失声の歌

涼雅

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大嫌いだと彼に言わせてしまったあの日から、1度も会えることは無かった

しかし俺は往生際悪く、あの森にいつもの時間に毎日通った

それでも当たり前のことながら彼が来ることは無かった

彼はサーカス団の一員だ

歌姫になるはずだったと悲しそうに言っていたのは忘れるわけが無い

サーカス団は旅芸人。

いつまでも同じところに定住しない

きっと、あの日を境に丁度良く、この村を去っていったのだろう

そう思うことにした

そうしないと、いけない

そうしなければ、俺はまた森に向かってしまう

彼に会いたいという思いからではなく、別の思いで森に入ってしまう

そんな思いで入った森の中で救ってくれる人はもういないのだから

俺は森に行くのをやめた
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