ヴィットーリアの命も危なかったしな」

 フラヴィオがそう言い終わるか終わらないかのうちに、コラードが声高に「教えてください」と言った。

「もしドルフ叔父上が善良じゃなくて悪者で、オルキデーアに寝返ってくれてなかったら……敵のままだったら、どうしてましたか?」

 フラヴィオとフェデリコが黙ってコラードを見つめていると、それはもう一度「教えてください」と言って頭を下げる。

 そしてようやく、心の内を打ち明けてくれた。

「父上、叔父上……オレ、重圧に潰されそうだ。いざというとき、オレの女神ロッテや、天使たち――娘たち、国民を守れるかどうか分からなくなりました」

 リナルドが「私もです」と呟いた。

 レンツォが困惑して2人の顔を見る。

「コラード兄上、リナルドさん、どういうことですか? 何かあったんですか? コラード兄上もリナルドさんも、ボクよりずっとずっと強いのに……特にコラード兄上は『サジッターリオ国の力の王』だと思ってたのに。もっと強い人がいたってこと? そんなまさか」

 フラヴィオがレンツォの頭を撫でながら、再び口を開いた。

「コラード、リナルド。それから、3年後にサジッターリオに行くレンツォ」

 3人の「スィー」が揃った。

「そういうときは、言うまでもなく、まずは女王――コラードの女神シャルロッテを安全な場所に避難させろ。コラードの天使たち――王太女マヤと第二王女エーベルも一緒にだ」

 フェデリコが続く。

「それが済んだら、将兵以外の国民の避難だ。まずはか弱い女子供や年寄り、病人・怪我人からだ」

「そしておまえたちは、言われるまでもなく戦うだろう。敵わないかもしれないと思っていても、勇敢に、必死に戦うだろう。それでこそマストランジェロ一族の男だ。だが、それでもやはり守るべきものを守ることが出来そうにないと判断したその時は……」

 と、フラヴィオの碧眼がコラードの顔を捕える。

「余を頼れ。以前も言ったが、余やフェーデ、ドルフを頼るのだ。それを恥だと思うな、コラード。マストランジェロ一族の男は、大切なものを守れなかった時が一番後悔するぞ」

「スィー……父上」

 その返事を聞いた後、フェデリコが問う。

「その前にだ、コラード、リナルド。サジッターリオ国に強大な敵でも現れたのか?」

 顔を見合わせた2人が「いえ」と答えると、フラヴィオとフェデリコが脱力していった。

「なんだ、そうなのか? 余はおまえたちに強い敵が現れたのかと思って話してたぞ。海賊とか、大陸にある国が攻めて来たとか」

「いえ、敵……では、無いです」

 とリナルドが確認するようにコラードの顔を見ると、それはうんと頷いた。

「敵ではないです……今のところ。さっきハーゲンを迎えに行ったときに、バケモノみたいなピピストレッロを見て……」

 フラヴィオとフェデリコが「ピピストレッロ?」と鸚鵡返しにした。

「ならばそれは、敵に回さないことが最善の策だろう。彼らはこっちが手を出さなければ、おとなしいモストロなのだから」

「そうだぞ、おまえたち。守るべきものを守るためには、彼らに危害を加えないことが一番だ」

「そ、それはオレも分かってたつもりだったんですが、あのバケモノを見たら、急に不安になったって言うか……」

 とコラードが言うと、フラヴィオが「まあな」と同意した。

「余とフェーデも初めてアドルフォバケモノを見たときはそうだったし、おまえたちも今そんな感じなのだろうな」

「でも、あのときのドルフは敵だったが、おまえたちはそうではないのだから、彼らとは今の関係を維持する努力をすべきだ。まぁ、マストランジェロ一族の男らしく、守るべきもののために強くなろうとしたことは殊勝だがな」

 とフェデリコがコラードとリナルド、レンツォの顔を見見回して「宴に戻るか?」と問うと、それらは首を横に振った。

「とりあえず安心しましたが……でもやっぱり、オレは『サジッターリオ国の力の王』としてなるべく強くならないと。父上、叔父上、ご指導ご鞭撻をお願いします」

 とコラードが頭を下げると、リナルドとレンツォも続いた。

 フラヴィオはフェデリコと顔を見合わせると、「よし」と気合の入った声を出しながら抜剣した。

「では、いつもより厳しく行くとしよう。ハイ、剣戟の鍛錬はじめっ!」


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