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128~133
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【128.自己紹介】
「名前を聞いてなかったよね」
オリエは5人パーティーの名前を聞いていなかったことを今更ながらに思い出した。
「そうでした……」
魔法使いとヒーラーが顔を見合わせる。
「あたしは魔法使いのマホ。このこはヒーラーのセヒイラよ」
「剣を持っていたのがゾッケン、槍を持っていたのがヤンリーク、もう一人がハンターのレンジです」
魔法使いのマホと、ヒーラーのセヒイラはそれぞれに言った。
「えーと、魔法使いさんとヒーラーさんと剣士さんと槍士さのハンターさん……」
「一人も憶えられてないじゃない!」
「あはは……」
魔法使いの突っ込みをオリエは笑って誤魔化した。
【129.覚束ない】
少しのぼせたようで、魔法使いがゆっくり揺れる。
「上がりましょう」
オリエは声を掛けて立ち上がった。
「あ、はい」
ヒーラーも立ち上がるが、魔法使いの耳にはオリエの声が入っていなかったらしく、立ち上がる様子がない。
「ほら、マホ。もう出ますよ」
「ん……」
ヒーラーに手を引かれて魔法使いも立ち上がる。
「あ、あれ?」
立ち上がったら頭もはっきりしたらしい。しかし足が少々覚束ない。歩こうとしても足が出ずにつんのめる。
「わきゃ!」
「ひゃっ!」
ぽよん。
魔法使いと巻き込まれたヒーラーが倒れ込んだのはお湯の中ではなくオリエの胸だった。オリエが2人を受け止めたのだ。
【130.のぼせている】
「お湯に長く浸かりすぎるとそうなるから、気を付けてね」
オリエは2人を抱き留めたまま言葉を掛けた。
「え、ええ……」
オリエの言葉に素直に頷く魔法使い。頬が赤いのはお湯にのぼせただけでもなさそうだ。
ところがオリエはお湯にのぼせているだけと見たらしい。
「まだ少し危なっかしいからわたしが更衣室まで運んであげる」
「えええっ!」
オリエは返事も待たずに魔法使いを抱き上げた。お姫様だっこだ。そのままスタスタと更衣室まで運んでしまう。
魔法使いの顔は更に赤くなった。
【131.開け方】
魔法使いをベンチで休ませ、ヒーラーがその身体にバスタオルを巻き付ける。ヒーラーは自らもバスタオルを身に纏った。
2人がそうする間に、オリエは壁の扉を開けて3本のペットボトルを取り出した。そこは冷蔵庫になっていて、飲み物が常備されているのだ。そして、魔法使いとヒーラーには初めてでも飲みやすいりんごジュースを渡し、自らはコーラを手にした。
「あ、あの、これ……」
初めての容器に目を白黒させる2人に、オリエは開け方を教える。
「ここをギュッと左に回すのよ」
キャップを回して開けて見せた。
2人は目を丸くして、オリエの持つペットボトルを見詰めた。
【132.ラッパ飲み】
「こ、こうかしら?」
魔法使いが恐る恐るキャップに手を掛け、オリエの「そのまま力を入れて」の声に後押しされて回すと、プシッと小さな音を立ててキャップが開いた。
「ふあっ!」
「で、ではわたしも」
ヒーラーは魔法使いの様子を見ていたからか、躊躇うことなく回して開ける。
「さあ、飲んでみて」
オリエはペットボトルに口を付けた。ラッパ飲みだ。
2人もそれに倣ってラッパ飲みする。
「「美味しい!」」
2人はまた目を丸くした。
【133.着替え】
人心地付いたところで魔法使いが纏わされていたバスタオルを掻き抱いた。
「そろそろ着替えたいわ」
「それなら魔王が用意してくれたこれを着るといいよ」
オリエは魔王が置いて行った着ぐるみパジャマを広げてみせる。種類色々で10着だ。好きなものを選べる。
「でも……」
魔法使いは躊躇った。パジャマに防御力は期待できない。そして恐らく無意識にだろう。自分が脱いだ服へと視線を動かした。
「折角身体を綺麗にしたのに、汚れた服を着るの?」
「う……」
