8 / 13
第8話
しおりを挟む
「あ~ぁ……。ここまでまともなご飯が出てこないなんて、思ってもみなかったわ~。」
ほぼ味の無いスープを数口だけ飲み、私は深い溜め息を吐いた。
パンは問答無用で食べれる気がしなかったし、スープに至っては……一口二口飲んだだけでギブアップした。
殆ど味の無いただのお湯の様なスープを口にする事が、こんなにも苦行だとは思いもよらなかったわ……。
こうして私は何もない牢屋で食事らしい食事もとれないまま数日を過ごしていた。
「あぁ~、暇。暇だわ~。そしてお腹が空いた………。」
結局、何か本ぐらいでも持ってきてもらおうと思っていたが、ここには私の読める本は一冊も置いていなかった。
目に付くひと付くひと全員に声を掛けたが、敵対心から私に向かって暴言を吐くヤツやら、初日に出会ったヴァンパイアみたいに私を食料として見做しているんじゃないかと思われるヤツやら、魔王様の素晴らしさを説いてコンコンと説教しだすヤツから……そんなのばっかりで、まともに話しができたのは一人だけだった。
とはいえ、私の食べれる食料も本もどちらも手に入れることは叶わなかったのであった。
「人間とは生活も食べる物も違うとはいえ、流石にもう少し何かあると思ったんだけどな~ぁ。このままだと勇者様が助けに来る前に私、餓死してしまいそうだわ~。」
もう限界だと言わんばかりに、私のお腹はグゥグゥと叫んでいた。
「もうここから抜け出して自分で食べ物を探しに行こうかしら……。」
と、その時―――!
「オイッ、知ってるか? 昨日、あの姫を助けにか人間の男がやってきたみたいだが……どうやら門番に捕まったそうだぞ。ケケッ! 人間ってもんは弱っちぃな。」
「オォ! それなら魔王様の自室に連れて行かれるのを見たぞ。」
「んっ? どういうことだ? 門番に捕まったなら追い出されたか、殺されでもしてるのだろうと思っていたが……。」
その声の主たちの姿は見えないが、私を助けに来たと思しき誰かが魔王城まで来たという話をする声が小さく聞こえたのだった。
でも、捕まって魔王様の所に連れて行かれたということは……勇者ではないはね。
「私の待ち焦がれる『勇者様』は、もっと強い方のはずですものねっ。」
そうは言っても聞こえてきた話の続きが気になり、耳をそばだててみた。
「それが血や魔力を食料とするヤツらの為に最初は食料にするはずだったらしいが……地下牢に連れて行くすがらチラっとその人間を見たあの魔王様が何故か気に入っちまってなぁ。ならばと献上することになったんだと。」
「ほ~ぉ。」
「あの人間も今頃は………ケケケッ!」
ほぼ味の無いスープを数口だけ飲み、私は深い溜め息を吐いた。
パンは問答無用で食べれる気がしなかったし、スープに至っては……一口二口飲んだだけでギブアップした。
殆ど味の無いただのお湯の様なスープを口にする事が、こんなにも苦行だとは思いもよらなかったわ……。
こうして私は何もない牢屋で食事らしい食事もとれないまま数日を過ごしていた。
「あぁ~、暇。暇だわ~。そしてお腹が空いた………。」
結局、何か本ぐらいでも持ってきてもらおうと思っていたが、ここには私の読める本は一冊も置いていなかった。
目に付くひと付くひと全員に声を掛けたが、敵対心から私に向かって暴言を吐くヤツやら、初日に出会ったヴァンパイアみたいに私を食料として見做しているんじゃないかと思われるヤツやら、魔王様の素晴らしさを説いてコンコンと説教しだすヤツから……そんなのばっかりで、まともに話しができたのは一人だけだった。
とはいえ、私の食べれる食料も本もどちらも手に入れることは叶わなかったのであった。
「人間とは生活も食べる物も違うとはいえ、流石にもう少し何かあると思ったんだけどな~ぁ。このままだと勇者様が助けに来る前に私、餓死してしまいそうだわ~。」
もう限界だと言わんばかりに、私のお腹はグゥグゥと叫んでいた。
「もうここから抜け出して自分で食べ物を探しに行こうかしら……。」
と、その時―――!
「オイッ、知ってるか? 昨日、あの姫を助けにか人間の男がやってきたみたいだが……どうやら門番に捕まったそうだぞ。ケケッ! 人間ってもんは弱っちぃな。」
「オォ! それなら魔王様の自室に連れて行かれるのを見たぞ。」
「んっ? どういうことだ? 門番に捕まったなら追い出されたか、殺されでもしてるのだろうと思っていたが……。」
その声の主たちの姿は見えないが、私を助けに来たと思しき誰かが魔王城まで来たという話をする声が小さく聞こえたのだった。
でも、捕まって魔王様の所に連れて行かれたということは……勇者ではないはね。
「私の待ち焦がれる『勇者様』は、もっと強い方のはずですものねっ。」
そうは言っても聞こえてきた話の続きが気になり、耳をそばだててみた。
「それが血や魔力を食料とするヤツらの為に最初は食料にするはずだったらしいが……地下牢に連れて行くすがらチラっとその人間を見たあの魔王様が何故か気に入っちまってなぁ。ならばと献上することになったんだと。」
「ほ~ぉ。」
「あの人間も今頃は………ケケケッ!」
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない
百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。
幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。
※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
離婚した彼女は死ぬことにした
はるかわ 美穂
恋愛
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。
もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。
今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、
「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」
返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。
それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。
神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。
大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる