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第五章 コウノトリと受胎告知
第百七十二話 甘いひととき**R18でぇす**(ハロウィンネタⅢ)
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「ほう? 最後まで……」
揶揄うようなシリウスの声に、セレスティナはさらに羞恥を覚える。
「奇遇だな。わたしもだ」
とさりとテーブルの上に押し倒されて、ピンクのウサギ耳がふわりと揺れる。セレスティナは心底慌てた。目の前には笑んでいるシリウスの端正な顔がある。片眼鏡をかけた白銀の髪の天使様だ。空の色を映したような青い瞳が綺麗で、思わず見とれそうになったけれど……
駄目よ、駄目! この温室は硝子張りだから外から見えるわ!
「あ、あの、だから!」
「これでどうだ?」
ピピピと例の魔道具を操る音がしたかと思うと、ふっと暗くなった。硝子張りだった温室が光を通さなくなり、まるで夜のようになったのだ。それも満天の星空である。キラキラと輝く星屑に囲まれ、素晴らしい演出だった。
「これ……」
「プラネタリウムだ。気に入ったか?」
「ええ、凄いわ。シリウスの作品?」
「そう。お気に入りの温室から夜空を見たいと言ったから、少々手を加えた」
本物の星空と見紛う素晴らしさだ。
「素敵……」
セレスティナがほうっと満天の星空に見とれたのもつかの間、痺れるような快感が下腹部に走り、こらえようのない甘い声が漏れ出た。シリウスの手がショーツの中に潜り込み、下腹部を愛撫しているのである。身に着けているレースの下着は、衣装に付属していたものだ。紐を引っ張ればするりと取れてしまう……その事実にさらに羞恥を煽られる。
シリウスに思わずぎゅうっと抱きつけば、筋肉に覆われた体はいつだって逞しい。ミントの香りと彼の息づかいが間近で感じられ、くらくらする。
「ティナ、もう少し甘えてごらん?」
「甘え、る?」
「そう、もっと私にしがみ付いて、強請るように足を広げて……ああ、それでいい」
ずぷりとシリウスの指が、熱く潤った秘部に入ってくるのが分かる。漏れ出る声はシリウスの口付けに阻まれた。ちゅくちゅくという水音は濃厚な口付けからだけではなく、艶めかしく動くシリウスの指先からも聞こえてくる。
キラキラ輝く満天の星空は無音だ。温室なので葉の揺れる音もなく、心音が聞こえそうなほど静まりかえっているから、なおいっそう淫靡な水音が響いて恥ずかしい。
「そろそろどうだ? 欲しいか?」
シリウスの熱い息が耳にかかり、意識が千々に乱れる。見せびらかすようにシリウスが手をかざし、死ぬほど恥ずかしい。なにせ、彼の長い指先には、とろりとした粘液がまとわりついている。堅く目を瞑ったけれど、シリウスは逃がしてはくれなかった。
「ティナ? ほら、きちんと欲しいと強請らないと……」
身を起こしたシリウスに、するりと下着を剥ぎ取られたからたまらない。足を閉じようとしたけれど駄目だった。大きく広げた足はがっちりと押さえられ、蕩けきった秘部はシリウスの目にさらされている。
や、見ないで……
羞恥心でどうにかなりそうだった。
大きく広げた足の間に堅い何かが押し当てられる。その何かがぬらぬらと足の間を往復し始め、その刺激で泣きそうになった。あ……体が、熱い……ずるりぬるりとこすられる感触がさらに快感を煽って止まず、ひくりひくりと秘部が震えた。熱く潤った花弁は完全に開ききっていて、溢れ出した蜜がしたたっている。
ああ、駄、目……もう……
恥ずかしくてたまらないのに、欲しくて欲しくてどうしようもない。
「シリウス、お願い……来、て?」
熱を孕んだ瞳で、セレスティナが涙ながらに訴えれば、それでいいというようにシリウスの口角が上がる。悪魔的な、それでいてぞくりとするほど魅力的な笑みだ。みちりと押し当てられた堅い肉棒がずぶぬぷと濡れた秘部に進入し、セレスティナの背が反り返った。
「あ、あぁ!」
