見るだけの簡単なお仕事

浜柔

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「もう少し詳しく願えますか?」
「はい」
「こちらにお座りください」

 お姫様がアイリア・ロクトンに言葉を掛けながらビル・ビルズに目配せし、ビル・ビルズが椅子を引く。

「恐れ入ります」

 お姫様も対面に座って話を促すと、アイリア・ロクトンは「実は」と始めた。
 何でも彼女はこの町の北にある町との間で交易を行っているらしい。
 店舗を持たず、取引先は専ら他の商会だと言う。
 それで細々と商売をしながら自力を高めようとしていたところに軍事演習がやって来た。
 その軍事演習が交易先の町に程近い場所だったことでその町の需要が急増、仕入れがままならなくなった。
 仕入れても物価が高騰して利益を出せそうにない。
 そんな弱り目のところに軍のお偉いさんに目を付けられたようで言い寄られる祟り目だ。
 何とか断っていたが段々しつこく強引になって来ていて、次に会ったら何をされるか判らないらしい。

「それはお辛いでしょうね。軍事演習も噂だけではなかったのですね」
「はい。わたくしにとっては迷惑この上なく、途方に暮れております。今では停泊場のアルバイトで糊口を凌ぐありさまでして……。ですからいっそこの町、この国を出ようと考えておりまして、それまでわたくしを乗船させていただけないかとこうして参った次第です。料金は何としてもお支払いさせていただきますので何とぞお願いいたします」
「はて? 交易をなさっていたのでしたら船をお持ちでは?」
「それが船を軍に監視されていたため捨てて逃げるしかなく、どうにかこの町まで逃げて来たのです」
「左様ですか。判りました。引き受けましょう」

 お姫様は決断した。
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