魔法使いは微妙に手を震わせながら、キツネの着ぐるみパジャマに袖を通した。
「名前を聞いてなかったよね」
オリエは5人パーティーの名前を聞いていなかったことを今更ながらに思い出した。
「そうでした……」
魔法使いとヒーラーが顔を見合わせる。
「あたしは魔法使いのマホ。このこはヒーラーのセヒイラよ」
「剣を持っていたのがゾッケン、槍を持っていたのがヤンリーク、もう一人がハンターのレンジです」
魔法使いのマホと、ヒーラーのセヒイラはそれぞれに言った。
「えーと、魔法使いさんとヒーラーさんと剣士さんと槍士さのハンターさん……」
「一人も憶えられてないじゃない!」
「あはは……」
魔法使いの突っ込みをオリエは笑って誤魔化した。
【129.覚束ない】
少しのぼせたようで、魔法使いがゆっくり揺れる。
「上がりましょう」
オリエは声を掛けて立ち上がった。
「あ、はい」
ヒーラーも立ち上がるが、魔法使いの耳にはオリエの声が入っていなかったらしく、立ち上がる様子がない。
「ほら、マホ。もう出ますよ」
「ん……」
ヒーラーに手を引かれて魔法使いも立ち上がる。
「あ、あれ?」
立ち上がったら頭もはっきりしたらしい。しかし足が少々覚束ない。歩こうとしても足が出ずにつんのめる。
「わきゃ!」
「ひゃっ!」
ぽよん。
魔法使いと巻き込まれたヒーラーが倒れ込んだのはお湯の中ではなくオリエの胸だった。オリエが2人を受け止めたのだ。
【130.のぼせている】
「お湯に長く浸かりすぎるとそうなるから、気を付けてね」
オリエは2人を抱き留めたまま言葉を掛けた。
「え、ええ……」
オリエの言葉に素直に頷く魔法使い。頬が赤いのはお湯にのぼせただけでもなさそうだ。
ところがオリエはお湯にのぼせているだけと見たらしい。
「まだ少し危なっかしいからわたしが更衣室まで運んであげる」
「えええっ!」
オリエは返事も待たずに魔法使いを抱き上げた。お姫様だっこだ。そのままスタスタと更衣室まで運んでしまう。
魔法使いの顔は更に赤くなった。
【131.開け方】
魔法使いをベンチで休ませ、ヒーラーがその身体にバスタオルを巻き付ける。ヒーラーは自らもバスタオルを身に纏った。
2人がそうする間に、オリエは壁の扉を開けて3本のペットボトルを取り出した。そこは冷蔵庫になっていて、飲み物が常備されているのだ。そして、魔法使いとヒーラーには初めてでも飲みやすいりんごジュースを渡し、自らはコーラを手にした。
「あ、あの、これ……」
初めての容器に目を白黒させる2人に、オリエは開け方を教える。
「ここをギュッと左に回すのよ」
キャップを回して開けて見せた。
2人は目を丸くして、オリエの持つペットボトルを見詰めた。
【132.ラッパ飲み】
「こ、こうかしら?」
魔法使いが恐る恐るキャップに手を掛け、オリエの「そのまま力を入れて」の声に後押しされて回すと、プシッと小さな音を立ててキャップが開いた。
「ふあっ!」
「で、ではわたしも」
ヒーラーは魔法使いの様子を見ていたからか、躊躇うことなく回して開ける。
「さあ、飲んでみて」
オリエはペットボトルに口を付けた。ラッパ飲みだ。
2人もそれに倣ってラッパ飲みする。
「「美味しい!」」
2人はまた目を丸くした。
【133.着替え】
人心地付いたところで魔法使いが纏わされていたバスタオルを掻き抱いた。
「そろそろ着替えたいわ」
「それなら魔王が用意してくれたこれを着るといいよ」
オリエは魔王が置いて行った着ぐるみパジャマを広げてみせる。種類色々で10着だ。好きなものを選べる。
「でも……」
魔法使いは躊躇った。パジャマに防御力は期待できない。そして恐らく無意識にだろう。自分が脱いだ服へと視線を動かした。
「折角身体を綺麗にしたのに、汚れた服を着るの?」
「う……」
魔法使いは微妙に手を震わせながら、キツネの着ぐるみパジャマに袖を通した。
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