溢れ出た蜜がセレスティナの太ももを伝い下り、足ががくがくと痙攣する。毎度のことだが、入れられただけで、意識が飛びそうになるほどの快楽だ。ぬちゅぬちゅと抜き差しが開始されれば、甘い声が間断なく漏れる。
シリウス、シリウス、あ……
「く、ふふ……ああ、本当に可愛いな」
乱れる自分の姿を、シリウスに見下ろされていると思うと、なお恥ずかしかった。ケーキのような可愛らしい衣装は、今や淫らな自分の姿をいっそう際立たせているだろう。見ないで欲しいと思うも、どうしようもない。ティナと呼ぶシリウスの熱い囁きで体がびくりと跳ねた。半開きになった口に彼の熱い舌がずるりと侵入し、口内を刺激して止まない。
ちゅ……くちゅり……くちゅ……
「シリウ、ス……」
ほんの少し唇が離れれば、呼んでしまうのは彼の名である。狂おしいほどに愛おしい。
「ティナ、もう一度だ」
もう一度……
「シリウス?」
「そうだ。ああ、ティナ、ティナ、私のティナ……」
最奥を激しく突かれつつ、くりくりと堅くなった胸の突起を刺激され、たまらず体の中の熱が爆ぜた。ビクビクと体が震えシリウスの物を締め付けても、彼の動きは止まらない。くたりと体から力が抜けても、体の中心を穿つ熱は最奥を激しく押し上げ、間断なく続く刺激で、セレスティナの体が再度熱を持つ。
あ……や……あぁん……
くちゅくちゅと耳朶を打つ水音が、恥ずかしくて仕方がない。どれだけ感じているのか丸わかりだ。「いいか?」なんて聞かれても答えようがない。唇をきゅっと噛み、嫌々をするように首を横に振ると、宥めるように指先にキスが落とされる。
その仕草に胸がじんっと熱くなる。きっと顔は真っ赤だ。
水音がさらに激しくなり、セレスティナの背が反り返る。シリウスの一物を舐めるように締め上げ、子種を強請ったが、彼の強ばりはまだ取れない。ティナ、ティナと呼ぶ声は熱く、ずぷりぬぷりとゆっくりと出し入れされれば、やはり反応してしまう。
ピンっと指先で乳房の突起を弾かれ、びくりとセレスティナの体が震えた。乳房を口に含んだ彼の舌の動きはぬらぬらと艶めかしい。
シリウス、好き……
もっともっとして?
そんな思考が脳裏をかすめ、セレスティナは羞恥に頬を染めた。
駄目よ、はしたない。もっとなんて……
口にするのを我慢するように、セレスティナは自身の指をきゅっと噛みしめた。実際は酔っ払った時、こういった思考はダダ漏れなのだが、セレスティナはそれを知らない。そして、こういったおねだりをシリウスが喜ぶということも。
シリウスが達したのはセレスティナが三度達した後であった。ずっしりと大きな彼の体の重みを感じれば、愛おしさが込み上げる。「私のティナ」と囁くシリウスの声が熱い。
シリウス、好き……
セレスティナの素肌にシリウスの唇が触れる。愛を囁くよう。そこここに施されるシリウスのキスが優しくて嬉しくて、泣いてしまいそうだった。好きという言葉をどれだけ重ねれば、自分の思いと同じになるのだろう? セレスティナはそんなことをぼんやりと考える。
――公爵様はとっても素敵よね。
そんな言葉が周囲から漏れ聞こえれば、心の中で同意するけれど、素敵という言葉では足りないわ、セレスティナはそんな風にも思う。あの眼差しも微笑みも自分をとらえて放さないけれど、彼が魔道具を設計する姿はいつだって心が躍る。神秘を形にする設計者がシリウスだ。
――明日は大雪……わざわざ伝える内容か!
シリウスは独り言が多い。研究室に二人でいたこの時もそう。憤慨する彼に笑いかけた。
――あら、天気が分かるのなら、助かる人が多そうよ?
――隣国の北陵地だぞ?
セレスティナは目をぱちくりさせた。
――そんなところの気候を誰が知らせてきたの?
――神。
――え?
――あの、ぐーたら創造神だ! おしゃべりが大好きなんだが、こちらが必要そうな情報は一切よこさない! なんなのだ、あれは! しゃべりたいのなら、他の奴と話せ! ああ、ティナ。君は聞かなくていい。煩いだけだ。
聞かなくていいもなにも創造神の声など聞いた事がない。
セレスティナがぽつりとそう言うと、シリウスが怪訝そうに言う。
――声? あれの通信手段は言葉じゃない。
――言葉じゃない?
