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245 面白くはないよ
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第六階層での目的は主に探索の習熟で、宝箱を見付けたこともあって宝箱探しが加わっている。しかし実体は逆。宝箱探しが目先の目標になる。
昨日と同じように座標を調べて地図に書き込みながら、座標が書かれていない場所を虱潰しにして歩く。丁字路、十字路、曲がり角に行き止まり。そんな場所で探索としては歩みを止める一方でルキアスとザネクが慌ただしく動き回る。座標表示の魔道具を持っていないエリリースは書き込む役。しかし誰かが何かを使っていると、自分も使いたくなるのも人情だ。
「わたくしも座標を計ってみたいですわ」
エリリースの目はかなり真剣だ。言われたルキアスは何となくたじろいてしまう。
「これ自体は面白くないよ?」
「そうかも知れませんが、使ってみたいのですわ」
「そうなんだ。じゃあ……」
と、手に持っている魔道具を手渡そうとして、ルキアスはもう一つ持っているのを思い出した。第五階層で見付けた魔道具は売らないままだったのだ。それを『収納』から取り出した。ルキアスの全財産は未だ『収納』の中だけで完結している。
「第五階層で見付けた物だけど、これをあげるよ。ザネクもいいよね?」
「おう。俺は構わないぞ」
ルキアスは魔道具をエリリースに渡した。外見の違いは宝箱から出て来た物には製造者の銘が入っていないことだろう。
「これをわたくしに? しかしただでとはまいりませんわ」
「そこはまあ、ぼく達からのお近づきの印のプレゼントだと思ってよ。色気は無いけどね」
ルキアスは戯けるように笑う。何を血迷ったか、たまにはルキアスでも気の利いた事を言えるのだ。
エリリースは感極まったかのように顔を赤らめて小さく微笑む。
「それでは有り難く頂戴いたしますわ」
「うん。そうして」
「それでは早速使ってみます」
エリリースは魔道具を使う。とは言え、メインスイッチを入れてボタンを押すだけだ。するとその場の座標が表面に表示される。
「表示されました!」
この時は目を輝かせて魔道具を見ていたエリリース。今後の座標測定の担当も請け負った。しかし数回も使う内に興味が薄れ、ルキアスとザネクが測定する時には座標の記入に専念する。
忙しい思いをしてまで自ら測定するほどでは無くなったのだった。
昨日と同じように座標を調べて地図に書き込みながら、座標が書かれていない場所を虱潰しにして歩く。丁字路、十字路、曲がり角に行き止まり。そんな場所で探索としては歩みを止める一方でルキアスとザネクが慌ただしく動き回る。座標表示の魔道具を持っていないエリリースは書き込む役。しかし誰かが何かを使っていると、自分も使いたくなるのも人情だ。
「わたくしも座標を計ってみたいですわ」
エリリースの目はかなり真剣だ。言われたルキアスは何となくたじろいてしまう。
「これ自体は面白くないよ?」
「そうかも知れませんが、使ってみたいのですわ」
「そうなんだ。じゃあ……」
と、手に持っている魔道具を手渡そうとして、ルキアスはもう一つ持っているのを思い出した。第五階層で見付けた魔道具は売らないままだったのだ。それを『収納』から取り出した。ルキアスの全財産は未だ『収納』の中だけで完結している。
「第五階層で見付けた物だけど、これをあげるよ。ザネクもいいよね?」
「おう。俺は構わないぞ」
ルキアスは魔道具をエリリースに渡した。外見の違いは宝箱から出て来た物には製造者の銘が入っていないことだろう。
「これをわたくしに? しかしただでとはまいりませんわ」
「そこはまあ、ぼく達からのお近づきの印のプレゼントだと思ってよ。色気は無いけどね」
ルキアスは戯けるように笑う。何を血迷ったか、たまにはルキアスでも気の利いた事を言えるのだ。
エリリースは感極まったかのように顔を赤らめて小さく微笑む。
「それでは有り難く頂戴いたしますわ」
「うん。そうして」
「それでは早速使ってみます」
エリリースは魔道具を使う。とは言え、メインスイッチを入れてボタンを押すだけだ。するとその場の座標が表面に表示される。
「表示されました!」
この時は目を輝かせて魔道具を見ていたエリリース。今後の座標測定の担当も請け負った。しかし数回も使う内に興味が薄れ、ルキアスとザネクが測定する時には座標の記入に専念する。
忙しい思いをしてまで自ら測定するほどでは無くなったのだった。
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