見るだけの簡単なお仕事

浜柔

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「い、今更ですが、勇者がマクガード卿の訓練を受けるのは止めるべきではありませんか?」

 沈黙後、若干声を震わせながら言ったのはケティア・ヨークだ。

「自分もケティアに同意するであります。何より勇者とマクガード卿の接触は可能な限り避けるべきと考えます。幸いマクガード卿には勇者の鎧姿は見られておらず、我々の旅の名目も知られておりません」

 ビル・ビルズはケティア・ヨークの発言の意図を明らかにしようとはせず、存在するリスクを言った。
 ケティア・ヨークの目が少し泳いでいるところを見れば、彼女の意図はかなり個人的なものだったようだ。

「そうですね。マクガード卿に勇者の実体を知られるのは憚られます。しかし勇者が彼の指導を断って自主鍛練をすることを彼は納得するでしょうか?」
「教官役を付ければよいと考えます」
「勇者の指導はこちらで賄うので手出し無用、と言うわけですね?」
「その通りであります」
「人選は?」
「ケティアを推薦します」
「ええっ!?」

 叫んだのはケティア・ヨークだ。
 お姫様は軽く頷くのみ。

「実力が懸け離れた方の指導では指導内容を知覚できないことも起き得ます。そうなっては指導が逆効果となります。ケティアであればそのような心配は無用です」
「ええっ!?」

 ケティア・ヨークは信じられないものを見るようにビル・ビルズを見た。

「姫様、よろしいでしょうか?」
「任せます」

 ガレシア・ガンダレナはお姫様の答えに一つ頷いた。

「ケティア、明日より出立までの期間、勇者との訓練を申し渡す」
「ええっ!?」
「返事は!?」
「はっ!」

 ケティア・ヨークは信じられないものを見るようにガレシア・ガンダレナを見たが、険しい声で返事を促されて敬礼を返した。
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