――感覚だ。精緻な波動で魂を直接揺さぶるから、どんな奴に話しかけても通じる。相手が人間でも動物でも昆虫でもあれの意志は伝わる。あえて言うなら万能語とでも言えばいいか?
万能語……
――素敵ね。一度聞いてみたいわ。
そう言ってシリウスにもたれかかれば、ずしりと体に響くような声が聞こえた。いえ、多分、シリウスが言うように感覚だったんだわ。魂の中心から湧き上がるような感覚……それを私が声として認識してしまっただけで。
――いつだって話しかけている。
はっとなって目を見開いた。シリウスを見上げれば彼は難しい顔だ。シリウスにも聞こえたの?
――そうだな。小姑みたいに煩い。
――酷いな。
はははと誰かが笑う。シリウスと未知の存在との会話だ。これって……シリウスは慣れた感じだわ。もしかして今のが……
そんなことが何度かあって、それは決まってシリウスに触れている時だと気が付いた。彼を通して私も創造神のメッセージを受け取っているの? ああ、そうだわ。世界を創造した設計図を垣間見る時もこうして彼に触れている時だった。壮大で美しい設計図は目にするたびに心が躍る。
きっと彼が神様とのパイプになっているんだわ。
もしかしたら……シリウスは本当に天使様なのかもしれない。白銀の天使様。いつか神様の御許に帰ってしまうのかしら? でも、地上にいる間は私の傍にいて欲しい。私の夫として……
「ティナ、どうした?」
シリウスに囁かれてはっとなった。テーブルに押し倒された格好のまま、シリウスに顔を覗き込まれている。心配そうにそっと頬を撫でられ、甘く切ない思いが押し寄せた。
シリウス、あなたが好き。
どこにも行かないで?
「泣きそうな顔だ」
ちゅっと軽く口づけられ、その感触はやはり甘くて切なくて、そして愛おしい。
「シリウスがどこかに行ってしまうような気がして……」
そう、ほんの少し不安になったの。それが顔に出たのね。
「私が君から離れるわけないだろう?」
苦笑されて、セレスティナもつられて笑った。
ええ、そうね……
「シリウスが本当の天使様かもしれないと、そう思ったら……」
「あれの使いなどご免だ」
言葉途中で遮られてしまう。本当に鬱陶しそうね。
脱ぎ捨てたコートでくるまれ、ふわりと抱き上げられる。連れて行かれた先は黒い大理石製の風呂場だった。湯船にオイルボールを入れれば、グリーンハーブの香りだ。恥ずかしがる私に、シリウスは入浴用の衣を着せてくれた。シリウスに背後から抱きしめられながら湯船に体を沈める。気持ちいいけれど、やっぱりドキドキする。入浴用の衣ってもの凄く薄いから、裸で抱き合っているのとさほど変わらない。
「創造神は偉大だと思うけれど」
火照りを誤魔化すようにセレスティナが先程の話題を持ち出すと、シリウスは渋い顔だ。
「ああ、確かに御業はどれも素晴らしい。惚れ惚れする。だが、性格が最悪だ」
そうかしら?
「優しくない?」
「意地が悪い」
「たとえば?」
「父が死ぬ時を教えなかった」
それは……
「全知全能だぞ? 未来を見通している。何が起こるかを知っている。だから当然、父がどんな風に死ぬかも知っていたはずなのに、あれは黙っていた。どうして見殺しにしたと、こちらが聞いてもだんまり。いつもこの調子だ。何故、どうしてと聞いても答えたためしがない。よこすのはどこそこの猫が子を産んだとか、明日は小春日和だとか、すももの値段が安いだの、キュウリの出来がいいだの……単なる雑談だ! い、ら、な、い!」
「理由があるのかもしれないわ?」
「理由? どんな?」
「教えてはいけない決まりがあるとか……」
「全知全能の神だぞ? 創造神なんだ。この世の頂点! 誰がそんな決まりを作る? 従う必要もない」
「神自身が作った決まり、とか?」
「何故!」
「未来を知ることで、良くないことが起こるのかも。ごめんなさい、私にはわからないわ。でも……ほら、見て? 神様はこんなにも美しい世界を創ったのよ? シリウスが賛美する世界の設計図も神様の御手によるものでしょう? もう少し信じてあげて?」
シリウスの顔を見上げれば、険しかった顔がふっと和らいだ。
「そうだな、君と出会わせてくれたことだけは感謝しよう」
覆い被さるようにして優しいキスをくれた。ええ、私もよ?
