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485 やっぱり
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ルキアス達は足を速めた。緊急事態のため、タイラク、メイナーダとユア、フヨヨンが先行する。深層組と浅層組とでは足の速さに隔絶があった。
タイラク達が町外れに来ても魔物はまだ町に達していなかった。更に湿地の方、町から離れた下り坂の上まで来て見下ろせば、三体の魔物が坂を上る途中にあった。
町からは完全な死角になっている場所を移動する魔物をこれほど早く発見できたのはマール、バッツ、サンカの三人の捜索で湿地の近くまで行った誰かが居たためだろう。
「やっぱりダンジョンから出て来やがったのか! しかし何故だ?」
「何か切っ掛けがあった筈よね」
「俺らが魔物を倒したのが原因ってこたぁ無いよな?」
「それは無い筈だよ。砲台は余裕を持って魔物を倒していたんだから、あれを強引に突破して来るならもっと大量の魔物が来てなきゃおかしいさ」
「ってことは……」
「湿地の方に行ったきりになってる三人が何かしたのでしょうね」
「やれやれだな。まあ、取り敢えずは目の前のをさっさと片付けて来るぜ」
タイラクは「ただ働き確定だ」とぼやきながら駆け出した。
タイラクが捜索に対する報酬を要求したのは意地悪からではない。労働には報酬が必要だ。無償で請け負っては探索者に対する悪い前例になる。そのせいで誰もに無償での奉仕をごり押しされるようになっては多くの探索者の生活が成り立たない。
タイラクは一分と掛からず三頭の魔物を仕留めて戻って来た。魔物の様子を見に来ていた町人達から歓声が上がる。
ルキアス達も漸く追い付いた。
「魔物ってやっぱり……」
「様子を見に行かなきゃいけないわね」
メイナーダはルキアスの呟きに答えて、ダンジョンの様子を見に行く必要を言った。
「なあ、あんたら少し前から湿地の方に行ってる探索者だろ? あの魔物は何だ?」
町人の一人が問い詰めるような口調で話し掛けて来た。彼らにはルキアス達が魔物を呼び寄せたように感じられるのだ。
フヨヨンがメイナーダと小さく頷き合った後で、その問いに答えた。
「あれはダンジョンに涌く魔物だよ。この町の近くにダンジョンが在るのさ」
ここで隠しても後々問題が大きくなるだけと思われたのでぶっちゃけた。
「ダンジョンだって!? 聞いてないぞ!」
「準備が出来る前に公表してもろくな事にならないからね。だから町も公表してないんじゃないかな」
フヨヨンは暗に町には伝えてあることを説明した。
「でもあんたらのせいで魔物が出て来たことに変わりは無いだろ。あんたらが責任持って魔物が来ないようにしろよ!」
「「「そうだ! そうだ!」」」
代表して話している町人の後で同調の声を上げる者達が居る。
「そんな義理は無いよ。ダンジョンはボクらのものじゃないからね。もしボク達に責任を押し付けるならダンジョンから得られる利益は一切町に入らないようになるけど、それでいいのかい?」
ダンジョンの発見者にも権利があるとは言え、殆どの権利は所属国や土地所有者になる。湿地は国の所有と思われ、最寄りのラナファーベも幾らかの権利と共に管理を任される可能性が高い。
「それとこれとは別だ!」
「別じゃないよ。義務を押し付けたいなら対価を支払いたまえよ」
それも商売の基本の一つだろうと付け加えれば、町人は押し黙った。彼らの多くは職人や商人のようだ。
タイラク達が町外れに来ても魔物はまだ町に達していなかった。更に湿地の方、町から離れた下り坂の上まで来て見下ろせば、三体の魔物が坂を上る途中にあった。
町からは完全な死角になっている場所を移動する魔物をこれほど早く発見できたのはマール、バッツ、サンカの三人の捜索で湿地の近くまで行った誰かが居たためだろう。
「やっぱりダンジョンから出て来やがったのか! しかし何故だ?」
「何か切っ掛けがあった筈よね」
「俺らが魔物を倒したのが原因ってこたぁ無いよな?」
「それは無い筈だよ。砲台は余裕を持って魔物を倒していたんだから、あれを強引に突破して来るならもっと大量の魔物が来てなきゃおかしいさ」
「ってことは……」
「湿地の方に行ったきりになってる三人が何かしたのでしょうね」
「やれやれだな。まあ、取り敢えずは目の前のをさっさと片付けて来るぜ」
タイラクは「ただ働き確定だ」とぼやきながら駆け出した。
タイラクが捜索に対する報酬を要求したのは意地悪からではない。労働には報酬が必要だ。無償で請け負っては探索者に対する悪い前例になる。そのせいで誰もに無償での奉仕をごり押しされるようになっては多くの探索者の生活が成り立たない。
タイラクは一分と掛からず三頭の魔物を仕留めて戻って来た。魔物の様子を見に来ていた町人達から歓声が上がる。
ルキアス達も漸く追い付いた。
「魔物ってやっぱり……」
「様子を見に行かなきゃいけないわね」
メイナーダはルキアスの呟きに答えて、ダンジョンの様子を見に行く必要を言った。
「なあ、あんたら少し前から湿地の方に行ってる探索者だろ? あの魔物は何だ?」
町人の一人が問い詰めるような口調で話し掛けて来た。彼らにはルキアス達が魔物を呼び寄せたように感じられるのだ。
フヨヨンがメイナーダと小さく頷き合った後で、その問いに答えた。
「あれはダンジョンに涌く魔物だよ。この町の近くにダンジョンが在るのさ」
ここで隠しても後々問題が大きくなるだけと思われたのでぶっちゃけた。
「ダンジョンだって!? 聞いてないぞ!」
「準備が出来る前に公表してもろくな事にならないからね。だから町も公表してないんじゃないかな」
フヨヨンは暗に町には伝えてあることを説明した。
「でもあんたらのせいで魔物が出て来たことに変わりは無いだろ。あんたらが責任持って魔物が来ないようにしろよ!」
「「「そうだ! そうだ!」」」
代表して話している町人の後で同調の声を上げる者達が居る。
「そんな義理は無いよ。ダンジョンはボクらのものじゃないからね。もしボク達に責任を押し付けるならダンジョンから得られる利益は一切町に入らないようになるけど、それでいいのかい?」
ダンジョンの発見者にも権利があるとは言え、殆どの権利は所属国や土地所有者になる。湿地は国の所有と思われ、最寄りのラナファーベも幾らかの権利と共に管理を任される可能性が高い。
「それとこれとは別だ!」
「別じゃないよ。義務を押し付けたいなら対価を支払いたまえよ」
それも商売の基本の一つだろうと付け加えれば、町人は押し黙った。彼らの多くは職人や商人のようだ。
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