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私はアンデラ
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私は小学五年生。この名前は、パパの叔母さんの名前をもらったそうだ。そのアンデラさんは、すっごいおデブさんで、お金持ちなんだって。パパの名はぺドロ。ブラジル人で、背が高くてかっこいい。パパの親戚はみんな、大きな空港から何時間もバスに乗って行ったところに住んでいるそうだ。写真でしか知らないけれど、大人になったら絶対行くんだ。ママの名前は京子。スリムでおしゃれ。デザインの仕事をしてるからかな。
あっ、一番大事なことを言わなくっちゃ。双子のお姉さんがいるの。名前はクリスティーナ。顔はそっくりだけど、性格はまるで違う。二卵性双生児っていうんだって、私たち。小さい時からおそろいの服を着て大きくなった。
「かわいいね」「かわいいね」
誰からもそう言われてきた。写真が雑誌に載ったり、洋服のモデルになることも多かった。
この間の夏休みには、ローカルな映画にも出た。すっごい田舎の小学校でのロケだった。
「あなたたち、どこの事務所?」
ブランドの服で決めた女の子に、話しかけられた。
「事務所って何?」
「えっ、事務所に所属しないで、どうして映画に出てるのよ。もしかして地元の子?」
「地元って、結構遠いよ。パパの車で二時間以上かけてここまで来たもん。前、映画の試写会に行ったら、監督さんに是非出てくださいって言われたから。でも、せりふはないよ」
「私だってせりふないわよ。なんなの!」
その子は、フリフリスカートをひるがえして、向こうへかけて行ってしまった。
後でママにきくと、
「子役は事務所に所属してる子がほとんどだからね、気にしないの。地元の子も協力出演してるから、平気だよ」
笑いながら、いつものようにお気楽そうに言っていた。珍しいことがいっぱいで、三日間があっという間に過ぎた。勉強してると、ものすごのく時間がゆっくりなんだけど。
将来、モデルになれるといいなあって思っている。
子役タレント事務所から連絡があったのは、そのロケのすぐ後だった。ママが断ったことを知って、私はものすごくがっかりして言った。
「どうして?そんな事務所入りたいよ」
「ダメよ。二人でってことだったし、レッスンも大変だし。しょっちゅう学校も休まないといけないのよ。小学生が仕事するなんて、反対だわ。それに毎月レッスン料ものすごく払わなければならないのよ。我が家にはそんな余裕ありません。パパとも相談してお断りしたの」
「モデルになりたいのに!」
「大きくなって、よーく考えてから決めればいいの」
「事務所はいりたーい!」
(無理解な親で不幸な少女)そういう設定で自分をかわいそうに思った。ハンガーストライキをしようと思ったけど、夕食一回抜いたらおなかがぺこぺこになったからやめた。アルバイトができるようになったらきっとどこかの事務所に入るんだ。
つづく
あっ、一番大事なことを言わなくっちゃ。双子のお姉さんがいるの。名前はクリスティーナ。顔はそっくりだけど、性格はまるで違う。二卵性双生児っていうんだって、私たち。小さい時からおそろいの服を着て大きくなった。
「かわいいね」「かわいいね」
誰からもそう言われてきた。写真が雑誌に載ったり、洋服のモデルになることも多かった。
この間の夏休みには、ローカルな映画にも出た。すっごい田舎の小学校でのロケだった。
「あなたたち、どこの事務所?」
ブランドの服で決めた女の子に、話しかけられた。
「事務所って何?」
「えっ、事務所に所属しないで、どうして映画に出てるのよ。もしかして地元の子?」
「地元って、結構遠いよ。パパの車で二時間以上かけてここまで来たもん。前、映画の試写会に行ったら、監督さんに是非出てくださいって言われたから。でも、せりふはないよ」
「私だってせりふないわよ。なんなの!」
その子は、フリフリスカートをひるがえして、向こうへかけて行ってしまった。
後でママにきくと、
「子役は事務所に所属してる子がほとんどだからね、気にしないの。地元の子も協力出演してるから、平気だよ」
笑いながら、いつものようにお気楽そうに言っていた。珍しいことがいっぱいで、三日間があっという間に過ぎた。勉強してると、ものすごのく時間がゆっくりなんだけど。
将来、モデルになれるといいなあって思っている。
子役タレント事務所から連絡があったのは、そのロケのすぐ後だった。ママが断ったことを知って、私はものすごくがっかりして言った。
「どうして?そんな事務所入りたいよ」
「ダメよ。二人でってことだったし、レッスンも大変だし。しょっちゅう学校も休まないといけないのよ。小学生が仕事するなんて、反対だわ。それに毎月レッスン料ものすごく払わなければならないのよ。我が家にはそんな余裕ありません。パパとも相談してお断りしたの」
「モデルになりたいのに!」
「大きくなって、よーく考えてから決めればいいの」
「事務所はいりたーい!」
(無理解な親で不幸な少女)そういう設定で自分をかわいそうに思った。ハンガーストライキをしようと思ったけど、夕食一回抜いたらおなかがぺこぺこになったからやめた。アルバイトができるようになったらきっとどこかの事務所に入るんだ。
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