揶揄うようなシリウスの声に、セレスティナはさらに羞恥を覚える。
「奇遇だな。わたしもだ」
とさりとテーブルの上に押し倒されて、ピンクのウサギ耳がふわりと揺れる。セレスティナは心底慌てた。目の前には笑んでいるシリウスの端正な顔がある。片眼鏡をかけた白銀の髪の天使様だ。空の色を映したような青い瞳が綺麗で、思わず見とれそうになったけれど……
駄目よ、駄目! この温室は硝子張りだから外から見えるわ!
「あ、あの、だから!」
「これでどうだ?」
ピピピと例の魔道具を操る音がしたかと思うと、ふっと暗くなった。硝子張りだった温室が光を通さなくなり、まるで夜のようになったのだ。それも満天の星空である。キラキラと輝く星屑に囲まれ、素晴らしい演出だった。
「これ……」
「プラネタリウムだ。気に入ったか?」
「ええ、凄いわ。シリウスの作品?」
「そう。お気に入りの温室から夜空を見たいと言ったから、少々手を加えた」
本物の星空と見紛う素晴らしさだ。
「素敵……」
セレスティナがほうっと満天の星空に見とれたのもつかの間、痺れるような快感が下腹部に走り、こらえようのない甘い声が漏れ出た。シリウスの手がショーツの中に潜り込み、下腹部を愛撫しているのである。身に着けているレースの下着は、衣装に付属していたものだ。紐を引っ張ればするりと取れてしまう……その事実にさらに羞恥を煽られる。
シリウスに思わずぎゅうっと抱きつけば、筋肉に覆われた体はいつだって逞しい。ミントの香りと彼の息づかいが間近で感じられ、くらくらする。
「ティナ、もう少し甘えてごらん?」
「甘え、る?」
「そう、もっと私にしがみ付いて、強請るように足を広げて……ああ、それでいい」
ずぷりとシリウスの指が、熱く潤った秘部に入ってくるのが分かる。漏れ出る声はシリウスの口付けに阻まれた。ちゅくちゅくという水音は濃厚な口付けからだけではなく、艶めかしく動くシリウスの指先からも聞こえてくる。
キラキラ輝く満天の星空は無音だ。温室なので葉の揺れる音もなく、心音が聞こえそうなほど静まりかえっているから、なおいっそう淫靡な水音が響いて恥ずかしい。
「そろそろどうだ? 欲しいか?」
シリウスの熱い息が耳にかかり、意識が千々に乱れる。見せびらかすようにシリウスが手をかざし、死ぬほど恥ずかしい。なにせ、彼の長い指先には、とろりとした粘液がまとわりついている。堅く目を瞑ったけれど、シリウスは逃がしてはくれなかった。
「ティナ? ほら、きちんと欲しいと強請らないと……」
身を起こしたシリウスに、するりと下着を剥ぎ取られたからたまらない。足を閉じようとしたけれど駄目だった。大きく広げた足はがっちりと押さえられ、蕩けきった秘部はシリウスの目にさらされている。
や、見ないで……
羞恥心でどうにかなりそうだった。
大きく広げた足の間に堅い何かが押し当てられる。その何かがぬらぬらと足の間を往復し始め、その刺激で泣きそうになった。あ……体が、熱い……ずるりぬるりとこすられる感触がさらに快感を煽って止まず、ひくりひくりと秘部が震えた。熱く潤った花弁は完全に開ききっていて、溢れ出した蜜がしたたっている。
ああ、駄、目……もう……
恥ずかしくてたまらないのに、欲しくて欲しくてどうしようもない。
「シリウス、お願い……来、て?」
熱を孕んだ瞳で、セレスティナが涙ながらに訴えれば、それでいいというようにシリウスの口角が上がる。悪魔的な、それでいてぞくりとするほど魅力的な笑みだ。みちりと押し当てられた堅い肉棒がずぶぬぷと濡れた秘部に進入し、セレスティナの背が反り返った。
「あ、あぁ!」
溢れ出た蜜がセレスティナの太ももを伝い下り、足ががくがくと痙攣する。毎度のことだが、入れられただけで、意識が飛びそうになるほどの快楽だ。ぬちゅぬちゅと抜き差しが開始されれば、甘い声が間断なく漏れる。
シリウス、シリウス、あ……
「く、ふふ……ああ、本当に可愛いな」
乱れる自分の姿を、シリウスに見下ろされていると思うと、なお恥ずかしかった。ケーキのような可愛らしい衣装は、今や淫らな自分の姿をいっそう際立たせているだろう。見ないで欲しいと思うも、どうしようもない。ティナと呼ぶシリウスの熱い囁きで体がびくりと跳ねた。半開きになった口に彼の熱い舌がずるりと侵入し、口内を刺激して止まない。
ちゅ……くちゅり……くちゅ……
「シリウ、ス……」
ほんの少し唇が離れれば、呼んでしまうのは彼の名である。狂おしいほどに愛おしい。
「ティナ、もう一度だ」
もう一度……
「シリウス?」
「そうだ。ああ、ティナ、ティナ、私のティナ……」
最奥を激しく突かれつつ、くりくりと堅くなった胸の突起を刺激され、たまらず体の中の熱が爆ぜた。ビクビクと体が震えシリウスの物を締め付けても、彼の動きは止まらない。くたりと体から力が抜けても、体の中心を穿つ熱は最奥を激しく押し上げ、間断なく続く刺激で、セレスティナの体が再度熱を持つ。
あ……や……あぁん……
くちゅくちゅと耳朶を打つ水音が、恥ずかしくて仕方がない。どれだけ感じているのか丸わかりだ。「いいか?」なんて聞かれても答えようがない。唇をきゅっと噛み、嫌々をするように首を横に振ると、宥めるように指先にキスが落とされる。
その仕草に胸がじんっと熱くなる。きっと顔は真っ赤だ。
水音がさらに激しくなり、セレスティナの背が反り返る。シリウスの一物を舐めるように締め上げ、子種を強請ったが、彼の強ばりはまだ取れない。ティナ、ティナと呼ぶ声は熱く、ずぷりぬぷりとゆっくりと出し入れされれば、やはり反応してしまう。
ピンっと指先で乳房の突起を弾かれ、びくりとセレスティナの体が震えた。乳房を口に含んだ彼の舌の動きはぬらぬらと艶めかしい。
シリウス、好き……
もっともっとして?
そんな思考が脳裏をかすめ、セレスティナは羞恥に頬を染めた。
駄目よ、はしたない。もっとなんて……
口にするのを我慢するように、セレスティナは自身の指をきゅっと噛みしめた。実際は酔っ払った時、こういった思考はダダ漏れなのだが、セレスティナはそれを知らない。そして、こういったおねだりをシリウスが喜ぶということも。
シリウスが達したのはセレスティナが三度達した後であった。ずっしりと大きな彼の体の重みを感じれば、愛おしさが込み上げる。「私のティナ」と囁くシリウスの声が熱い。
シリウス、好き……
セレスティナの素肌にシリウスの唇が触れる。愛を囁くよう。そこここに施されるシリウスのキスが優しくて嬉しくて、泣いてしまいそうだった。好きという言葉をどれだけ重ねれば、自分の思いと同じになるのだろう? セレスティナはそんなことをぼんやりと考える。
――公爵様はとっても素敵よね。
そんな言葉が周囲から漏れ聞こえれば、心の中で同意するけれど、素敵という言葉では足りないわ、セレスティナはそんな風にも思う。あの眼差しも微笑みも自分をとらえて放さないけれど、彼が魔道具を設計する姿はいつだって心が躍る。神秘を形にする設計者がシリウスだ。
――明日は大雪……わざわざ伝える内容か!
シリウスは独り言が多い。研究室に二人でいたこの時もそう。憤慨する彼に笑いかけた。
――あら、天気が分かるのなら、助かる人が多そうよ?
――隣国の北陵地だぞ?
セレスティナは目をぱちくりさせた。
――そんなところの気候を誰が知らせてきたの?
――神。
――え?
――あの、ぐーたら創造神だ! おしゃべりが大好きなんだが、こちらが必要そうな情報は一切よこさない! なんなのだ、あれは! しゃべりたいのなら、他の奴と話せ! ああ、ティナ。君は聞かなくていい。煩いだけだ。
聞かなくていいもなにも創造神の声など聞いた事がない。
セレスティナがぽつりとそう言うと、シリウスが怪訝そうに言う。
――声? あれの通信手段は言葉じゃない。
――言葉じゃない?
――感覚だ。精緻な波動で魂を直接揺さぶるから、どんな奴に話しかけても通じる。相手が人間でも動物でも昆虫でもあれの意志は伝わる。あえて言うなら万能語とでも言えばいいか?
万能語……
――素敵ね。一度聞いてみたいわ。
そう言ってシリウスにもたれかかれば、ずしりと体に響くような声が聞こえた。いえ、多分、シリウスが言うように感覚だったんだわ。魂の中心から湧き上がるような感覚……それを私が声として認識してしまっただけで。
――いつだって話しかけている。
はっとなって目を見開いた。シリウスを見上げれば彼は難しい顔だ。シリウスにも聞こえたの?
――そうだな。小姑みたいに煩い。
――酷いな。
はははと誰かが笑う。シリウスと未知の存在との会話だ。これって……シリウスは慣れた感じだわ。もしかして今のが……
そんなことが何度かあって、それは決まってシリウスに触れている時だと気が付いた。彼を通して私も創造神のメッセージを受け取っているの? ああ、そうだわ。世界を創造した設計図を垣間見る時もこうして彼に触れている時だった。壮大で美しい設計図は目にするたびに心が躍る。
きっと彼が神様とのパイプになっているんだわ。
もしかしたら……シリウスは本当に天使様なのかもしれない。白銀の天使様。いつか神様の御許に帰ってしまうのかしら? でも、地上にいる間は私の傍にいて欲しい。私の夫として……
「ティナ、どうした?」
シリウスに囁かれてはっとなった。テーブルに押し倒された格好のまま、シリウスに顔を覗き込まれている。心配そうにそっと頬を撫でられ、甘く切ない思いが押し寄せた。
シリウス、あなたが好き。
どこにも行かないで?
「泣きそうな顔だ」
ちゅっと軽く口づけられ、その感触はやはり甘くて切なくて、そして愛おしい。
「シリウスがどこかに行ってしまうような気がして……」
そう、ほんの少し不安になったの。それが顔に出たのね。
「私が君から離れるわけないだろう?」
苦笑されて、セレスティナもつられて笑った。
ええ、そうね……
「シリウスが本当の天使様かもしれないと、そう思ったら……」
「あれの使いなどご免だ」
言葉途中で遮られてしまう。本当に鬱陶しそうね。
脱ぎ捨てたコートでくるまれ、ふわりと抱き上げられる。連れて行かれた先は黒い大理石製の風呂場だった。湯船にオイルボールを入れれば、グリーンハーブの香りだ。恥ずかしがる私に、シリウスは入浴用の衣を着せてくれた。シリウスに背後から抱きしめられながら湯船に体を沈める。気持ちいいけれど、やっぱりドキドキする。入浴用の衣ってもの凄く薄いから、裸で抱き合っているのとさほど変わらない。
「創造神は偉大だと思うけれど」
火照りを誤魔化すようにセレスティナが先程の話題を持ち出すと、シリウスは渋い顔だ。
「ああ、確かに御業はどれも素晴らしい。惚れ惚れする。だが、性格が最悪だ」
そうかしら?
「優しくない?」
「意地が悪い」
「たとえば?」
「父が死ぬ時を教えなかった」
それは……
「全知全能だぞ? 未来を見通している。何が起こるかを知っている。だから当然、父がどんな風に死ぬかも知っていたはずなのに、あれは黙っていた。どうして見殺しにしたと、こちらが聞いてもだんまり。いつもこの調子だ。何故、どうしてと聞いても答えたためしがない。よこすのはどこそこの猫が子を産んだとか、明日は小春日和だとか、すももの値段が安いだの、キュウリの出来がいいだの……単なる雑談だ! い、ら、な、い!」
「理由があるのかもしれないわ?」
「理由? どんな?」
「教えてはいけない決まりがあるとか……」
「全知全能の神だぞ? 創造神なんだ。この世の頂点! 誰がそんな決まりを作る? 従う必要もない」
「神自身が作った決まり、とか?」
「何故!」
「未来を知ることで、良くないことが起こるのかも。ごめんなさい、私にはわからないわ。でも……ほら、見て? 神様はこんなにも美しい世界を創ったのよ? シリウスが賛美する世界の設計図も神様の御手によるものでしょう? もう少し信じてあげて?」
シリウスの顔を見上げれば、険しかった顔がふっと和らいだ。
「そうだな、君と出会わせてくれたことだけは感謝しよう」
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「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
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